8 スリーパーズ:Sleepers
「……しかし、そのスピンドルと繋がりを疑っているオレを、今回の
疑わしい
「君を、この
「
「だろうな……実際、遠隔で侵入を試みた
ヴァージョン・アップ紛争を経て、停戦条約の改定により、
それは
「だいたい一体誰に……いや、オレに関係があって『カドクラの次女』のアンタにそんなことを連絡できるヤツと言えば……まさか……」
それを肯定するように、
「そうだ。察しが良くて助かる。連絡はスピンドルの宇宙開発研究所から。差出人はその所長……
あの男は地上には一切興味を持たず、太陽系外探査のための、
おそらく亀裂が入ったのは、母の死。そして、あの男がますます研究にのめり込むようになってから。
だが
しかし、その鬼気迫る様子と人嫌いになっていく姿を見て、父とは距離を置き、地上へ降りる決心をした。
地上――ニュートウキョウへ降りてからは、一度も連絡を取ってはいないし、向こうから連絡が来たこともない。
「それが、今になって……?」
思わずそんな言葉が零れた。
「それは私も同じ意見だ。昔の彼ならいざ知らず、今の彼が地上に降りた息子を気にかけるとは思えない」
「じゃあ、罠なんじゃないですか?」
「それも同じ意見だ、だが……これを、そのまま放置するわけにもいかなくてな」
荒く暗い、森の映像。
「すでに、他国の部隊が掠め取ろうと動いている」
ヴァレリィがそう言って映像の一部を
「装備が各々バラバラですね……
「
ヴァレリィが
「ユーヴィ・クランシーズ、
「いや、今回動いているのは別だろう。どんな
「たしかに、ユーヴィの生ける伝説と言われる
極東首都ニュートウキョウは、基本的には
しかし、
防諜や水際対策が致命的に弱いスパイ天国。
前世紀からずっと、そう揶揄される
そして世界でも珍しい、ほぼ単一民族による先進国家という特性から、スパイを送り込めたとして、大きな工作は目立ちすぎるのが実情だ。
それが
「だからといって油断はするなよ。すでに、カドクラ本社の即応部隊はこの連中に全滅させられている。現在は本隊が到着して交戦中だ」
「どういう部隊なんです?」
「
「即応部隊用のAIを、潜入工作員に流用したと?」
「むしろ、こちらが本来の使い方のようにも思えるな。【
「具体的には?」
「一般就労ビザで入国、何食わぬ顔でその国で生活させる……当人に
「それだと、まるでAIアプリが
AIアプリが休眠状態の間は一般人と変わらず、発見は困難。起動すれば、
人とAIの主従が逆転してみえる。
だが、その事よりも、もっと直接的に気になることがあった。
「ユーヴィ・クランシーズが、わざわざ伏せてあった虎の子のカードをここで切った理由は……?」
存在そのものはカドクラ側にバレている。それなら、潜伏させたままにした方が良い効果を生む。
陽動や疑心暗鬼を狙って、ユーヴィ側が意図的に情報を流していた可能性も高い。
だが潜伏任務を捨ててまで動かした部隊が、仮に流星――
とすれば狙いは、
つまり有線接続を指示した父・
「
「それは――」
「この音……
咄嗟に音の方に振り返ると、隣に座っていた
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