第26話 静香視点
……み、見ちゃった。
男の人の……あ、あれって、あんなになるの?
て、テントみたいだった……すごかった……。
うぅ……もう、お嫁にいけないよぉ。
気にしないふりしたけど……ずっと、頭の中にあるし……。
そもそも、兄さんが起きないのが悪いのよ。
「もう……兄さんのバカ」
「しーずか!」
「きゃっ!?」
「ふふ〜また大きくなった?」
「もう! やめてってたら!」
「あはは、ごめんごめん」
学校のベンチに座っていた私の後ろから、いつもみたいに乗っかってくる。
その際には、もれなくお触りをしてくる。
(付き合いは長いけど、相変わらずよね……)
「理沙、用事って?」
「そろそろ良いかなって」
「……家のこと?」
「そうそう、お母さん再婚したんでしょ?」
理沙には色々と世話になったから、唯一家のことを話してある。
もちろん……兄さんを除いて。
「うん……」
「なに? 嫌な人なの? ……まさか! 静香の体を!?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「まあ、そんなエッチなビデオみたいなことはないか〜。どんな人?」
「うーん……優しい人だと思う。私にも気を使ってくれるし……部屋だって用意してくれたんだよ?」
「へぇ〜、それなら良かったじゃん。じゃあ、今度遊び行っても良い?」
「いや、それは……」
「ん?」
「ほら、まだ私の家じゃないというか……」
「ああ、そういうことねー。まあ、再婚相手の家だから気を使うか」
「そ、そうなのよ……もう少し待ってね」
「うん、わかった。じゃあ、私は部活行くねー」
「ええ、いってらっしゃい」
(ふぅ……流石に誤魔化しきれないわね。やっぱり、兄さんと相談しておいて良かった)
あの子になら……別に知られても良いんだけど。
でも、そうすると色々なことがバレちゃいそうで……。
私が、兄さんのことが好きなことが……。
そして週末になり……いつものように、私は日記を眺める。
「えっと……初のバイトをして……」
前日から緊張して、あんまり寝れなかったけど……。
兄さんが、優しくフォローしてくれた。
男性が視線を向ければ、さりげなく壁になったり……。
私が辛いかもと思ったら、さっと来てくれた。
「おかげで、失敗することもなかったんだよね……ふふ」
(兄さんの慌てようがおかしかったなぁ……コップを割ったこと)
「でも、おかげでリラックスできたよね。何より、胸を隠さずにすんだ」
着替える時に迷ったけど、兄さんがいるから平気と思えた。
「それに……兄さんに見られるのは嫌じゃないし……」
(あぅぅ……私って、そういう子だったの? あの映像も頭から離れないし……)
「何気に見てるのには気づいているんだよね……興味あるのかな?」
(一度は告白されたわけだから……そういうことなんだよね?)
「まだ好きなのかな……なんてね」
(そんな都合のいいこと考えたらダメだよね……)
「むしろ……私の方がダメかも」
(二日目のバイトの時、兄さんが女の子と話してて……なんか、イライラしちゃった)
「多分……嫉妬したのかなぁ……兄さん、私にはあんな風に接しないもん」
(気軽というか……私にはすごく気を使ってる感じがする)
「……最低だね、私……それを望んだのは私なのに」
(それなのに、つい……アーンとかしちゃうし)
「あぅぅ……なに考えてるだろ、私……」
(こんなんじゃ、どんどん好きになっちゃうよね……)
「バイト、別々にした方が良かったのかなぁ……」
(でも、一人じゃ不安だし……兄さんいると安心できるし……)
「でも、そうすると……もっと好きになっちゃうし」
(……あれ? これってつんでる?)
「はぁ……やっぱり、理沙に話してみようかな?」
……うん、そうしよう。
それで、色々と考えてみよう。
私はそっと日記を閉じて……眠りにつく。
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