第61話 その言葉の意味、分かってるかい?

 突然ですが、皆さんは、何ヶ国語の意味が分かりますか?

 日本語はもちろんとして、日常会話レベルの英語や、挨拶程度の他の言語なら、意味やつづりがお分かりになるかもしれません。

 私も同じようなもので、日本語と英語はまぁ分かります。それから、簡単なスペイン語と韓国語は読めるようになりました。フランス語やイタリア語は、スペイン語と似ているので、たまに意味が分かる時があります。


 でも意味の分からない単語って、時として憧れるというか、無駄にカッコいいなって思っちゃうことありません?笑

 私も小学生や中学生の序盤は英語なんて全く読めなくて(Happy Birthdayのスペルすら知らなくて、当時友達に笑われたことあるんですよ)、英語が書かれたものはとりあえず何でもカッコいいフィルターがかかっていました。まぁ母親が英字プリントの洋服を多く私に着せてた、ってのもあるんですけどね。


 過去の写真やプリクラを見返してみたら、私はこんな英語の書かれた洋服を着て、満面の笑みでピースをしていました。


 ◯ I love you who are treasure♡

 ◯ HIGH and LOW

 ◯ Minnie Mouse is VERY cute and fashionable


 極め付けは、これです。私、部屋で大爆笑して机バンバン叩いてました(狂人)。


 ◯ So Glad We're Hiromichi Nakano Children


 いや「ナカノヒロミチのチルドレン」って何wwwww

 これは結構良い服だと母が言うので何度も着ていたのですが、まぁ後々調べてみたら、これはデザイナー・中野裕通さんのれっきとしたブランド品だったことを知ったんですが……。いやセンスwww


 まぁ愛の告白だの、EXILEの映画と同じ文言だの、ミニーちゃんの魅力の押し売りだの、ナカノヒロミチ信者の公表だの、今考えればとんでもなく恥ずかしい英字を堂々と胸に貼り付けて歩いていたわけです。まぁ着てたのは当時身長が140cmにも満たないチビでしたから、周囲は寛容だったでしょうが……今思い返せば、消えたい気分。笑


 身に着けるものに書いてあることの意味くらいは、きちんと知っておこう、と肝に銘じるきっかけとなったのでした。





 あれから数年。

 私が肝に銘じたことを、ぜひ世間の皆々様にお伝えしたいと思うようになりました。

 色んな言語の意味が分かるようになってから、こちらが目を覆いたくなるようなデザインの服がチラホラ……。笑 でもそういったファッションが絶えないということは、未だ一定の需要が存在している証でもあるわけです。英字プリントの洋服、恐るべし。



 2019年、私の大好きなジャニーズアイドルグループ・Kis-My-Ft2がコンサートを行いました。そのタイトルは『FREE HUGS!』です。

 コンサートを行う際には様々なグッズも同時販売されるわけですが、今までのコンサート同様、この時もコンサートTシャツが販売されました。

 そこには7人のメンバーカラーをあしらった、カラフルな『FREE HUGS!』の文字。当時私は諸事情でそのコンサートに参戦していないため、購入しなかったのですが、あの可愛いデザインに惹かれて買ったファンが多数いることは事実です。

 そして友人と一緒に参戦するファン達が、そのコンサートTシャツを着て待ち合わせしていたのですが……。


 恐らく、勘付かれている読者様もいらっしゃるでしょう。

 人の集まる所で『FREE HUGS!』なんて掲げていたら、文字通り無料でハグしたい人達が寄ってきちゃうんですよ。あの当時は当該Tシャツを着たファン達が軒並み被害に遭って(まぁ被害というより、自ら招いているのですが)、ちょっとした騒ぎになりました。それ以降、このコンサートに参戦する時は、会場に着くまで上着等で隠しておくという術をファン達は身につけ、無事にこのコンサートを乗り切ったのです。笑


 キスマイからのフリーハグはめっちゃめちゃ嬉しいんですけどね。キスマイじゃない一般人まで呼び寄せる結果となってしまった、何とも言えない出来事でした。普通にフリーハグしたい人(?)からすれば、同じTシャツを着た女性が急に大量発生したわけですから、びっくりですよね。笑

 誤解を避けるためにも、スラングをも含めた英語の意味はある程度知っておくべきだと感じた出来事でした。



 最後に、私が人生で初めて5度見くらいした出来事をお話して、今回は締めくくるとしましょう。


 あれは確か、私が大学生になってからだったでしょうか。山手線に乗っていた時のことです。

 車両の端っこの壁に寄りかかっていると、向かいに屈強な男性がやって来ました。肌は小麦色に焼け、胸元にはサングラスが引っ掛けられていて、これまた力強い二重の瞳。どこの国かは分かりませんが、私には欧米系の人に見えました。米軍とかにいそうな背格好の人です。

 夏だったので皆半袖やノースリーブを着ている中、彼はシンプルな白のタンクトップを身につけていました。しかし私、様々なタトゥーで彩られた、彼の左の腕に釘付けになってしまったのです。


(たくさん入れてるなぁ……右は何も入れてないのに)


 よく分からない(失礼)絵や花が描かれた手首付近から肩にかけて視線を移動させていった所で、思わず「げ」と口に出しそうになり、慌てて止めました。



 そこには、上腕のほとんどを占める、存在感ゴリゴリの楷書かいしょのタトゥー。



『便所』



 いやぁ、怖い。


 やっぱりね、身に着けるものに描かれた文字の意味はしっかり知っとかないとダメです、絶対に!笑

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