第3話 中学生の私と怖い話をしたい先生。

 中学生になった私も怖いものが苦手なままでした。怖いものを避けてきたから余計に嫌いになったのでは、と感じる方もいるかもしれません。それは、決して間違いではなく、様々な苦手を克服できる・克服しようと頑張る方々はたくさんいると思います。それでも、私はどうしても触れたくないものであったため、克服しようとも思いませんでした。また、家族の中でも母以外は怖いものが苦手であったため、家で怖いものに触れることはほとんどなく、怖いものに触れそうになったら助けてもらえるような生活をしていました。


 第3話では、中学1年生のときのクラスで起きた話をしたいと思います。クラスで自由に活動して良い、調べ学習をしたり、先生の決めたレクレーションをしたりと将来のための活動やクラスメイトと仲を深めるような自由な授業がありました。ある日のその授業の初めに誰が言い始めたのかまでは覚えていませんが、おそらく夏だからなどという理不尽な理由で、先生が怖い話をすると言い出しました。さほど人数の多いクラスではなく、前列の席に座っていて、発言をすることに抵抗のなかった私は“絶対に嫌だ”と伝えました。しかし、クラスメイトたちは“聞きたい”というムードができあがってしまい、私は“怖い話をしている時間だけ外で待っていたい”と伝えました。それでも、先生はそれはだめだと言い、【怖い話を聞きたいクラスメイトと外に逃げては行けないという先生】の中で私はどうしたら良いのかわからなくなりました。私のクラスには、ロッカーの横に小さなスペースがあり、私はそのスペースで耳を塞いで、声を出して聞かないようにするという案を出しました。実際、それを行動に移し、小さなスペースに入って、“あー”とある程度の声量で声を出して耳を塞いでいました。私はこれで、怖い話を聞かずに済む、そして、クラスメイトの怖い話を聞きたいという気持ちを遮らなくて良いと思いました。

 しかし、私の思い通りに事は進みませんでした。小さなスペースで必死になる私に先生は近づいてきて、“それはあなたの方が怖い”というような発言を笑いながらして、出てくるように言いました。私は本当に怖い話を聞きたくなく、聞く気は一切なかったため、とても良い案だと考えていたので、残念に思いました。私は、私を連れ出した後先生は怖い話をやめてくれるのではないかと期待していました。しかし、先生は“そんなに怖くないから”と勝手なことを言って、怖い話をすることを決めました。クラスメイトたちをたくさん待たせ、静かに聞かなけばいけない雰囲気の中、私は逃げることも声を出すことも、話を聞かないように別の考えを頭で巡らせることも上手くできませんでした。つまり、私は怖い話を聞くことになったのです。先生は、“そんなに怖くない”と言っても、私にはとても怖く、心が苦しくなりました。薄れて消えそうになっているとはいえ、未だにその話を覚えていて、思い出さないよう、頭の中から消そうとしなければなりません。


 怖い話をするとき、怖い話を聞きたい人が多数派で、怖い話を聞きたくない人が少数派だと怖い話をすると決まったり、怖い話したかったのにと止めた人が悪者になったりするかもしれません。しかし、私のような形で怖いものが嫌いであれば、とても長い間引きづることとなってしまう可能性もあると覚えておいてほしいです。また、怖い話が嫌いな人の中には、私のようなトラウマのような形で残ってしまうタイプの方もいると思うので、無理をしないことを覚えてください。


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