第4話静香の気持ち
……ふぅ、どうにか平静を装うことができたかな?
まだ、胸がドキドキしてる……。
冷静を装うことができたかな?
「はぁ……どうして、こうなっちゃったんだろう」
まさか、告白されるなんて……。
いや、もちろん……そこそこはされるんだけど。
彼の視線からは、そういうものを感じなかったからわからなかった。
「どこから間違ったんだろう?」
私は事前に、お母さんから再婚相手のことを聞かされていた。
そして、男の子がいるということも。
その時は、まだ相手の息子さんは知らない状態だった。
理由は簡単で……私が、男の人が苦手だからだ。
お父さんは機嫌が悪いと暴力を振るう人だったから……。
「だから、相手の息子さんには黙って……どんな人か知りたかった」
お母さんの再婚相手の方とは、何度か食事をして……。
優しそうな方で、どうにか慣れることができた。
そして、息子さんにまだ知らせないように頼んで……。
「流石に同世代だし……色々と心配だったから」
自分で言うのもアレだけど、同年代ではスタイルが良いし……。
よく、男子達が見てくるのは知ってる。
「それで、同じクラスの男の子で……でも、全然話したことはなくて」
そもそも、男子が苦手だから……。
それでも、どんな人か知りたかったから。
「人がいない時に、勇気を出して話しかけて……」
そしたら、物凄く良い人で……本の趣味とかも一緒で。
落ち着いてて……他の男子みたいに、うるさくなくて。
私の身体ではなく、きちんと目を見て話してくれた。
……たまに視線が胸元に来ることはあったけど。
「それでも、話していくうちに安心した」
この男の子なら、上手くやっていけそうって。
話してて気まずくないし、イラやしい視線も感じなかったから。
「なのに……告白されちゃった」
あの日私は、手紙を受け取った。
内容は、話がありますとだけ……。
「だから、てっきり再婚の話かと思ってたのに」
でも、何より驚いたのは……私がドキドキしちゃったこと。
いつもなら、冷静にごめんなさいするのに……あんな声を出しちゃった。
「帰ってからもドキドキが止まらなくて……」
結局、モヤモヤしたまま当日を迎えて……。
でも、そこで気づいた……彼の顔を見た瞬間、ドキッとしたから。
「多分……少しだけ、好きになっちゃったんだと思う」
でも、家族になる人だから……それを無意識のうちに封印してたのかも。
それを、あの告白が……解いてしまった。
「でも、もう振っちゃったし……彼も、ふつうに接してたよね」
だから、もう切り替えたのかもしれない。
それはそれで、なんだが腹が立ってくるけど……。
「私に言えた義理じゃないよね……」
でも最後のセリフ、かっこよかったなぁ。
私が気を使わないように、考えてくれたんだなぁ。
「うん……私も切り替えよう。これから兄さんになるんだから」
この気持ちは封印して……きちんと家族になろう。
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