22 使い捨て:Disposable
「陣笠の……あンたが、カドクラの
初対面の
「どうしてそう思うんです?」
それを一目で
だが聞けば、至って単純な理由だった。
「ミーティングの最中に、全員に
「それに?」
「ニシカミ
「それじゃあ、カドクラに取り入るのが目的で?」
「そンな悠長な話じゃねえよ。今回は仕切りがニシカミだからな……保険を掛けておきたかっただけだ。陣笠の旦那も貧乏クジを引いたクチだろう?」
「貧乏クジ……まあ、たしかに」
仕事は仕事。そういうスタンスの
「今回の件でニシカミ
ニシカミ
だがそれは過去の話だ。
トバ・スクリームフィストが活躍していた時代には、一線級の企業だったのかもしれないが、今や
とはいえカドクラにしても、このトバ
「オレにも戦ってほしいと?」
「……それは願ったりなンだがね。だが、そうするとあンたに怪我をさせたくないニシカミに角が立つだろ。まあ、こっそりとバックアップしてくれるだけでも助かるって話さ」
「トバ組に
「
「ああ……なるほど」
つまりこの男は、
筋を通し、先代の一人娘が生きていれば
その割には、生き汚い風もない。
「アンタ、名前は?」
「
「アルテミス・ワークスの
「これはなンだい?」
「接続した
「その言い方だと、付けてると陣笠の旦那が、俺の身体を操ったりも出来るように聞こえるンだが?」
「
「まあ旦那も、黙ってりゃいいことをわざわざ言ってくれてンだ。俺も信用するとするよ」
怒るかとも思ったが、意外にも
*
それはそれとして、案の定、現場は碌でも無かった。
「こっちの人形は片付いたぞ。軽傷二名、重傷者一名、回収を頼む」
トバ
テロリストに
しかし、現実は
そこまでは予想通りと言えば予想通りだ。
「しかし、この気色の悪い人形は一体なンだ? 陣笠の旦那よ」
斬り落とした
まだスキンも張られていないような、急増で組み立てられただけの
「
「体をサイバーウェアに置きかえるンじゃあなくて、脳みその方をサイバーウェアに詰めるって話かい。ゾッとしねえな」
彼は前線に立つには珍しく、体をサイバーウェアに置き換えていない。サイバーウェアは本来、欠損部位を補う医療技術だから、それだけ
「脳みそを使わず、パーソナル・データと
「陣笠の旦那、そのロボットの話なンだが……脳みそを詰める先に、市街専用の
車体のサイズは通常の戦車よりも小さいが、車輪を備えた多脚型であるため、縦横に大きい印象を受ける。
名の由来のタコというよりは、地グモの方がシルエットは近い。
「
「そうは言っても、こっちは負傷者抱えてンだぜ?」
そう言いながら、
「――
その様子から、問答をしたところで意味のないことだけは分かった。
「……わかりました。オレが出ます」
「そ、そんな! やめてください! 貴方に何かあったら、我々はカドクラから切られてしまう……!
行く手を遮るニシカミの部長の言葉に、
人間を道具扱いする意味では、命を使い捨ての駒にするのと、脳みそにして
しかも笑えないことに、
「……なら……好きにするさ」
モニター車を出ようとした、
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