偶然知ったヒミツ 3

津田つだぶ……もがっ!」


最後まで言い切らない内に、バッ!と伸びて来た彼女?の掌で口を塞がれる。


「シッ!大声出さないでよ!」


私の声に、何人かのお客さんが不振な目をこちらに向けていた。


私は、コクコクと頷く。


「黙って付いて来て」


彼女?はそれだけ言って、スタスタとお店を出て行ってしまった。


「あ、ちょっ……」


まだ会計が済んでいなかった私は、慌てて会計を済ませ、後を追いかける。


「ま、待って下さい!」


彼女?は私の声に振り向く様子も無く、近くのひと気の無い公園にそのまま入って行った。


「待って下さい!津田部長!」


もう辺りは暗いし、このままだと見失ってしまいそうで私は声を上げる。


すると津田部長らしきこの女性は、丁度街灯の下辺りで足を止め、勢いよく振り向き叫んだ。


「叫ばないでって言ってるでしょう!?」


静まり返った住宅街に、声が響いた。


街灯の明かりが、スポットライトの様に彼女?を照す。それは、舞台演劇さながらだった。


「あなただって、叫んでるじゃないですか」


私はゆっくりと近付き、ジッと顔を見つめる。


「……やっぱり」


改めて見ると、疑惑が確信に変わる。


「海外事業部の津田雪哉つだゆきや部長ですよね……?」

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