エピローグ
エピローグ
この世界には生きれなかった人がいる。
それはむしろ死ににくいシステムに身を置いている人も例外じゃない。人は1人では生きてはいけないはずなのに、孤立してしまった人間は遅かれ早かれ死んでしまうのだ。
救えなかった僕が言うのもなんだが、もっと他に手を差し伸べてあげる人がいたら、明日は変わったのだろうか。
きっと、僕は人生最後の日もこの日の事を思い悩んでいるのだろう。
次の日、君は死体として発見された。
朝早くに学校に来て、僕が見つけた。
君は後頭部を強く打ち、即死だったそうだ。
ありえない方向に折れ曲がった四肢に、乾いた赤い水溜り。それがもう”君“じゃなくてただの肉塊なんだという事を物語っていた。
最後に抱きしめたかったけれど、肉塊は思ったより重く、ダメだった。
その日の学校は授業どころではなくて、一日中教師が罵声怒号を浴びせあっていた。結局休校という形になり、僕は事情聴取で教務室に幽閉された。
でも大人たちの責任の押し付け合いは見るに耐えなくて、僕はこっそり教務室から逃げた。
君のいないいつもの屋上は、何処か物足りなくて。茹だるぐらいの太陽に焼かれながら、君の煙草を吸ってみた。
君の見えていた世界。
少しだけ、分かった気がした。
追慕 クエンさん @makan0903
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます