第11話 魔術師を捜索
「ーーーったく、アイツいつのまに俺のケータイに連絡先を登録させたんだ?」
学校が終わった直後、四季葉から連絡が入る、何でもあの魔術師をとっ捕まえるため、協力して欲しいということらしい……。
(…………別に俺はアイツを助ける義理はない………だが、どうせ四季葉がやられたら次は俺が狙われるだろう………なんせアイツの犯行現場に居合わせてしまった人間だ………それにーーーーー)
脳裏にフラッシュバックする、昨日の凄惨的な光景…………血の海に横たわる少女………段々と少女の姿が四季葉の姿に置き換わっていく
(ーーーーーッッッッッ……………俺は見知らぬ誰かが死んでも精神がごっそり削られる豆腐メンタルだ………だからーーーー知り合いが死ぬかもしれないのに指咥えて見てるだけなんてできない)
もしかしたら、自身の刹那の遅刻が四季葉の命を刈り取るかもしれないと不安になった俺は集合場所へと全速力で疾駆する
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーー待ったぁ〜?」
「………はぁ……」
学校が終わった後、四季葉に呼び出され………、目的は勿論あの見えない槍……魔槍を所持し、超能力者に復讐という名の八つ当たりをする魔術師を捕らえるため、指定場所に来たのだが………彼女の姿が見えず、十数分待っていると後ろから待ち合わせに遅れた彼女のようなことを言ってくる四季葉…………呼び出したくせに後から来たことと、もはや化石として扱われる寒いギャグにため息をつく時夜
「ーーーそれで、あいつが次に現れる場所は絞り込めてるのか?」
「………この近くから魔力が漂ってる、今までの犯行から見ても奴は路地裏を狩場にして被害者を襲ってるからね……そしてここら一帯の路地裏には式神を待機させてる………今度は逃さない」
とりあえず、四季葉の寒いギャグは軽くスルーして本題へと移る、どうやら相手の魔術師は路地裏を狩場にしているらしい……まぁ奴の武器が槍だと考えると理に適っている………どうやってもこの狭い路地裏では横移動はしにくいし、大きく動ける方向は前か後ろ、だが前に飛び出してきたら槍の間合いは長いので十中八九、獲物の攻撃より先に届くだろう、そして後方へと逃げても長い間合いと最短距離で伸びてくる槍からもそう簡単には逃げることはできない…………まさしく前門の虎、後門の狼、どちらに転ぼうと損はない………その上、学生連中が持っているかもしれない武器は基本的にはバットや木刀、どちらも振り回すことが想定される武器、だが少し狭い路地裏ではその動きは自分の首を絞めかねない………自身の有利を押し付けつつ相手の武器には不利を背負わせる、戦いの鉄則を忠実に守っていると言える……。
「式神?……ああ、前見せてくれた紙が人型になるちょっと可愛いやつか……ちょっと待て、それ俺の時は待機させてなかったのか?」
「うーーーん、今回ほど大規模ではないけど配置させてたし、君とやつのやり取りも一部始終は見てたよ、君が逃げた後すぐさま気づかれて潰されたけどね」
「俺が大声で叫んでたのを聞いたとかなんとか言っといて…………なんですぐ助けに来てくれなかったんだよ?」
「ごめんごめん、結構これ魔力使うからそう気軽に今回みたいな数は無理なんだよね〜前回も結構な数で網張ってたんだけど、私本体から遠くてさ、到着がちょい遅れちゃった」
「ーーーそ、そうなのか………わ、悪い無神経なことを言っちまって………うん?、でもそんなことして大丈夫なのか?、魔力ってよくわからんけど……ゲーム風にいうならMPみたいなもんだろ?、せっかく見つけてもいざって時に魔術が使えないんじゃないか?」
「大丈夫だよ〜今回は魔力を貯めておける魔道具を結構持ってきたから、魔力切れになるってことはないかな〜」
「な、なるほど……」
……時夜と会った時はすっとボケていたが、どうやら式神とやらで一部始終を見ていたようだ、その事実に迅速な救助が行われていない事に不満をぶつけるが、彼女なりの理由を聞いた時夜はすぐさま謝罪をする。
「ーーーキャッッ!!」
「「ーーーーーーッッッッッ?!!?」」
「ーーーッッッッ、魔力は感じないのにどうしてーーー」
「ーーー詮索は後だーーーーこっちからだ、いくぞ!!!」
「ーーーーーそうだね、締まっていこうか」
彼女の潤沢な装備をしているという事実に多少安堵した時夜、ーーーーー刹那、少女の短い悲鳴が響き渡る、前回の惨殺死体を発見する時とそっくり同じ状況に嫌なデジャヴ感を覚える時夜、横で絶句しながら解せないと呟く四季葉、思考の海に溺れそうになった彼女の手を掴み無理やり現実へ引き戻す時夜、現場へ急ぐ二人
異能特区 天倉彼方 @taroudati
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