第2話

聞いた話によると最近仲良くなった女の子から一緒に買い物に行かないかと誘われたと。

(つまりデート。)


コルトはてっきり荷物持ちか何かだろうと

OKし本日にいたると…


『試着した服とか、アクセサリーについて聞かれたから…似合ってるとか可愛いねって答えたけど…?』


呆れる私の顔をおずおずと確認しながら答えてくる。


その後はお察しの通り…。

関係を迫ってきた女の子を断った結果。

この真っ赤な頬を作って来たらしい。


「…バカね。なんて断ったの…?」


『え!だってそんなつもりなかったし…

そのまま"君は自分を大事にした方が良い"って…。』


この男の悪いところだ…優しすぎる上に

"超絶"鈍感なのだ。


「ホントにバカ…!女心がわからないのはずっと変わってないんだね~…。」


『でも白雪だって頼み事されたら手伝うだろ…?』


「依頼や頼み事"は”受けるよ?でもデートは違うもん」


『デートだとまず思わなかった…悪いことしたな…。』


しょんぼりしているが何度こんな事があったかなんてもう数えきれない気がする…。


「最初から手に入らなければ諦めもつくけど手が届きそうな物には諦めがつかないんだよ…。」


聞こえるか聞こえないかの声で呟きながら棚を漁る。


『白雪…?』

心配そうにコルトが寄ってくる。


「まあ!そんな鈍感で可哀想なコルトには

ご褒美にとっておきのドマ酒をふるまってあげよう!」

振りむき酒瓶を抱えながらコルトに微笑む。


『フフッ…白雪には敵わないな』

そういい釣られるように微笑むコルト。


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コルトの料理にとっておきのお酒、

なによりコルトとの食事。

大好きなものに囲まれているのに何だか

モヤモヤする…。


きっと今日断られた女の子は

すごく辛いはずなのに、

どこかホッとしてる自分がいる…。

(私、嫌な奴だなー…。)

そう思いながらテーブルにうなだれる。


『あれ?珍しいね、もう酔ったの?』

コルトがこちらをのぞき込んでくる。



酔った勢いで〖誰の者にもならないでよ〗って言えたら…なんて。



「言えるわけない…」か細くだが声に漏れてしまった。


『ん?なんか言ったか?』


「んー!そうみたい!珍しく酔った~」

悟られないようにふにゃと笑って見せる。


『水、持ってくるよ。待ってて?』

そう言いコルトは水を取に行く。

その背中がとてつもなく愛おしく感じた。


「コルトはコルトのままでいてね」


『なにそれ、俺はずっと俺だよ』

不思議そうに微笑みながら水を渡してくれた。


ずっとずっと、これからもずっと鈍感で

私のこんな気持なんかにも気が付かないで

ずっと幸せそうに微笑んでいて欲しい。


あーあ、こんな気持ちこのお酒の気泡みたいにフワッと消えてしまえばいいのに。


そんな気ない持ちを渡された水と一緒に

全部飲み込んだ。

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乙女心は泡のように @Nekota219

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