3. ぼくは め がほしいです。

~天界~ 

 ここに、珍しい客人無垢な魂がやってきた。

 その者に対して、神が与える選択は基本的に2つ。 

 一つは望む種族へと生まれ変わらせる転生、ニつ目は天の使い天使としてここ天界に残るか。


 そして、神はにいつものように問いかける。


「罪なき子よ。さらなる生を謳歌するか?それとも神たる我が庇護を受け、使徒となるか?」


 神が選択を提示している間、彼の心は神の瞳を手に入れるという欲望で満たされていた。


 ただ、目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を目を手に入れるために。

 

 無垢な心に初めて生まれた欲。

 なぜ瞳が欲しいのか。

 考える余地もなく、彼は心の欲に従い、行動する。


 やることは簡単だ。瞳をとって、へと転送するだけだ。

 あのお方とは誰だ?まぁいいか。

 固有魔術を持っていただけあって、魂にはそれを成しえる力があった。


 命令に攻撃の意図はない。だから神に求められない。そもそも、罪なき者に神を害するなんてことを思うはずがないのだ。


攻撃ではないのだから、使う魔法も単純だ。

 

「”加速”」

「”分離”」

「”転送”」

 

 神の懐まで移動し、瞳を分離する。そしてあのお方へと転送する。

 これで彼の欲は果たされた。


 この一瞬で、彼はふと考えた。

 瞳は一つでいいのか?と。

 そして、彼は欲張ってもういちど瞳を手に入れようとした。


 神にとって、瞳を奪われるのは初めてだったが、どうでもよいことだった。

 神にとっては罪の有無が問題だった。


 罪は神が選定する。神にとっての罪が何になるのかは神のみぞ知る。

 一度目はよかった。だが二度目、彼はしまった。


 だから神はこう判決を下す。


「”消滅しろ”」


 神の権能を魔術で表現すると固有魔術”言霊”。

 神が発した言を具現化する。


 神の権能により、その魂は消滅した。

 罪の審判者に罪を向けることが最大の禁忌だそうだ。


 そして神はただ虚ろな双眼で再び佇む。

 

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