第4話 赤ん坊からリトライ2

本日はここまで。

明日は2話投稿します。



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(この【Pt】っていうのもわからないし)

(まあ、少しずつ調べていけばいいか)


 スキルボードには、まだなにか隠されている予感がする。

 それらは今後、使いながら解き明かしていくしかない。


(しかし)

(存在力は前世と同じかあ)


 あの霞が言った通り、こればかりはやり直しても変わらないようだ。

 この存在力が1つ上がるだけでも、アルトは悲願達成にかなり近づくのだが……。


(そううまい話はないよね)


 ちょっとした手違いで存在力が上がっていないものかと、淡く期待したが、アルトの存在力は神が定めた通りのものだった。


【存在力】は最低で☆1から☆5まである。

 ☆5は神のみが持つと言われる数値だ。

 人間の場合、この国で最も強いと呼ばれるユーフォニア12将が、☆4と公表されていた。


 世の中には、何をやってもうまくいかないタイプの人間が、必ず1人はいる。

 そういうタイプの人間でさえ☆2である。


 ☆1はそれさえも凌駕するほどの無才。

 本来ならば産後に死亡する。運良く成長できたとしても、ほぼすべてが成人するまでに命を落とす――それが☆1だ。


 存在力の強さによって、レベルアップ時の身体能力上昇率が変化すると言われている。

 ☆5は最も伸びが良く、☆1は最も伸びが悪い。


 スキルボードを使えば、より効率的な訓練が可能だ。

 だが、あくまでそれは子どものうちだけだ。


 レベルが上げられる年齢になれば、子どもの頃の鍛錬よりも、存在力が物を言う。


 五つで神童、十で才子、十五過ぎればただの人。

 そうならないように、アルトは努力の手を緩めるわけにはいかない。


(今回は二度目だ)


 一度目で駄目だった点がある。出来なかったことも。

 今世ではそれらをクリア出来る可能性がある。


(今からなら、間に合うかもしれない)


 力が足りず、見捨ててしまった命は数え切れない。

 たとえそれが自分の責任ではなくとも、アルトはずっと心の中に、贖罪として残り続けていた。


 それらすべての命を救うことが出来たのなら……。


(いや、全部クリア出来るくらい強くならないと、ハンナを救うなんてできっこない!)

(だから、強くならないと!)

(すべてを、救えるくらいに……)


 気合が入ったアルトは、早速魔力の向上に努めることにする。


 アルトは前回の人生で、様々な知識を手に入れた。

 その一つが、魔力アップの訓練方法だ。


 魔力は基礎訓練によって増強出来る。

 中でも幼少期は、トレーニングの効果が最も高いと言われる時期だ。


 訓練は、単純なものだと魔術の使用だ。

 魔術を使えば使うほど、魔力が増加していく。


 とはいえいきなり〈ファイアボール〉のような魔術を使うわけにはいかない。


 体の弱い赤ん坊だと〈ファイアボール〉1発で魔力も生命力も枯渇して死ぬかもしれない。万が一〈ファイアボール〉ギャンブルがうまくいったとしても、家が燃えてはシャレにならない。


 アルトの家庭は決して裕福とは言えない。

 そんな状況で家が焼失しては目も当てられない。


 ということで、魔術の行使以外で魔力を底上げする。


(よしっ、魔力操作で訓練だ!)


 アルトはスキルボードを表示しながら、無害、無属性のマナを空中に飛ばした。

 魔力を飛ばして五分ほど経った頃だった。


>>《魔力操作》1/100 NEW


(おっ!)

(なんか出た!)


 スキルボード上に、新たな表示が出現した。

 この表示が、アルトが修得した技――スキルなのだ。


 試しに、アルトはスキルをタップする。

 すると、天賦の時同様に小窓が現われた。


『《魔力操作》1/100』

『パッシブスキルの一つ。数値は熟練度。最大100まで』


(へぇ。こんな風にスキルも表示されるんだ)

(しかも熟練度表示付きか)


 肉体のステータスと同様に、スキルも可視化する技術はない。

 スキルを修得した時は、(魔術のように、現象として現われる場合は別だが)感覚で『修得出来た』と判断するしかなかった。


 無論、練度もわからなかった。


(これはすごいっ!)


 新たな項目の出現に、アルトは興奮した。

 なんの手がかりもなく、手探りで行って来た鍛錬の結果が、よりハッキリと視認出来るようになったのだ。


 これでステータスと同様に、鍛錬の効率が大幅に上がるだろう。


(よしっ、頑張るぞっ!!)


 小さいながらも見えてきた希望の光に発憤したアルトは、《魔力操作》の訓練を行うのだった。

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