29 剣客と蛇:Swordsman,VS Snake
見えないが、その正体を感じる。極細の、
デーモンAIというのは、その強度自体は
「だんだんこの変な感覚にも慣れてきたぜ……一定距離で自動攻撃なンか……カドクラの
踏み込んで
攻撃圏内へは入れても一歩が精々。そこからまだ
剣の間合いには遠い。
「デーモンAIのデータに記されていたのは【怒りに燃えて
そう、
「怒りに燃える……なんだって?」
『ニーズヘッグは北欧神話に出てくる、世界樹の根を齧っているドラゴンよ』
「そりゃまた……主人思いの、学とユーモアのある悪魔さまで……」
そんな軽口を叩いていると、
今度は――キィンッ! という甲高い
デーモンは木の根を齧る蛇だという話だが、主人の方は容赦なく殺しに来ている。
それを
「おいおい、タイマンの最中によそ見はいかンぜ……」
「お前は
「いや、そういう話ではあるンだがね……まったく」
【
両腕の当りから伸びた枝葉は、途中から無数に分岐して、所どころ【
その下で
しかし、
「なんでだ……? それ以上進むと陣笠の旦那も【
よくよく見れば、
見れば、マキシは【
最初からそのつもりでそこに寝かせたのだろう。気絶していると思しき部下の男も、その影響範囲内だった。
蛇のデーモンの発動条件は恐らく、有効範囲内での
攻撃の意思のようなものに反応するらしく、剣を構えて踏み込めば、それだけで見えない斬撃が飛んでくる。
『マキシちゃんの拘束具、解除できるわよ――』
「すまン、ちょっと待ってくれ
どうするか。起こせばマキシは、躊躇なく
向こうの目的がこちらの殲滅ではなく、
「陣笠の旦那を起こす方は?」
『難しいわね……昏睡誘導系のAIアプリは除去できたけど、このデーモンAIをどうにかしないことには、
「そいつを、マキシの嬢ちゃんに頼めンか?」
『伝えることは出来るけど……』
「拘束具を解除する前に伝えてやってくれ、あの位置で
『分かったわ』
話が終わるのを待っていたかのように、
それを斬り払った瞬間、今度は
返す刀で、極超音速の弾丸を弾き飛ばした。
衝撃で、ビリビリと空気が震えている。
「話はついたかしら?」
下がろうとする朝比奈を追って、更に一歩踏み込む
背後には【
かといって身を躱すわけにもいかない。
その弾丸を再び、
しかし息つく暇もなく、すぐに【
「なかなかしぶといわね、
「死なねえンが
自動斬撃はやはり、
踏み込もうと気を張れば、機先を制するような早いタイミングで襲ってくるが、受けに回ると今度は後の先のような一定のリズムでの攻撃に代わる。
正体が分かったところで、これを突破することは出来ないが、今の
正確には蛇のデーモンと違い、唯一、
それがこっちを向いていれば良い。
それを視界の端で見ながら、朝比奈は更に踏み込んで、蛇のデーモンの
ゆっくりと巨大なヘラジカのデーモン【
デーモンAIが組み上がる瞬きの時間でいい。
だが――
「マキシの拘束を解いたのか」
後一瞬、角が組み上がれば、例の
その銃口をマキシに向けようとするのを見て、朝比奈は
「嬢ちゃんはやらせンよ」
「正気か、貴様」
「度胸試しだ――俺のデーモンAIとやら、聞こえてンなら粋がって見せなッ!」
チキチキと音が鳴って、朝比奈と
「く――ッ! やるじゃないか
その度胸試しに、
これまで王のようにそこへ立っていた
鞭のようにしなる
「嬢ちゃん今だ、やっちめぇッ!」
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