第17話 結局はなにもないのよね!!
結局は何もないのよね!!
学校が始まった。
私と、山本さんとメイはいつもの大教室の一番後ろに横並びで座って下を歩く学生達を見下して・・・、イヤ見下ろしていた。
「でその先は」と山本さん。
「いや、普通に初詣をして家までおくってもらって」
「それだけなの」と今度はメイ。
「たとえば何処かドライブに行くとか、何所かでお茶をするとか、」
「そういうところ無いから」
「そうか」
「こら、自分で振っておいて、納得するな」と山本さんが突っ込む。そして
「なんか時間かかりそうだね 」と山本さんが遠いい目で言う。
「そうだね」とメイが同じように言う。
「なになに、まるでこのまま終わるような空気感はなに」
「あっ、ごめん、そんな意味じゃ無いんだけれど」と山本。
「まあ、こう言うことは急いではダメということね」とメイ
「全く人ごとだと思って、でもなんか、メイって急に大人になるね」
「そうなのよね、どっちのキャラを作っているの」
「違うよ、人にはいろんな面があるのよ、山本さんだってそうでしょう」
「ああ、確かに」
「すごーい、山本さんがメイに言い込められている」
そんなことを言ったとき私の鼻に教室の隙間から冬の風が吹き込み、冬の香りがした。
でもそれはここではない香り、トロントのあの冬の香り、一瞬あたしの心はトロントに戻る。
でも目のまえで、笑い合っている山本さんとメイの笑顔に心がここに、日本に引き戻される。
ああ日本で暮らしても良いかなとなんとなく思った。
学校から帰り、駅を降りると、いつもの商店街と、その奥の住宅地、寒さがすこし緩んだかなとあたしは思った。
そしてあたしはちょとだけ叫んだ、梅だ、梅が咲いている。
日差しは暖かくて、いえそんなことはないんだけれど、まだ一月で、本格的な冬はこれからだ、ただ少しだけ心に負担がかかっていたといこと、
何に。
公君のこと。
でもあの初詣で何の解決の進展もないのに、何所かスッキリした、人はなんの解決もしていないのに気が晴れることがあるんだなと思った。
そして日本にいること、日本で暮らしても良いなと思い始めて、心の負担が薄れた、あたしはカナダに帰りたかったのか、なのに明らかにママとパパはあたしが日本で暮らすことを望んでいた。
それが負担になってたということ。
自分の居場所がわからなかったのではない、あの頃はカナダに帰りたかったんだ、でもママとパパの意向が知らずにあたしにどっちだか分からないと思わせてた。
そんなに親の影響を受ける子だったのかなと思ってちょっと可笑しくなった。
親といえば猫のバーバに最近あってないなと思った。
猫は寒さに弱いから、冬眠でもしてるのか。
うちにくれば、餌と暖かい場所くらいは提供するのにと思っておかしかった。
自由猫のバーバがあたしの世話になんかならないか。それより何所かで死んでないかってことの方が心配だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます