No.3『ミィーゼルグリア』

「さて、紹介に上がりましたミィーゼルグリアでございます。他所様の信者様方に何を伝えたものか悩みに悩みましたが、まあ何を言っても怒られそうですから我が神の話と致しましょう」

 パン、と両手を合わすのを見る。

 いいのかシスター。その入り方で。

「我が神fGmyp .:」

 ドン、と足踏み。

「失礼。頭に文字は浮かびましたか?あなた方の使う文字で、似た見た目のものを宛てたのが先程のものです。我が神は私では読むことができません。なので文字を示しました」

 再度、パン。

「我が神は神話を持ちません。大半の神の視点では持ち合わせない現世利益を気にされていまして、つまりはあなた方を助けたのは我が神の意思です」

 パン。ドン、ドン。パン。

「とはいえ改宗を迫っているのではないのです」

 ドン、ドン、トン、トン、コッ、コッ、

「我が小神fGmyp .:はあなた方の信仰を尊びます。他神信仰まことに結構。ただ他所の神を信仰するものがふらりと助けた。それをおぼえていてほしいのです。それが我が神の力になるのですから」

 コッ、パンッ、トン、ドン、パン、カッ、トン、

「あなたの神にfGmyp .:は手を差し伸べあなた方は救われた。が、が。救われたことを他の人には聞かれないようにしなさい。あなた方を救ったのはあなた方の神。そうなさい。そうするのです」

 パン……、パン。

「ああそうそうみなさんパンは好きかしらええそうところで空が緑に染まコオロギがあなたを向いコッ、トン

 畑からは豚が実のりそ

い蜂蜜が川を流

   ああそうそうみなさん肉は

」パン、パン「

 みなさん

「長い話だからと寝られると悲しいですわ」

 パンッ!

「さあさあ、そろそろご飯のお時間でしょう。説法の時間は終わりにしてご飯ですよご飯。はい、出た出た」

 教会?祈り小屋から出ていく村人を見ながら、ゆっくり深呼吸をする。

 頭が妙にふらつくし、パンとお肉の話ぐらいしか思い出せない。

「長々とやると危ないので最後だけ強めにしましたけども、ツムギさんは大丈夫です?」

「精神防御の類は積んでますけど 、突っ切って効いてるんでダメです」

 二回目に手を叩いた辺りで思考が溶け始めたから、味方じゃなかったらどうしようもないとこ。

「あー、あぁ。ツムギさん、ツムギさん。勘違いされてますけど、守り方が違います」

「まだ脳とけてるんでこたえとかいいんでなんとかして」

 しょーじき、吐く。

「では宿題としまして、はい、よくなりました。よくなりましたね?」

「……よくなりましたけども、なにこの」

「魔法でもないんですから、もっともっと頭をかたく考えましょう。信仰で凝り固まった人が教えているんですから」

 よくわかんねーです。



 ではここで神の言葉を一つ。ええ我が神は少神と名乗っておりますが、語るところ

「大神とか言って滅んでるけどばかじゃねーの」

と。

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