第46話 下校は大冒険
今回はまた、小学校の時の話をしようと思います。
突然ですが、皆さん小学校の時、色別通学路って定められていましたか?
私の通っていた小学校では、赤・緑・青・黄のコースに大別されていて、児童は各自の通学路に合った色付きのリボンをランドセルにつけるのが慣例でした。
私は正門を出たら左折し、そのまま道なりの赤コース。
ただ当時の私には、ある悩みがあったのです。
それは、通学路が短すぎてつまらないということ。笑
だって家まで一本道でしたから。学校から家見えてたので、かなり近かったんです。
今思えば贅沢な話ですが、かなり厳しい家庭で育つ一人っ子の私にとって、同世代と話せるのは貴重な時間。友達との話が楽しくて、家帰るのやだな〜なんて思うこともあって(放課後遊ぶにしても、色々家庭のルールがあったもんで)。習い事のない時くらいは、多少道草食って帰りたいと思っていたわけです。
そこで、正門出たら左折、という所までは同じの緑コースを使って、わざわざ大回りして帰ることもしばしばありました。
前置きが少々長くなりましたが、今回は心に残っている寄り道を紹介しようかな、と。
それは、青コースを冒険した話です。
◇
青コースは正門を出たら右折するコースで、私の家とは正反対。寄り道で使ったことはないコースでした。
でもね、当時私には、淡い恋心を抱く相手がいましてね……。笑 彼をAくんとしましょうか。Aくんはね、青コースだったんですよ。
彼は足が速くて勉強もできたっていう、小学生の典型的なモテ男子でした。最初は何とも思ってなかったんですが、なぜか何度も席が隣になったり、班が同じになったり、クラス替えしても同じクラスだったりで、割と接点のある子でした。王道のモテ男子と日常会話を繰り広げる。この環境で好きにならない方がおかしい、というもんです。ええ。笑
Aくんは丈夫な体の子でしたが、ある日体調を崩して休んでしまいました。珍しいことだったので、結構心配しました。この時も、Aくんは私の隣の席。隣がぽっかり空いて、一抹の寂しさを覚えていました。
しかし帰りの会をやる間際、私の親友が先生に呼ばれました。彼女の通学路は青コース。近所ということで、Aくんに配布物を届ける係に任命されたのです。
自席に戻るや否や、彼女は斜め前の席の私に声をかけました。
「やぎ、Aくん家にプリント届けるのお願いされたから、良かったらやぎも「行く」」
「お、おぅ」
親友は私がAくんを好きなのを知っていて、誘ってくれたのです。ナイス! 私は食い気味に返事をして、放課後共に青コースを歩きました。
親友の家には遊びに行ったことがありましたが、Aくんの家なんてもちろん初めて。ドキドキワクワクでした。
途中、親友が恋心を抱いていたBくんの家に寄り道して、外観をただ眺める(窓際にたくさんぬいぐるみみたいなのが置いてあって、見てて飽きなかったんですよね)という珍行動もしながら笑、Aくんの家に到着しました。
ピンポーン。
『はーい』
「あ、○○です。Aくんのプリント届けに来ました」
親友が受け答えをすると、お母さんがすぐに出てきました。
「わざわざありがとうね」
「いえ」
「じゃあ、気をつけて帰ってね」
「はい」
ガチャン。
終了。
(うわぁ、あっけな)
「やぎ。なんか……あっけなかったね」
「うん」
まぁそりゃ風邪引いてんだから、Aくん本人が出てくるはずがありません。笑
頭では分かってたけど、何でも良いから家に来てみたかったのです。ストーカーではないですよ決して。
こうして、親友と私、互いの想い人のお家ツアーはあっさりと終わったのでした。
◇
たったこれだけの話なのに、この時の道とか天気とかよく覚えているんですよ。雨上がりでアスファルトが濃かったなとか、曇天だったなとか、少し肌寒かったなとか。親友の服装まで。
また、青コースを通ってから赤コース沿いの自宅に帰宅するわけですから、結構時間もかかりました。帰宅すると少し心配した面持ちの母が出迎えたので、「委員会で遅くなった」と言った気がします。日頃から「寄り道は絶対ダメ」と言いつけられていたので。笑
ダメって言われるほど、やりたくなるものです。カリギュラ効果って言うんですけどね。
私は自分で言うのもアレですが、真面目で聞き分けの良い子どもでした。それでも両親は「〜したらダメ」とかなり言ってきたので、最初の方は守っていたのですが、少しずつ抜け道を覚えるようになりました。笑
何だか、まとまりも、オチも何もない話になってしまいました。私の淡い恋バナしかしてないじゃんこれ。笑
でも書いてたら色々思い出したこともあるので、「カリギュラ効果シリーズ」と「小学校の胸キュンエピソード」はまた近日公開したいと思います〜(需要なさそうだけど!笑笑)。
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