第57話 選ばれた者の定め
今回もアイドルです!
アイドルネタはついつい文字数も長くなってしまうので、これで一旦また最後にしますね。本当はまだあるんですけど、小出しにします。笑
これまで、中居さんやキスマイが出演していた番組での発言をちょこちょこ出してきました。前回まではアイドルの期限がテーマだったんですけど、テーマと関係ない 部分で、キスマイの北山さんの気になる発言がありまして。
今回はそこの深掘りをしてみたい! って話です!
早速、私が気になった発言を引用しますね(『RIDE ON TIME(シーズン4)より』)。10周年の先を見据えた上でのコメントです。
「元々はジャニーさんに作ってもらったグループだから、その時の初心を忘れない情熱。ジャニーさんが何でこのグループを作ったか、絶対に理由はあるはず。多分そこにヒントがあると思うんですよね。もう一つ上に行くっていうのは」(北山さん)
これを聞いた時「あぁ、そうだ。この人達は選ばれてるんだった」と改めて思ったのです。
アイドルが他の仕事と違う点。
それは「他者によってグループを組まされる」という点です。
自ら「◯◯がしたいから一緒にやろうよ」と声をかけるわけではなくて、ある日突然、初対面で年齢もバラバラの人間達が呼び集められて「お前達これから××だから、よろしく」と言い渡されるのです。
キスマイもそうです。
故ジャニー喜多川氏が、メンバーの頭文字でKis-My-Ft.となるようなメンバーを探している中で集められた7人。最年長と最年少は六歳離れていて、思春期とモロ被りのメンバー達は当初、掴み合いの喧嘩も多かったと言われています。
その上、求められたのはローラースケートを使ったパフォーマンス。さらにバック転の練習などもあって、しょっちゅう転んだり怪我したりするメンバーもいました。
そうした少年達が、いつの間にかデビューという共通目標に向かって一致団結して、デビュー後も長く共に歩んでいく。
ある時期までは一心不乱に走り続けていたのでしょうが、良い意味で活動に慣れて少し余裕も出てきた頃、振り返って思うところがあるのでしょう。
「僕達は、なぜ集められたのだろう」と。
上記の北山さんの発言には、そうした気持ちが見て取れます。
不思議ですよね。10代の頃になぜだか集められて、30代半ばまで一緒にいるんですから。
先ほど、ジャニーさんは頭文字に合うJr.を探していたと言いましたが、単に頭文字さえ合えば良いわけじゃないでしょう。現にMの部分には何人もの名前が書かれていて、最終的に宮田さんになったのですから。絶対に相性とか見栄えとかカリスマ性とか、色々考えていたはずなんです。デビューまで六年もの間、メンバーを変えさせなかったグループなんです。お遊びで組ませたグループじゃなかったはずです。グループを作るというのはそのJr.に投資することでもありますし、消えると確信しているJr.を事務所に残して養うメリットはどこにもないからです。
ただ、今その理由を尋ねようとしても、本人はこの世にいません。
自分で考え、模索する必要があるのです。
自分達で決めたわけじゃないグループで目的を探す、しかも決めた本人は既に亡くなってるなんて、どんだけ困難な課題なのだと思いますよね。まぁそれこそが、ジャニーさんの狙いだったのかもしれませんが。
ここから先は、私の超個人的な見解です。
なぜキスマイはキスマイであり続けるのかということ。
それは多分……多分、「見た人の印象(心)に残る存在でいるため」なのではないかと。
キスマイって、ジャニーズの中でもかなーり異色なんです。
以前『アイドルとは何か(その1)』で書いたので多くは割愛しますが、前列と後列ではっきり衣装も歌割りも区切られていたり、冠番組に「ブサイク」ってついてたり、2000年代以降のデビュー組では見られなかったローラースケートを履いていたり、顔の輪郭が変わるくらいの過酷なロケをしたり。
格差がなくなった後もなお、冠番組には「ブサイク」の文言が残り続け、ある人は国語の副教材に俳句が載って老若男女に知られることになり、またある人はアニメヲタクのイメージを塗り替えた。
文字にしただけでも何だかすごくクセが強いというか、個性豊かというか。多分キスマイってグループは知らなくても、無意識にメンバーを認識してる方は多いかもしれません。色んな意味で人々の印象に残っているのです。
そもそもグループ名が「私の足にキスを」ですからね。シングルだって『SHE! HER! HER!』とか『キ・ス・ウ・マ・イ〜KISS YOUR MIND〜』とかのMV見た時にはひっくり返りましたよ。
2022年、全員が30代を迎えて、グループでもデビュー10年を超えて。中堅ポジションでありつつも、まだ散るにはあまりに早すぎる。そんな年代の7人組です。
だからこれからも、皆もがくんだと思います。ジャニーさんが遺した意味を探して。そうやってグループをみんなで守りながら、また何度もファンをあっと言わせるようなことをして、印象に残り続けていくのでしょう。
17年前、不意に集められた7人の少年達。
そもそも入所オーディションを勝ち抜いてるわけですから、かなりの強運の持ち主です。その運を最大限使って、今ここにいる。
最後に藤ヶ谷さんは『RIDE ON TIME』の中で言います。
「誰かの何かになりたい。キスマイに出会ってくれた人が一瞬でも幸せになればいい。応援してて良かったなキスマイ、って思ってもらえるような時間を増やすってことだけですかね」(藤ヶ谷さん)
多分アイドルは、「誰かの何かになる」ために選ばれています。
「何か」は別に、希望でも夢でも幸せでも精神安定剤でも心臓でも何でも良くて。
そうした「何か」という名前をつけられるほどの存在になることが、選ばれた者の定め……ないしは、ジャニーさんが全てのデビュー組に課したことなのだろうな、とぼんやり考えたのでした。
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