不死憑きの少女のはなし

@kil

No.15『ミィフ・クゥランタルフ』

 あ、書き間違えた。

「あー、嬢よ、君にそちらの才能は、なんだね、何度も言われ哀しいのはわかるがないんじゃないかなと。必要ならば代筆するのだし」

「ミィフ先生」

「おお、わかってくれたんだね?」

「それ以上言うなら送還します」

 還されるの嫌だからって、バラバラになって地面に落ちるのはどうかと思いますよ、偉大な不死者が。

「還されたりなんかしたら、また一周冥府待機じゃないか。どちらにせよ、あと半日もないのに」

「ご自身で出てくればいいじゃないですか。最近、三日に一回出てくる方いますよ?」

「クゥオーダイム師ぐらいだからなそれ出来るの」

 クオ先生は六番目ですし。

 会った時なんて、魔力で魔力作るとかいうよくわからないことしてましたからね、あの人は。

「実際のところ、出て来れそうですか?」

「私の核ではまだ無理だな。クゥオーダイム師か、リア嬢でもなければ、一日どころか数分すら厳しい」

「根源核ならどうにかなるのでは?」

「君らが言う根源核が何かは知らんが、私程度でも、死体を動かすのに必要なエネルギーは莫大だからね。それでなくとも、死んだ段階で核が破損するのだから、エネルギーを貯めておけんよ」

 そこの考え方というか、法則は、やはり違いますね。

「他の核を利用して、破損を埋めればいいのではないでしょうか」

「使用する核を変えるならばいいが、修復はむりかな。一度に数万使用でもしなければ、すぐ元の形に引っ張られるよ」

「それなら、核をどうにかして強化して、入れ替える」

「まだ、そうだね、それなら出来なくはないかな」

 でも、結局穴は空いてるんだけどね。

「生きたものから核を引き摺り出した段階で核が傷付くからね。まず数万個の生物核を練り上げ一つにし、次は不死者に耐えれる核まで強化

「それを拒否反応出させず交換する、ですか」

 そして、生物核。たぶん根源核と同じものでいいはずです、が。

「ピィラちゃんのスライム合成実験とか、核が一つになるタイミングがあるそうですけど」

「ピィラ嬢やだ。あの子私の体すり潰してスライムに食わすし」

「全員やられてますし、一回だけですよ」

「何作ろうとしてるのそれ」

 なんなんですかね。皆さんなんやかや研究してますし。

 ドン・ルォダンチャすら研究しだしてますし、リッチ化すると研究欲でも生まれるのでしょうか。

「さて、嬢。そろそろ趣味の時間はやめて、勉強の時間にしよう。教科書263ページ、ガラリマハル師曰く、世界間に張る鎖を使用し渡る事が出来るとある。これはたし————」



ミィフ・クゥランタルフ

求光歴736〜759(渡守算18277)


生物核研究の権威。死後にはアンデットとなり研究を続け、損壊した生物核を修復する方法を見つけだす事に成功、呪いにより傷付いた生命の治療を可能にする一歩となった。

とはいえ、数万体にも及ぶ生物の核を使

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