No.17『ルォダンチャ』

 ……おや?

「ドン、また料理ですか?」

「まぁなぁ。さっすがににおいわかんないから困ってっとこだわ」

「ピィラちゃんに嗅覚もらうか、クオ先生に術でも組んでもらいます?」

「どっちもやったけど育ってない。いつかは人並みの嗅覚になるらしいけども」

 骨が人並みになるってすごいですね。

「味どうやってるんです?」

「ルゥルゥの口で食えるの全部食って、肉やら野菜の味おぼえた。地頭よくなったからか、魔法みたいなんにまとめれるし、リッチも悪くねぇな」

 つまり、魔法みたいなものに、味覚反応をまとめたと?

「何をどうすればそういうことになるんですか」

「味わからんと料理なんてできんだろ?」

「そもそもピィラちゃんいない時とか、味見は」

「口もらったし」

 ……いやまあいいんですけど。いいんですけどね、ピィラちゃん私のじゃないし。

 で、

「その作られてるのはなんなので?」

「ここらの料理でガーランクルっつー名前のやつ。蛇肉の塩食いキノコソース炒め」

「無闇に強そう」

 一昨日もらったダンボッツといい、なんなのこの村。



ピルカグラ地方の昔ばなしより抜粋

ルォダンチャはある村からは20人分の食べ物を、ある村からは30人分の水を、ある村からは5人分の服を持って行きました。

ああもう嫌だ

そう思った村人たちはルォダンチャに酒を飲ませ、眠るうちに腹を捌きました。

次から盗賊たちは、すべての村から全ての持ちだし、村は全部なくなりました。

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