冬の扉

昨夜の電話のぬくもりを抱きしめて

沸き立つ感情は

ただ「好き」という言葉に置き換えられない

複雑な螺旋らせんを心の中に描く


今、コブシを震わせているのは

怒りなのか

悔しさなのか


叩きつける対象を見つけられずに

握りしめた手に力を込めれば

ただただ胸にこみ上げるものが大きくなるばかり


目的もなく外を目指して

冷えた空気に身体をさらせば

はるか頭上にきらめく星が

冷たい視線を投げかける


いつまでこの夜の迷子になるのか

いつまで冬枯れした心を抱えているのか

出口でも入口でもない冬の扉に囲まれて

どこかへつながる扉の鍵を探している

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