第33話 アイドルの居場所(その2)
いやぁ〜、随分とご無沙汰してしまいました。
カクヨムコン、実習、論文、就活とてんてこまいでして……。ここら辺のことは、気が向いたら書きますね。近況ノートにも結構書いてますが。笑
今回は②「アイドル自身にとっての居場所はどこなのか?」について、お話してみようと思います! ①が何だったかは、前回のお話を見ていただければ幸いです。
アイドルって、本当に華やかですよね。
キラキラした外見、キラキラした衣装、キラキラした曲、キラキラした舞台。いつでもどこでも、歩くだけで周囲から黄色い歓声。今日も大都会のテレビ局で収録をして、仕事終わりにはあの有名人とディナー。
……とまぁ、芸能界から何万キロも離れた所で、ひっそりと暮らす一般人は、こんな妄想を常にしているわけであります。笑
ただ、彼らに親友とかっているんだろうか? と、ふと思う時があります。
例えばキスマイ。
最も早くジャニーズ事務所に入所した藤ヶ谷さんは、小学校5年生からジャニーズ人生を歩んでいます。他のメンバーだって、児童期〜思春期の間に入所。
晴れてオーディションに合格し、入所したら、今度はデビューまでの過酷な道のりが待っているわけです。ジャニーズ事務所はアルバイト禁止。ダンスレッスンに明け暮れる日々。時にはジャニーさんからの突然の電話で、先輩のコンサートのバックダンサーとして駆り出されることもあったのです。学校や近所の友人と、おちおち遊びに行くなんてことも、他の人と比べれば難しかったことでしょう。
こんなことを言えば、きっとこういう意見を言う方もいるかもしれません。
「忙しいとか過酷って言ったって、嫌なら辞めれば良いだけじゃないか」って。
まぁそれは……ド正論です。笑
でも、何者でもない時に事務所に入ったからこそ、彼らはどうしたって、その中で
入所歴が長くなれば、身近な人がデビューを手にすることだってあります。また、辞める決断を下したとしても、既にグループを組んでいるメンバーへの説明が必要になる。迷惑をかけてしまうという罪悪感もある。「このまま頑張れば、いつか自分も」という
同世代の人間達と切磋琢磨させられる状況の中で、デビューだけを信じて、目の前の仕事をがむしゃらにこなしていく。それも思春期に、です。自身のアイデンティティ確立のために、価値観などを互いに話し合い、認め合えるようなピア関係(いわゆる親友的な関係)を事務所の外で作るのは、難しかったのかなぁなんて感じます。
結果的に言うと、アイドルの居場所はアイドルではないかと思うのです。
もう少し砕いて言えば、メンバーにとっての真の居場所は、自分が所属しているグループであるということ。
一般人にとってみれば、「え、それ普通じゃん」ってなるかもしれません。学生時代に仲良くしていたグループや所属していた部活のメンバーで、就職しても時折集まって飲むみたいな。そこで近況報告して、ちょっと心を休めたりできますよね。それは私達一般人が、当たり前に行っていることです。
ただ、アイドルに置き換えると、グループが居場所というのは、結構特殊なことだと分かります。
なぜなら、グループで仕事もしているからです。仕事仲間が、心の支えなのです。これはバンドとかでも言えそうですね。
一緒に仕事をし、同じ方向を見て、時には精神的にも支え合う。アイドルグループには、「仕事仲間」・「チャム関係(みんな同じ価値観を共有することで安心できる、中学生に多い関係性)」・「ピア関係(互いの違いを認め、受容できる、高校生以降の関係性)」が混在しているような気がしています。
一般的には仕事仲間とピア関係の仲間は分けますし、チャム関係は成長と共に薄らいでいきます。この3つの関係が同時に続いているのは、割と奇異な状況とも言えるのです。
ここで、実際のアイドル達のコメントを見てみましょう。彼ら自身が、グループやメンバーのことをどう捉えているのか。
まずはキスマイから。
「根っこの部分では、誰かがピンチの時は支えに入るし、どこかでつながってるし、気にしてるところがある」(藤ヶ谷さんのラジオ内でのコメント)
「“仲が良い・悪い”という関係値じゃなく、ほかにないような関係」(雑誌『ちゃお』の北山さんコメント)
仕事だけでなく、「どこかでつながってる」という藤ヶ谷さん。「“仲が良い・悪い”という関係値じゃない」という北山さん。彼らにとってキスマイは、友人や仕事仲間を超えた、我々の言葉ではうまく表せないような関係であることがうかがえます。
キスマイと同じくジャニーズの、ジャニーズWEST・重岡大毅さんも、メンバーについて次のように語っていました。
「家族みたいな、友達みたいな、兄弟みたいな、ライバルみたいな」(2021年11月16日放送の『RIDE ON TIME』内)
重岡さんの言葉が、なんか全てを物語っている気がしますよね。笑
団結や同調、絆を求める間柄であると同時に、切磋琢磨し合う関係でもある。そんなことを言っているのかなと思います。
お次は練習生時代、合宿所での共同生活も経験しているBTSの面々です。
「ジョングクが15歳のときからは僕が育てた」(ジンのコメント)
「(J-HOPEは)僕の精神的な同僚だ」(2020年BTS FESTAでのRMのコメント)
ジンさんのは、もはや親子みたいなコメントですね。笑 ジョングクは15歳でソウルに出てきて、Big Hit Entertainmentという事務所に入りたての時は、右も左もわからなかったようです。しかもBTSの最年少。そんな時に、最年長のジンがお世話をしてくれたということです。地元そして親元を離れ、1人都会にやってきたジョングクにとって、BTSは家族そのものだとも言えるでしょう。
RMさんのは、核心をついているように思えます。「精神的(心の関係)」+「同僚(仕事仲間)」ですからね。笑
このように、アイドル自身にとっての居場所はアイドルそのものであることがうかがえます。
家族よりも深く、長い関係。それでいながら、共に仕事もする関係。グループとしての利益を最大にすべく、個々が切磋琢磨し合う関係。
いやぁ、不思議。笑
だからこそ、もし解散なんてなった時には、本当にどうしようもないのだと思います。
例えばSMAP。彼らは事務所の内情により解散に陥ったわけですが、そこから中居さん・新しい地図・木村さん、の3グループにすっぱりと別れてしまいました。彼らも幼い頃にジャニーズ事務所に入所し、グループを信じて歩んできた人々です。解散後、全員が公の場で揃ったことは未だありません。グループの
とんとん拍子でデビューしたアイドルも、長らく苦労したアイドルも、きっと自分の所属しているグループが、多かれ少なかれ心の居場所となっているでしょう。ティーンにとっての最大の居場所は、「最も長い時間を共に過ごした場所」なのですから。
ただそのグループを、10年、20年と続けていく。思春期に、大人によって組み合わされた人間達が、中年になっても、同じ成員で同じ方向を向いて歩いていく。
これって、とっても難しいことじゃないでしょうか。
だって私、「同じ価値観だな」と思って自分で選んで付き合った友達と、数年で連絡つかない状態になってるんですもの(深く突っ込まないでください、メンタル死ぬので。笑)。
そう考えるとやっぱり、アイドルって「キラキラ」だけじゃ決して務まらない、とんでもなくタフな職業だな、と思うのです。
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