第39話 カノジョの友達

 さて、場所は移ってここは水族館の外にあるテラス。周りには移動販売のカフェやクレープ屋がある。

 恋人同士や家族が笑顔で午後のひと時を過ごす中、俺達は妙にニコニコとした女の子二人と向かい合って座っている。

 俺はなにがなんだかわからないまま連れてこられ、海琴さんはソワソワキョロキョロと落ち着かない様子。


「ほら海琴、早くアタシ達のこと紹介してよ」

「や!」

「や! じゃないでしょうが。じゃあアタシ達だけで話しちゃおっかな♪」

「う〜! わかったよぉ……」


 海琴さんはそう言うと俺の方を向いた。

 ちなみに、「や!」が可愛くて一人で悶えていたのは内緒だ。

 つーか俺の前のゴスロリ巨乳よ。ずっと俺見すぎ。穴あくわ!


「えっと……紹介するね? こっちの金髪の子がともえ 千歌ちゃん」

「千歌です。はじめまして! よろしく〜♪」

「あ、よろしくお願いします。俺は日野杏太郎です」


 俺は軽く会釈。ギャル怖い。うっ、頭が……。


「そしてそっちのボブヘアーの小柄で可愛い子が五和いつわ 聖美ちゃん」

「背は小さいけど胸はみこちゃんよりある聖美だよ〜。よろしくね〜?」

「え? あ、はい。ども……」

「ちょ、ちょっときーちゃん!? そういう事言うのやめてくれないかなっ!?」

「今のは試しただけだよ〜? 大丈夫。言ってもチラ見しなかったから合格。きよは許可します」


 何を!?


「えっと……海琴さん。この二人は……?」

「あ、うん。えっとね? この二人は高校の友達で──」


 ん? 高校?


「みこちゃん〜? いつまで高校生気分なの〜?」

「へ? だって……え、あ! うん、そうだった! あのね? 二人は友達なんだよ」

「あぁ、なるほど。ってことは二人とも海琴さんと同じ大学で?」

「うんっ! 同じ大学なの!」

「「同じ大学で〜す」」


 ハモるな。同じポーズをとるな。

 それにしても海琴さんと同じってことはこの二人も十九歳なのか。

 人の年齢って、ホント見た目じゃわからないものなんだな。何も言われないで会ってたら、同級生にしか見えないし。


「さて海琴。聞きたいことはたくさんあるけど、まずは確認するわよ」

「な……なに?」

「みこちゃんと日野くんは、彼氏と彼女になった。ってことでいいのかな?」


 二人はさっきまでとは違い、真剣な顔で海琴さんのことを見る。それに応えるように海琴さんも背筋を伸ばし、真っ直ぐに二人を見据えてハッキリと答え……る前に俺が言った。


「はい。付き合ってます」

「杏太郎くん……」


 ふっ……どうよ? こういうのは男から言うものだろ? 知らんけど。


「そっか。じゃあ彼氏くん、ちょっといい?」

「なんですか?」

「実はね? アタシ達二人は、前から海琴から話を聞いてたの。前って言っても割りと最近だけどさ? 彼氏くんの事が好きだってことも」

「ちーちゃん? いきなり何言い出すの!?」

「みこちゃんはちょっと静かに聞いてて?」

「え? あ、うん……」


 ゴスロリ巨乳の圧に負けた海琴さんは、口を閉じてしまった。

 え? 俺は今から何を言われるんだ?



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