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 そして、彼は死んだ。

 新聞の一面になっていた。

 街を守ったヒーロー。そんな見出しだったような気がする。

 わけがわからなくなって、部屋を飛び出して。踏切にいった。

 彼からの連絡は来てない。

 連絡が来てないから。彼は生きてる。彼はいつものように。この踏切に来て。そして、眠かったらまた止まらずに踏切に。それをわたしが。

 彼は。

 来なかった。

 待った。

 その日は学校に行かなかった。一日中踏切の前にいた。電車が通るだけ。彼は来ない。

 夜が終わって。

 朝陽が踏切の向こう側から出たときに。はじめて、もう、彼が来ないんだって、わかった。わかってしまった。

 彼の死を、理解したくない事実を、そのまま理解してしまって。

 そして。わたしは。わたしの人生も。

 もう、どうでもよくなった。

 そしてはじめて、踏切に突撃する彼の気持ちが、わかった。

 彼は、本当に正義の味方で。そして、もうここには来ない。

 あなたのところに。

 わたしも行きたい。

 隣にいたい。

 踏切。

 歩き出す。

 その向こうへ。

 彼がいるはずの、ここではないどこかへ。

 電車が来る。

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