32 宗像月臣:Demon Tuner
「それで陣笠の旦那はこの後、どうするンだ?」
左手で器用に電子タバコを仕舞いながら、
「【
「
冗談めかして言ったつもりの
「オレが存在する限りは【
「しかも【
「そういう事なら、お断りするしかないですね」
ふと、そこで自分の立場を思い出した。
「――あ……そうするとオレは、職を失うのか」
「そうなるわね。いう事を聞かない
実際のところ儲かっていないこともないし、だいたい、
工作員や即応部隊という会社員として建前上の役職を持ってはいるが、何ということはない。大昔の剣客、食客、用心棒とそう立場は変わらない。
だから特殊なデーモンの身柄を確保しておくという意味も考えれば、ここで
だが
あっさりと会社を抜けることを認められ、
「……良いんですか? オレ、それにマキシ姉さんも、試験機や実験動物としての価値はあるんじゃ?」
「陣笠の旦那よ、それを自分で言うと相当シュールなンじゃないか?」
「まあ、人間じゃあないらしいですしね」
「それをシュールだというンだがね……」
そんな
『うれしそうね?』
「陣笠の旦那とマキシの嬢ちゃんがデーモン? まあ
「それでも、自分と似た異質の存在を、ヒトは恐怖すると思うのだけど?」
面白そうに
「俺は別に、陣笠の旦那の人格になんぞ期待しちゃいねえンよ。ただ、ウチの
それは、
システムである
それは
「世の中の人間すべてが、そんな考え方なら軋轢も生まれなかったのでしょうけどね」
先の無い話だと、
だが、
「世の中全員、俺と同じ考え方なんてゾッとしないね。
それは古典を学び、暴力を信仰する
ヒトという文明と技術に依存する種は、環境変化に著しく弱く、進化の速度は皆無といって良い。
そのヒトという種に、絶えず進化と変化を繰り返するデーモンというものを植え付ける行為が、正気の沙汰ではないことは彼女もよく理解していた。
「だけど、既に賽は振られたわ」
カドクラの人間らしく、或いは、現在世界を破壊しようと目論む悪党らしく
「予定通りとは行かなかったけど【
「俺の右腕に取り付いたデーモンみたいにかい?」
ドローンが
「デーモンAIは絶えず変化して成長する。いつの間にか体を乗っ取られていたなんてことにならない様、貴方もゆめゆめ気を付ける事ね」
「厄介なもンを押し付けられちまったな」
そう言うと
「さて、そろそろ
「あ、少し待ってくれ
そう言うと、
「それを破壊するということは、私の元を去るという事だな?」
「ええ、とりあえずは
「手首のスペアは送っておこう。トバ
「ありがとうございます」
「しかし良いのか? それは記憶の上では、お前の母親の脳標本だぞ?」
そう言うと、
そして
「知っています。でもこれは本物の、
日が暮れて、辺りはマイクロ波受信施設の照明の明かりに切り替わっていた。
いくらかは【
「そもそも、デーモンの種をばら撒くのを計画したのは、アナタじゃないでしょう?」
「ほう?」
「復讐のくだりはともかく……デーモンAIの書類上は理解していても、
「それに?」
「
「ああ、それはまあ、たしかに」
妙なところで
「アナタの記憶も見ました。
いつの間にか、空に月が昇っていた。
「
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