弁当箱論争
増田朋美
弁当箱論争
弁当箱論争
春らしく暖かくて、のんびりした日であった。誰でもこんな日は、日ごろの家事の事は忘れて、何処か遠いところに行ってみたくなるが、介護している人が居れば、また違うのかということになる。
「どうしても食べないねえ。」
水穂さんが、食べ損ねた器を眺めながら、杉ちゃんはぼそりと言った。
「食べたもんと言えば、切干大根とたくあんだけだ。なんで、食欲が湧かないのかな。」
「そうですね。僕もよくわかりません。摂食障害というものとも違うと思います。というのは、水穂さんが、体重にまつわる話を一切しないからです。」
と、往診に来ていた影浦が、薬で眠ってしまっている水穂さんを見て、そんなことを言った。
「有害な人物が周りにいるわけでもないですし、ほかの皆さんも一生懸命お世話をされています。」
「そうだろう?僕らは、いやいやながら、水穂さんの世話をしているわけではありません。よくなって欲しいから、やってます。其れなのに、食事をしないのは、非常に困りますなあ。」
と、杉ちゃんは影浦先生にそういうことを言った。
「まあでも、そうやって、やってやっているという姿勢をしめしてしまうのは、余計水穂さんの劣等感を強くしてしまいますから、それはいけませんよ。其れよりも、そうなってしまう原因ではなくて、何を食べてくれるかを考えましょう。たとえば、食べ物を切干大根ではなくて、ほかのものにしてみるとか。其れとか、よくお年寄りなんかにあるんですが、肉なんかをペースト状にした介護食を使ってみるとか。」
影浦先生は、医者らしく、十徳羽織の紐を結びなおしながら、そういうことを言った。
「そうなんだけどね。僕がおかゆをミキサーで砕いて食わしても、一切食べなかったぞ。全粥でもダメだったし。そういうペースト状にしたものを、食べさせるのは、難しいんじゃないの?」
杉ちゃんが言うと、
「まあそうですけど、人間は動物ですから、食べないと退化します。それは当然の事です。僕も精神的な問題で食事をとらない、大体の人はダイエットか、母子関係のこずれなどで起こることが多いんですけど、そういうひとにたいして、高栄養ではあるが、低カロリーな物を、とにかく出すようにしています。たとえば、あまり日本ではメジャーな食べ方ではありませんが、アボカドに練乳をつけてクリーム状にして食べるとか。これが意外に応急処置として役に立ったことがあるんです。」
と、影浦がそういうことを言った。
「精神科の医者は、大掛かりなことをしないから楽でいいとは、大間違いです。食事をとらないと、人間は、本当に退化してしまいますからね。戦争で食べ物がなかったとか、そういう経験をしたわけでは無くても、心が貧しくなって、食べ物を軽視して、おかしくなっていく女性がどんなに多いことか。それは、やっぱり、しっかり食べて貰う事が大切なんですよ。」
「そうかそうか、先生は、当たり前のことも教えなきゃならないんだね。意外に、簡単なことって、難しいのかもね。」
杉ちゃんは、にこやかに言うが、影浦の顔は深刻な顔をしていた。
「ただし、食事をしないで、食べない状態が続いて言ったら、間違いなく水穂さんも、おかしくなってくると思います。それは、医者として、放っておくことは出来ません。逆を言えば、人間は食べることしか、エネルギーを補給することはできないんです。それは科学がどんなに進歩したと言っても、変えることはできないと思います。」
「そうだよねえ。まず、水穂さんの好きな芋切干から始めて、少しづつ、食べてもらうようにするか。」
影浦の話に杉ちゃんは、直ぐ提案した。こうして直ぐに対策が出てきてしまうのが、杉ちゃんのいいところなのかもしれなかった。
「もしよければ、宅配弁当でも頼んだらどうでしょうか?最近は、介護用のペースト様の物も弁当として販売されているようですよ。多少費用はかかりますけど、かえってそうした方が食べてくれるかもしれません。まあ、それで、自分が必要とされていると認識できればの話しですけどね。」
「そうだねえ。」
と杉ちゃんは、大きなため息をついた。
「一度、なんとかの宅食とかそういうところに頼んだことがあったんだが、高齢者でないところから、断られちまった。もしかしたら、水穂さんのような身分のひとのところに、来たくないのかもしれないと思って、それで、よしにしちゃった。」
「そうですか。」
影浦先生も大きなため息をつく。確かにそういう宅配弁当は、お年寄り向けに、設定されていることが多くて、水穂さんのようなひとには、行き届かないのが常であった。それはもしかしたら、ある意味人種差別と言えるのかもしれなかった。
「まあでも、杉ちゃんのいうことは分かります。僕もそういうことは何回か経験しました。高齢者だけが、福祉サービスが必要なわけじゃないって事ですよね。高齢者にしてくれるようなことが、ほかのひとにも行き届いてくださると、もう少し日本も住みやすいところになると思うんだけどな。」
ちょうどその時、
「杉ちゃん、影浦先生、こんなチラシが、ポストに入ってました。」
と、利用者のひとりが、一枚の紙切れをもって、二人のところにやってきた。
「何だこれ。弁当屋の広告ビラか。」
杉ちゃんが紙切れを受け取って、そういうことを言った。
「ああ、ぽかほんたすさんですか。元々は、おばあさんの集まりだったのが、つくるお弁当が好評で、地域の障碍者に喜ばれているようですね。」
影浦先生は、紙切れを見て言った。それはどう見ても、やわらかく加工した食材でつくった、弁当を販売するチラシであった。
「もし、よろしければ、ここで頼んでみてはどうですか。」
「そうだねえ。社長の土師煕子さんとも面識があるし。」
杉ちゃんと影浦先生はそういいあって、影浦先生が、弁当屋ぽかほんたすの問い合わせ番号に電話をかけてみた。誰が出たのか不詳だが、とにかく、おばあさんの声である事は疑いなかった。とりあえず、その日の夕食をお試しで水穂さんに、食べて貰うことにした。弁当は、直ぐに持ってきてくれると言うので、杉ちゃんと影浦はそこで待つことにした。
「こんにちは、ぽかほんたすです。」
数分して、優しいおばあさんの声が聞こえてきた。多分それは、社長の土師煕子さんの声であった。
「お弁当を持ってきました。」
「おう。上がってきてくれや。」
杉ちゃんがデカい声でそういうと、煕子さんは、おじゃまいたしますと言って、四畳半にやってきた。
水穂さんの前に来て、風呂敷に包まれた弁当箱を開いた。蓋にも底にも、綺麗に漆が塗られていて、豪華な蒔絵装飾が施された、豪華絢爛な弁当箱だった。
「急な御願いだったのにも関わらず、お弁当をつくってくださって、ありがとうございました。水穂さんも喜ぶと思います。」
影浦が御礼を言うと、煕子さんは、
「いいえ、大丈夫ですよ。大事なお客さんですから。」
とにこやかに笑って言った。
「其れより、その弁当箱は、だれにつくって貰ったんだ?」
と、杉ちゃんが言った。ただのプラスチック製の弁当箱ではない。木製の、いかにも手作りという感じの、心のこもった弁当箱という感じなのだ。
「ええ、会社の近くに、弁当箱を専門につくってくれる職人さんがいて、そこでつくって貰ってるんです。確かにプラスチック製の弁当箱もいいけれど、この弁当箱は、水穂さんの担当の弁当箱です。そのほうが食欲も湧いてくれるんじゃないかしら?」
煕子さんはそう説明した。確かに多少不衛生かもしれないが、こういう弁当箱もまた手作りの良いところが、見えていると思われる。
「じゃあ、このお弁当は取り置きが出来ませんから、必ず当日に食べてくださいね。それだけは、必ず守ってください。」
と、煕子さんはお弁当を、杉ちゃんに渡した。
「なにが入っているんだよ。」
と、杉ちゃんが聞くと、
「ええ、いかにも本物にみえますが、肉や魚を一切使わないで作ってある、ハンバーグ弁当です。」
と煕子さんは言った。
「他にも、お弁当はいろいろつくってありますから、安心して頂戴ね。」
「ありがとうございます。こうやって、人のつながりを患者さんに見せてやる事こそ、非常に大事な治療なのです。」
煕子さんの発言に、影浦先生も言った。
「癒しの弁当なんて、いい発想ですね。それにしても、年寄がそういうことを考えることができるなんて、煕子さんも又、うまく適応できますね。」
「それは、時代のせいですよ。時代がそういう風になることを要求したからですよ。」
煕子さんは照れくさそうにいうのだった。
「そういう謙虚なところも又あなたらしいですね。」
影浦先生が、彼女をほめた。
「ほらあ、よかったな。こんな豪華絢爛な弁当箱をつくってくれた人に、答えるためにも、ちゃんと弁当を食べなきゃだめだぞ。」
杉ちゃんがそういうと、水穂さんもこんなに豪華な弁当箱を持ってきたのには驚いているらしい。これは、食べないといけないなと思ったようで、急いで、布団の上に起きた。
「よし、作戦は大成功だ。ほら、頑張って食べろ。」
杉ちゃんに言われてやっと、水穂さんはやっと弁当箱の中身を食べ始めた。煕子さんは、すべて大豆などで作ってあるので、肉も魚も一切居れていませんからね、と説明した。それならなお安心だ、と杉ちゃんは、余計に笑った。
「すごいですね。よくご考えになりましたね。こんな豪華な弁当箱で食事したら、誰でも食べずに居られなくなると思いますよ。」
影浦先生が煕子さんにそういうと、
「ええ、蒔絵装飾の職人さんからも、注文がくるようになったと言って喜んでおりますわ。いろんな面で、伝統的な物を、生かしていくのは大事だと思うの。」
と、煕子さんはにこやかに言った。
「そうなのかしら。」
いきなりふすまが開いて、この製鉄所の利用者である、篠田紀恵という女性が、杉ちゃんたちに向ってそういった。そういえば、彼女も弁当の製造会社に勤めているのだった。
「私は、箱モノより中身だと思うわ。私なら、弁当箱を豪華に飾り立てるよりも、中身である食品を、中心に考えますよ。」
「まあそうだねえ。でも、箱モノが豪華であれば、食欲も増すよねえ。規格品の弁当箱じゃあ、面白くないっていう奴は、いっぱいいると思うよ。」
と、杉ちゃんがぼそりというと、
「そうかもしれないけど、箱モノを飾り立てて、中身も何もない弁当じゃ、逆に食べる人には嫌だなあと思っただけよ。そんな綺麗な装飾を施した弁当箱よりも、今の時代は、直ぐ捨てられて、なおかつ持ち運びに便利なプラスチックの方が、よほど良いと思います。」
と、紀恵さんは言った。
「すみません、煕子さん。彼女まだ強く症状が出ているようですね。申しわけありません、精神疾患というのは、一寸変なところに着目してしまうこともあるんです。」
と影浦先生が説明すると、
「いいえ、大丈夫ですよ。」
と煕子さんは言った。
「私の会社だったら、そんな手作りで、豪華な蒔絵装飾を施した弁当箱ではなくて、直ぐ捨てられて、持ち運びに便利なプラスチックの弁当箱を使うんです。そのほうが、処分も楽だし、気軽に利用できます。」
という、紀恵さん。確かに彼女の勤める弁当製造会社は、富士ではかなり有名な弁当会社であることは疑いなかったが、彼女は、障碍者枠で雇ってもらっていた。本当は、彼女が働くのはまだ無理だと影浦は思っていたが、彼女が働きたいと頑としていうことを聞かないために、仕方なく雇ってもらったのである。
「まあそうかもしれないけどさ。目的が違うだよ。それを忘れないでね。」
杉ちゃんは、彼女に抵抗した。
「いわゆる、健康な人を相手にする大手の弁当会社と、ぽかほんたすさんは、そこが違いますね。」
影浦先生はそうつぶやいた。
其れから数日後の事である。
篠田紀恵が、いつも通りに、勤務先である弁当屋へ出勤した時の事。ひとりの中年の女性が、店の入り口に現れた。
「あの、お弁当のご注文ですか?」
と、紀恵が言うと、
「責任とって貰えないかしらね。」
と、女性が言うので驚いてしまう。
「はあ、どうされたのですか?」
「おばあちゃんがお宅のお弁当を食べて、高野豆腐がのどに詰まって大変だったんですよ。直ぐに掃除機で除去できたからいいものの、危うく大事件になるところでした。決してあたしたちの食べさせ方が悪かったとか、そういうことはありません。あたしたちは、ちゃんと、おばあちゃんは飲み込む力が弱いから、それに対応したやわらかめのお弁当をと、申し上げました。其れなのに、今回のお弁当は、本物の硬い食材が入っていたんですわ。きっと、誰かが間違えて届けたんでしょう。責任とってください!」
確かに紀恵の勤めている会社は、本物そっくりの柔らか食材をつくった弁当を販売している。つまりどういうことかというと、見かけは普通の豆腐とか、こんにゃくなどと変わらないのであるが、中身は、どろどろになったペースト状になっている、という食材を使っていることを売りにしている弁当屋なのだ。もちろん、健常者用の通常の弁当も販売している。時には、両方とも買いたいという家族もいる。この女性の家族もまさにそうだ。
「そんな事言われても。」
と、紀恵は小さい声でつぶやいた。
「そんなことじゃありません。あたしたちにとっては、おばあちゃんだって大事な家族なんですよ。おばあちゃんにとっても、私たちにとっても、大事なご飯なんですから、こんな間違いはしないで貰いたいんですけど!客の事を軽視しないでください!」
そういう女性に、紀恵はさらに困ってしまう。そんなことをしていると、彼女の上司がやってきて、後は上司がとりなしてくれたため、その場を逃れることに成功したのであるが、どうしてもそのことが気になって、紀恵はその後、仕事がうまくいかなかった。
「どうしたの。ぼんやりしちゃって。篠田さんらしくないわ。あんなに真剣に仕事していた人が。」
同僚にいわれて、紀恵は、こんなことを聞かれるなんて、自分は年をとったなあと思った。
「いやあねえ。私はそんなこと、気にしないわよ。」
と、紀恵はわざと笑うが、
「気にしている様子が分かるわよ。まあ、今の時代は、クレームつけるのも簡単に出来ちゃう時代だし、まあ、そういわれたとしても、そういう事もあるさくらいの気持ちでいてくれればそれでいいわよ。」
と、同僚はそんなことを言って彼女を励ますが、紀恵は何か気になってしまうのだった。精神のバランスが崩れていると、何か起きるのではないかとしきりに気にしてしまうことは、よくある事であった。
「はい、はい。そうですか。分かりました。申しわけありません。」
翌日、紀恵が出勤すると、事務員の女性が電話に向ってそういっているのが目に飛び込んできた。紀恵はなにが起きたのかと思ったが、いきなり上司が彼女のもとにやってきて、
「ちょっと、篠田さん。あなた何をやったんですか。うちの弁当のせいで、おばあちゃんが高野豆腐を詰まらせたことが、インターネットの口コミサイトに投稿されてしまったんだ。それで、立て続けに五件も、うちの弁当を解約したいという電話が来てしまった!」
と、紀恵をしかりつけた。
「私は何もしてません。ただ、お弁当を、お客さんのもとへ持っていっただけです。あのお客さんは、お弁当を定期利用していたから、それでその通りに、しただけですよ。」
と、紀恵が言うと、
「篠田さんね、あなた、どうしても働きたいって言ってたけど、そういう風に自分の非を認めない人は、ここではやっていけませんよ。あなたは、もう来なくていいですから。二度とこんなミスが怒ってしまっては、うちは御破算となってしまう。弁当屋なんて幾らでもありますからね。きっと、ほかの会社もありますよ!」
と上司は紀恵に言った。
「そんなこと、、、。」
紀恵は、それだけしか自分には価値がないことを、初めて知ったような気がした。
「はい、今日はもう帰ってくれていいから。新しいところを見つけなさいね。」
つまり、紀恵をミスしたことにより、解雇したかっただけだったのだろう。もしかしたら、あの抗議にやってきた女性も、紀恵をやめさせるために、誰かが用意したのしれなかった。
もう、自分の事なんか、誰も目をかけず、仕事をしている従業員たちを見て、紀恵はそう思った。もう自分はこの会社には、用はないという事である。彼女は申しわけありませんとだけ言って、会社を出ていった。
会社を出て行っても、紀恵には行くところがなかった。家に帰っても、やることはないし、ほかにやれそうな仕事も趣味もない。やっていたことと言えば、家事仕事だけだ。それで、弁当会社に就職したのであるから。
何だか、直ぐに家に帰るのも気が引けて、紀恵は製鉄所に向うことにした。あそこなら、似たような経験をした人がいるのかもしれない。
「こんにちは。」
と、製鉄所の玄関を開けると、また、杉ちゃんの声が聞こえてきた。水穂さんにご飯を食べさせるのにやっきになっているのだろうか。紀恵はとりあえず、建物の中に入ってみる。
「ほらあ、せっかく煕子さんにつくって貰ったんだから、頑張って最後まで食べろ。」
杉ちゃんはそういうことを言っている。やっぱり、水穂さんはご飯を食べるのに苦労しているらしい。紀恵は、彼の方が、自分より人の手を煩わせているのだから、よほど迷惑をかけている患者だと思った。なんで自分が影浦先生に、妄想を思い込んだままの患者と言われなければならないのか、よくわからなかった。
「もういいよ。杉ちゃん、こんな豪華な食べ物、食べる資格もないもの。」
という水穂さん。ということは、この食べものを食べる身分では無いという事だろうか。
「資格なんて無関係だよ。食べなきゃ生きていかれないじゃないか。生きているうちはなんとしてでも食べなくちゃ。食べることが商売だと思ってさ、頑張って食べて。」
杉ちゃんがそんなことを言っている。紀恵は、四畳半のふすまをそっと開け、中を覗いてみた。中では水穂さんが又せき込んでいるのがみえた。杉ちゃんがああ、またやるな、馬鹿!と言いながら、口もとを拭いて、内容物を出すのを助けてやっている。なんだ、水穂さんの方が、もっと人に迷惑かけているんじゃないかと紀恵は思ったが、水穂さんは、御迷惑かけてすみませんという。
「そういう気持ちがあるんなら、とにかくご飯を食べてくれ!そうでないと、あまりにつらすぎて事実を置き換えなくちゃいけなくなるから!」
杉ちゃんは急いでそれを打ち消した。それは、紀恵もよくやっている行為だった。あまりに辛くて、事実を自分で作り変えた、別の事実で塗り替えることは、紀恵もよくやっているテクニックだった。それは、紀恵が、辛い世のなかを、生き抜くために発明した方法だと思っていたのだが、影浦先生の話しによると、それが妄想という物だという。
「そうなったら、世の中生きていけないんだ。それではいけないから、お前さんも周りの奴のことを考えろ。」
と、杉ちゃんが言っているのを聞いて、紀恵は、自分がしたことは悪いこと、いけないことだったのかと思った。
もしかしたら、現実世界は、自分が思っているのとは違うのかなと紀恵は少しだけ感じたのであった。
弁当箱論争 増田朋美 @masubuchi4996
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