No.7『ピィラ/ルゥルゥ/パラサンテ』
「ピィラちゃん」
「ん」
「おやつ食べましょう」
「んっ」
今日は勉強もなし。ピィラちゃんの日なので日付が変わるまでゆっくりです。
「口、作ってくださいな」
「ん!」
通常、リッチ化したら骨でも喋れるのに、彼女は喋れないですからね。やっとこう、意思の疎通というか、出来るようになって助かりました。
「オネエチャンデキたヨ」
「今のたの鳴らし方はよかったですね。すごいですよ、ピィラちゃん」
「んっ」
なでりなでり。花冠付きの頭蓋骨を撫でると、本当うれしそう。
まさかスライムなんてものを使って口を作るとは、しかも五感繋がってるとか天才ですね、この子。
「今日はクッキー。はい、鳴らしてみましょう。く、っぅ、き、い」
「くっキー」
「よろしい。どうぞ」
口の中に放り投げて、投げては噛むのを見て。
歯とかどうしてるのやら、スライムでしょこれ。アゴとか口の標本みたいなのが動いて食べてるとか、いやどういう技術やら。
「とーゾくサンノクッキー」
「ドン・ルォダンチャ、お菓子作りにハマってるんですよね。あと、クッキーの鳴らし方は完璧でした」
「クッキー、クッキー、クッきー」
「最後のきがずれましたね」
さぁて。食べ終わったら書き物の続きでもしましょうかね。
るのだ。特殊な例で言えばワグナクルである。この世界のシステムでは、世界を構成する要素の余剰をスライムとして動かしている。ピィラ/ルゥルゥ/パラサンテ女史が纏う肉体も、ワグナクル産スライムを利用した物と聞く。とはいえ、余剰にせよ要素を利用す————
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