第2話 小学生の私と怖いものが好きな友だち。

 第2話では、小学生の私のお話をしていきます。


 私が通っていた小学校は通学班で登下校する学校でした。ある日の下校で、通学班の1人の友人が“怖い話がしたい”と言い、私に“怖い話”を聞かせようとしてきました。しかし、私は怖い話が大の苦手です。もちろん“嫌だ”と拒否しました。しかし、その友人はどうしても“怖い話”をしてこようとしました。まだ小学生同士ですから、例えば虫嫌いな子に、嫌がってもそれを面白がって虫を近づける子に似た感覚だったのだと思います。それでも、私が“怖い話”を嫌いでやめてほしいことに変わりはなかったので、拒否し続けました。話を進めようとするときは、大きな声を出しながら耳を塞ぎ、時にはその場に止まって友人を先に帰らせようともしました。しかし、結局同じ登校班なため、攻防戦が続きました。攻防戦と言っても小学生の私にそう感じただけで、本当は数分のことだったと思います。数分のことでも、今も覚えているのは嫌だったからというだけではありません。その攻防戦に気づいた同じ登校班の別の友人2人の行動が私の記憶に残っているのです。“怖い話”をしようとする友人とそれを嫌がる私に気づいた2人は、友人と私の間に私の方を向いて入ってきて、少しふざけて私を笑わせようとしながら友人の攻撃を阻止しました。その後、ちゃんと友人の“怖い話”を止めてくれて、私は“怖い話”を聞かずに帰宅することができました。


 “怖い話”をしようとした友人にとっても、それを止めた友人たちにとっても何気ないことだったかもしれません。しかし、私にとっては“怖い話”をされて辛い思いをするかもしれない恐怖とそこから救ってもらった安堵と感謝を感じた大きな体験でした。

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