『星空に託して』 その4

 『ぼくは、地獄に転落でした。その後、彼女は、ぼくとのデートには、応じなくなりました。』


 『さっきの、山は、ここですよね?』


 と、尋ねたのですが、回答はありません。


 『くそお。聞こえてないの?わたくしの、声が。』


 ちょっと、じれったくなり、また、可哀想でもありで、わたくしは、おじいちゃんのすぐ横にくっついてみました。


 反応なし。


 せっかく、心配してやってるのに。


 それは、幽霊では、まあ、不足でしょうけれど。


 人間に、触れることはできますが、暖かい肌を感じたりはできないのです。


 通り抜けるのは、朝飯前です!


 ただし、わたくしは、人を呪ったりはいたしませんよ。


 中には、そういうことを、している、幽霊仲間もあるのです。


 訊いてみれば、恋愛がらみと、お金がらみが、圧倒的に、沢山、です。


 死んでしまった以上、その苦しみを、もって行く先がないのでしょうね。


 でも、このままだと、この、おじいちゃんも、悪霊になるかもしれません。  


 心配です。

 

 いやあ、それは、先走りましたか?


 おじいちゃんには、奥さまはいるのかしら。


 お子さんは?


 だから、また、尋ねました。


 『あなた、奥さまは、いるのですか?』


 直接の回答がなくても、なんだか、返事はちゃんと、来るような気がしました。


 あたりは、また、明るくなりました。


 わたくしは、おじいちゃんに、そっと、手を回してみました。


 きゃあ〰️〰️〰️〰️。恥ずかしい!


 歳の差なんて。


 でも、わたくしは、幽霊になって、半世紀。


 実際は、おじいちゃんと、あまり、違わないはずです。


 


              👻


 

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