第42話 茶の間にも愛を

 突然ですが、「茶の間にも愛を」ってどういう意味? と思った方もいらっしゃるでしょう。


 えーと、今回も懲りることなくアイドルネタです。もうアイドル専用エッセイになりそうな勢いですね……。笑


 茶の間とは、ファンの一形態を指します。今回はアイドルに限定してお話しますが、どのファンでも使われる言葉だと思います。

 ライブや舞台には行かず、テレビで推しの出演しているドラマや音楽番組、バラエティ、CMなどを見て応援するファン、つまり茶の間のテレビ前で完結するファン、それが茶の間です。

 今回は、そんな茶の間に関するお話。



 ライブとか舞台は、アイドルの本業です。歌って踊り、シャワーの如く黄色い歓声を浴び、ライブハウスやドーム、アリーナがよく似合う人達こそがアイドル。その場所ならではのグルーヴに乗っかって、散々ペンライトやタオルを振り回す、それが応援の醍醐味。

 そんなファンが圧倒的に多いのかもしれません。何たって、アイドルのご尊顔を直接拝見できる、貴重な場所ですもんね。アイドルとファン双方にとって、ライブや舞台はとんでもなく重要なものです。


 でもそもそも論なのですが、


 特にライブって、ファンクラブ入会してないと行けないんですよ、基本的に。そうじゃないと、良い席もなかなか取れない。

 一般購入でチケット狙う日には、当日の朝から電話やネットと睨めっこ。なかなか繋がらず、やっと繋がったと思えば完売の2文字。努力に見合わず切ない結果となります。


 ファンクラブ会員の場合、年会費を払っている分、その辺の融通はききやすくなります(アイドルに限らずそうですよね)。まぁ良い席が取れるとは限りませんが。笑

 ただ年会費って、意外とバカにできませんよね。

 年間1万行かないとしても、年会費にプラスアルファで雑費を要します。例えば各コンサートや舞台のチケット代、それらの関連グッズ代、CD代、DVD代、雑誌代……と、結構あるわけです。CDなんかは初回限定盤と通常盤がありますし、コンサートだって、一度じゃ足りない! って時もあるでしょう。雑誌も保存用、鑑賞用と分けているファンもいます。

 こう考えると、結構出費が痛くなってきます……。


 私もキスマイにこの世の全てを捧げていた頃、お小遣いのほぼ全てをキスマイに充てていました。

 まだ中高生とかでお金に限りはありましたが、藤ヶ谷さんの特集号とか表紙の雑誌はほぼ全て買い込み、CDも初回限定AとB両方買って特典を狙ったりしていました。あとはジャニーズショップで写真の大量購入。キスマイだけで何枚買ったことやら。懐かしいなぁ。

 その上、友達に感化されて嵐さんのCDも買ったり、嵐さんの出ている映画を見に行ったりしていました。さらに私、松井玲奈さんも大好きなので、彼女の雑誌とかCDも買い込み……。底なし沼……。笑


 あの頃はまだ、自分のお金を趣味だけに使えていたので、何とかなっていました。

 でも今は違います。

 洋服やメイク用品など、TPOに合わせた振る舞いを求められる年齢になり、アイドルにお金を注ぎ込むことが難しくなっていったのです。あとは年齢を重ねるにつれ、多少のおしゃれに気を配り始めた、というのもあります。笑


 今後は資格試験と共に就職です。アイドルに注ぎ込むお金増えそうじゃん! と思うかもしれませんが、逆です。減ります。笑

 色々ライフプランとかキャリアパスを考える中で、自己投資するべき部分が見えてきたからです。ファンクラブの年会費も、自己投資に回したい。アイドル大好きだし応援したいけど、自分の人生も悔いのないものにしたい。


 何より、「私達が貢いだお金で美味しいご飯食べてね! 元気でいてね!」とアイドル本人に言えるほど、自分が豊かじゃない。アイドルに食べてもらう前に、自分が死んでまう。笑 多分アイドル側も、餓死しそうなファンに貢いでもらいたいとは思わないでしょう。笑


 そこで私は決めました。


 これからは、茶の間になろうと。


 茶の間だって立派なファンなのです。


 辞書を引けば、ファンとは、特定の対象を熱心に支持する人のこと。

 お金をかける人、とはどこにも書いていません。推しを見る場所が茶の間だろうがドームだろうが、支持するパッションさえあれば、立派なファンなのです。推しを崇める場所がリビングだろうがアリーナだろうが、支持したい、応援したい、好きだ、という気持ちさえあれば、それはファンなのです。みんな仲間なのです。


 キスマイのファン名称は長らく「俺足族」でしたが、近年では「なかまっち」とも言います。良い言葉だなって思います。


 マイペースで良いのです。


 私はライブ好きだけど、爆音とか強すぎる照明とかはちょっと苦手です。だから、あとでDVDで見れるのが嬉しい。舞台や映画は時々見に行けたら良いな、って思ってます。


 最近のジャニーズは、SNSやネット媒体への露出も解禁し始めました。

 スマホさえあれば、基本料金さえ払えば、インスタもYouTubeも無料で見られる時代。経済的理由でファンクラブに入れなかったり、足繁くライブに通えなかったりするファンにも優しい環境が整備されてきています。


 茶の間でも良いじゃない。


 ライブ至上主義のファンもいるけど、それはそれで良いじゃない。

 ライブに必ず行く、あるいは応募する、それだけが真のファンじゃないって思ってます。虫の良いことを、って言われるかもしれないけど。笑




 今こそ、全てのファンという人種に伝えたい。




 推しへの愛と同じように、茶の間にも愛を。



 私はキスマイが好き。それだけは変わらない。

 どんな形であれ、あなた達を見つめていたい。



 そんな思いは、この世界に生きている限り、きっと届くものだと信じているのです。

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