第98話
※天然たらしの発動効果を修正しました
修正前→発動効果:異性からの好感度が上がり易くなる
修正後→発動効果:異性からの好感度が上がり易くなる(NPC限定)
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「解せぬ! 【フレイムバレット】!」
「クエ!」
【ロウェナ平野】のとある一角では一方的な蹂躙劇が繰り広げられていた。
かつてないほど凶悪で無慈悲な攻撃にフィールドは阿鼻叫喚の地獄絵図の様相を呈していた。
「解せぬ! 【アイシクルバレット】!」
「クエクエ!」
モンスターたちが敵の姿を視認することはほぼあり得ない。
なぜなら自分が攻撃を受けていると理解した時にはすでに肉体から魂が解き放たれてしまっているからだ。
「解せぬ! 【エレキバレット】!」
「クエクエクエ!」
一人と一羽の蹂躙はその場のモンスターが全て狩りつくされるまで続けられ、山のように積み重なったモンスターの死骸がいくつも形成されていた。
最も、一人と一羽の内の一人は蹂躙が目的ではなく自身に起こった理不尽な事柄に対しての八つ当たりの側面が強く出ている。
それが証拠に魔法を発動する前に“解せぬ”という文言をまるで呪文の最初の句のように叫んでいた。
「なんで俺が天然たらしなんだぁぁぁああああ! 何が傍若無人ないたずら小僧だぁぁぁああああ!!」
「ブモォォォオオオオオオ」
そして腰に下げた鋼製の剣を抜き放ち、牛型のモンスターを一閃、これを討ち沈める。
魔法攻撃を含めた怒涛の攻撃は間髪入れずと言っても過言ではなく、告知の隙間すら与えてくれなかったため後告知という形になってしまった。
『ジューゴ・フォレストの【魔導師】がレベル20になりました。【フレイムストーム】、【テレポーテーション】、【デフレプロテクション】を獲得しました』
「よし、なんか余計なもんまでくっ付いてきたが、とりあえずヴォルフさんの言ってた通り覚えたな」
「クエクエ」
クーコも俺が新しい魔法を覚えた事を祝福してくれているようで、俺の横でコクコクと頷いている。
ちなみに今のクーコは元の大きさに戻っているため、俺の肩ではなく隣に並ぶように立っている。
あれからただひたすらに、ロウェナ平野のモンスターを狩りまくり【魔導師】のレベルを20まで上げる事ができた。
平野での八つ当たりという名の蹂躙劇が繰り広げられる前の魔導師のレベルは一桁だったのにもかかわらず、僅か2時間という短期間で目標のレベルにまで到達した。
ここまで早くレベルを上げる事ができた要因としては、ロウェナ平野に出現する主だったモンスターが強いことに起因している。
ジューゴ本人は気付かなかったが、このロウェナ平野に出現するモンスターの平均レベルは20から25と現在の中級レベルの実力を持つプレイヤーに匹敵する。
そんなモンスターをジューゴはこの2時間で100匹以上乱獲していた。
もちろんクーコも戦闘に参加していたため、全てのモンスターを彼が仕留めたわけではないが、それでもこの短期間でのレベル上昇は異常と言えた。
特に魔法職と呼ばれる【魔導師】、【僧侶】、【治療師】、【召喚士】などの職業は魔法を使用することで経験値を獲得できるため、戦闘で得られる経験値が戦士職に分類される【剣士】や【戦士】よりもかなり少ない。
それにも関わらず、戦闘行為のみで【魔導師】のレベルをここまで上げることができた事自体ジューゴがとんでもないことをしていると理解できるだろう。
ただ残念なのは本人がそれをまるっきり理解していないということだが、それを指摘できる人間がいないため仕方がない事だった。
激しい戦闘であったため、休憩がてら周囲にモンスターがいないことを確認した俺は、近くにあった直径2メートルくらいの岩の近くに腰を下ろした。
「さて、目的だった転移魔法は覚えたけど他に覚えた魔法も気になるし、この際見てみるか」
「クエー」
俺の呟きに好きにすればと言いたげな声で答えるクーコを尻目に俺は改めてウインドウで各魔法を確認していく。
まず初期の魔法ともいうべき【ファイヤ】【アイス】【サンダー】は説明不要だろう。
敢えて説明するなら「熱い、冷たい、痺れる」だ。
問題はさっきまで連発していた【フレイムバレット】【アイシクルバレット】【エレキバレット】の3つだ。
【フレイムバレット】
無数の火の弾丸を広範囲に渡って浴びせる魔法。 消費MP 8
【アイシクルバレット】
無数の氷の弾丸を広範囲に渡って浴びせる魔法。 消費MP 8
【エレキバレット】
無数の雷の弾丸を広範囲に渡って浴びせる魔法。 消費MP 8
とまあこんな感じだが、属性が異なる以外説明欄が同じというなんとも手抜き感が否めないが、弱点属性を狙った立ち回りでの汎用性は高そうだ。
【フレイムストーム】
広範囲に渡って炎で敵を焼き尽くす魔法。 消費MP 15
どうやらこの魔法は、フレイムバレットの上位互換的な魔法っぽいな、どの程度の威力と範囲なのか気になるところだ。
【デフレプロテクション】
対象の物理防御力を低下させる魔法。 消費MP 7
俗に言う【デバフ】っていう類の魔法だろうか、ステータス異常系の魔法らしい。
そう言えば大学時代のネトゲ廃人の友人がこんなことを言っていた。
“バフとデバフを侮る奴はネットゲーマー失格だ”と。
「さて、これで一通り魔法は確認したからあとは……うわああああ!?」
「ク、クエー!?」
今覚えている魔法を確認したところで、突如として体に衝撃が走り気が付くと穴に落下していた。
※今回の活動によるステータスの変化
【プレイヤー名】ジューゴ・フォレスト
【取得職業】剣士、鍛冶職人、料理人、盗賊、魔導師、鑑定士
【各職業レベルと補正値】
【剣士レベル37】
《パラメーター上昇率》
体力 +228
力 +160
物理防御 +148
俊敏性 +87
命中 +68
【鍛冶職人レベル35】
《パラメーター上昇率》
体力 +217
魔力 +85
力 +138
命中 +52
賢さ +60
精神力 +111
運 +8
【料理人レベル33】
《パラメーター上昇率》
体力 +165
魔力 +107
力 +72
命中 +60
精神力 +66
【盗賊レベル31】
《パラメーター上昇率》
体力 +145
魔力 +68
物理防御 +85
俊敏性 +142
命中 +107
賢さ +67
【魔導師レベル20】
《パラメーター上昇率》
体力 +40
魔力 +135
命中 +21
賢さ +81
精神力 +74
【鑑定士レベル30】
《パラメーター上昇率》
体力 +90
魔力 +90
物理防御 +90
命中 +90
賢さ +90
精神力 +90
運 +10
【各パラメーター】
HP (体力) 1168(973)
MP (魔力) 666(555)
STR (力) 456(380)《+82》
VIT (物理防御) 402(335)《+125》
AGI (俊敏性) 286(238)《+75》
DEX (命中) 487(406)《+48》
INT (賢さ) 370(308)
MND (精神力) 488(407)
LUK (運) 42 (38)
『スキル』
【剣士】
十文字斬り、身体能力向上、縮地、地竜斬、天空斬
【鍛冶職人】
鍛冶の心得
【料理人】
時間短縮
【盗賊】
気配感知、隠密、盗賊の心得
【魔導師】
魔道の心得
魔法:ファイヤー、アイス、サンダー、
フレイムバレット、アイシクルバレット、エレキバレット、
フレイムストーム、テレポーテーション、デフレプロテクション
【鑑定士】
鑑定士の心得、鑑定詐称
【その他】
認識阻害
称号:勇猛なる者、武闘会の覇者、魔物の友、初級から中級へ、天然たらし、傍若無人ないたずら小僧
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