マルナ姫防衛篇
閑話休題 女神・森
あたしは森利花。
これでも、大和撫子の女神の一人だ。
この物語の主人公、ノルンをスピリトゥスに転生させた女神だ。
しかし、大変なことに巻き込まれているなぁ。
あたしはそんなつもりであの世界に転生させたわけじゃないのになぁ。
今週は12話、テレビでいう1クールが過ぎた記念で、あたしが語らせてもらう。
これも転生課の仕事の一部なんだ。許してくれ。
ま、アニメで例えれば、急遽入った総集編だと思ってくれ。
なんで、総集編みたいなものになっているかって?
女神が言うのもなんだが、察して欲しい。
あたしもノルンの現状を取り巻く現状を整理したくてな。
まだ一ヶ月も経ってないというのに、ノルンの周りには色々起きたな。
狼を仲間にしたり、勇者パーティもどきを退治したり、ハーピィ、スライム、魔族と戦ったり、姫様を保護したり、本当に大変なことに巻き込まれているな。
あたしとしても、これは不本意だ。
こんなつもりで転生させて派遣させたわけじゃないんだ。
それが国の一大事に巻き込まれることになろうとは……。
ノルンには本当に申し訳ない。
あたしはノルンに対する申し訳なさで、改めて神の力で異世界スピリトゥスを調べ始めた。
調べてみると、どうやらあたしが転生させるより前に、イグナイト王家は没落していた。
しかし、民衆はそんなことをつゆ知らず没落前と同じように過ごしている。
魔族と契約した悪徳政治家が実権を握っているというのに。
これらの実態は、ノルンに報告した方が良さそうだな。
他にも、彼女たちの逃走用の転移先も考えておかないとな。
大陸の国だと、ブリッツ合衆国、アクア湖国、クレイ公国、ヴェント市国、グラキエス帝国……。
いっそ大陸の外へ飛ばそうとも考えたが、他の大陸にノルンとマルナが受け入れてくれるかも怪しい。
別大陸だと魔法の概念自体や常識や世俗も違っていたりするからな。
いや、大陸内のどの国も怪しいもんだが……。
あの森だけ、というのも心細いからなぁ。
しかし、ノルンの奴は不思議な奴だ。
狼の群れだけでなく、ハーピィ、スライム、犬神、吸血鬼、そして姫。
随分、家が賑やかになったもんだな。
あたしはこんなこと、想定してないぞ? 本当だぞ。
前世とはえらいコミュニケーション能力が違うな。
あたしとしては喜ばしい成長だが、ノルンはお人好しすぎるきらいがあるな。
人を見抜く力を与えてはいないから、騙されないか心配だ。
幸い、出会った人物は善人だからいいものの。
あッ、これは魔物と神獣、魔族も含めての発言だ。
改めて述べるが、あたしが与えた力は、ノルンの設定の神の剣以外の継承、高い魔法適正、そして不老不死だ。
これについて彼女に謝りたいことがある。
不老不死なのだが、斬首された場合、首に命が宿るようになってしまっている。
これは別の大陸の不老不死の魔女がそうなったことを知ったからだ。
これは火急に伝えなければならないだろう。
ノルンがそうなったらスピリトゥスはおしまいだ。
あたし自体の首が飛びかねない。仕事的な意味で。
折角、転生課の仕事でストレスが緩和されたのにッ!
他の転生者を用意する暇なんてない。
ノルンに期待するしか、あたしの未来はないんだッ!
なに? 女神だから、未来のことがわかるんじゃないかって?
そんなの女神じゃなく、どこぞの未来ロボットにでも訊けッ!
女神はそんな便利なことできないんだぞッ!
とにかく、期待するな……うん?
はぁ……。
どうして厄介なことがこう起きるかな……。
すまん、こっちに今、速報が入ってな。
どうやら、面倒な奴がマルナの首目当てであの大陸に渡ってきたらしいんだ。
ノルンたちに被害がないといいが、不幸にもどこにいるのかまでは掴めていない。
そいつがノルンたちとぶつかると思うが……。
そいつも含めてノルンに注意する必要があるな……。
ノルン、お前の手にスピリトゥスの未来が懸かっている。
幸い、彼女が上昇志向だからいい。
最近、同僚から訊いたのだが。
「あなたの管理する世界、性格が狂っている奴がいるわね」
そいつは狂敵となるやもしれん。
頑張れ、ノルンッ!
あたしはできるだけの情報をお前に伝えてやるからなッ!
若干、今後の予告風みたいなものが混ざってしまったが、あたしからの話は以上かな。
みんなにはブックマークしてくれたり、評価をつけてくれたのも嬉しい。
ここで女神として感謝を述べる。
ありがとう。これからも応援のほど、よろしくお願いするぞ。
これからも、頑張って週一ペースで上げていくからよろしくな。
あと、誤字脱字が多くてごめん。
追々余裕が出てきたら直すつもりだからそれまでは本当にごめん。
コメントはどういう形であれ、くれると嬉しいぞ。
さて、あたしはノルンの転移魔方陣の準備をしていかないといけない。
えッ? 課長?
次の敵予告もやれって、無茶を言わんでくださいよ。
あたしにはそんな予知なんてありませんから……。
えッ? なら、同僚に代えて、あたしを天国のトラブル解決に回ってほしいって?
冗談ですよね? あたし、転生課の女神ですよ?
クビってことですか? いや、違う?
一時的? あの、この後、仕事も控えていますけど……。
あとにしなさい? いやいや、それはちょっと――。
森利花から代わりまして、中野未来(みたか みく)が次の敵を予告します。
わたしは森と違い、未来を少し覗くことができます。
無論、当たるも八卦当たらぬも八卦。
わたしの未来を見る力は万全ではありません。
ノルンという人間のサポートは引き続き森に任せるとして、覗いてみましょう。
どうやら雪国にいるみたいですね。
『随分、寒いところに来たわね』
女の声が聞こえますね。これはテレパシーの類でしょうか?
「そいつは案外、国の外へいるかもだな」
しかし、姿は青年が一人。女はどこにいるのでしょうか?
『それで、わたしたちはこんな冷たい場所に来た理由は?』
いや、女はいる? 女の口と舌が見える。
しかし、女の顔の位置がおかしい? 青年に付いてるみたい?
「案外、獲物はこういうところにいるものだ。人が立ち入れない場所に――」
最後まで聞き取れませんが、二人組が来ているようですね。
お勤めを最後まで果たせず、申し訳ありません。
森が戻ってくるようですね。
わたしが皆さまにお伝えした敵が訪れるかどうか、見守ってください。
ぷはぁーッ! やっぱ天国の仕事は辛いわッ!
そんで次回の敵を見てきた? あたしに教えてくれなくて困ったんだよ。
みんなが見ているなら、あたしはあたしで準備するけどな。
そういうわけで、みんな、これからもノルンの物語をよろしくなッ!
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