No.6『クゥオーダイム・フィッテンカムイ』

「良き、良き。さて処理を」

「クオ先生」

「なんじゃね」

「必要なこととはいえ、買った本を即燃やそうとしないでください」

 その束でいくらなると思うんですか。

「後で内容なら教えるぞ?」

「自分で読みますから、読み終わったのにしてください」

「……ダメか?」

「ダメです。灰にして取り込まなくても、読めばいいじゃないですか」

 横着し過ぎですよ、先生。

「だって楽じゃし。読めば月食み一回も、灰を啜ればミクイチョウの鳴く間じゃよ?」

「このペラい恋愛小説に半月かけないでください。私まで回ってこないじゃないですか」

「さっきと言ってること違わんか」

「小説の、それも恋愛ものに限って読むの極端に遅くなるから言ってるんですが」

 普段ほうほう言いながらパラパラめくって読み終えるのに。

「あと、生前の姿を取るのもいいですが、にしたってその服センスないから離れて歩いてもらえませんか」

「口悪くないかね」

「そういうクオじいはセンス悪いですよ」

 なんです、そのマリファナって文字としいたけの絵に、ふきだしで発がん性物質って。第三類医薬品でもないし。

 この世界で通じないからまだしも。

「……うん、儂離れとるから好きに買い物しい、の。離れとる、からの」

 ……まあ、こちらも悪いとは思うので、今度服でもプレゼントしますよ。



クゥオーダイム・フノ ム


人のことを知る前に自身について理解を深めた方がいいのではないかね?

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