第29話 虹色のういろう

 今回もまた、グルメなお話です!

 そして今回もまた、舞台はシンガポールです! シンガポール大好きかよ……。笑


 この世界には、実に様々な色があります。ただ大半の色は、7つくらいのカテゴリーに大別することが可能です。赤・オレンジ・黄色・緑・水色・青・紫、みたいに。

 その中で食欲を増進するとされている色は、赤やオレンジなどの暖色系。暖色と寒色の中間に位置する緑も増進させるみたいです。サラダなんかまさにそうですよね。

 一方食欲減退の色として有名なのが、青や紫などの寒色系。この前、大阪にBTSカフェがオープンして、水色のコアラキャラクターを模したご飯がネットで紹介されていたんですが、「まずそう」と批判されていました。そりゃそうだ。笑


 最近の世の中はおかしなものですね。

 寒色がガッツリ使われているというのに、虹色の食べ物はすごい人気になるんですよ。世の中、味より映えに移行した証拠とも言えそうですよね。

 レインボーチーズケーキとか、レインボーチーズドッグとか、ハワイのシェイブアイスとか。寒色の部分絶対美味しくなさそうじゃん!笑


 まぁ、それは一旦置いといて。



 今回お話するのは、シンガポールで見た虹色のういろうについて。

 レインボーチーズケーキほど毒々しいビビッドカラーではないのですが、思いっきり5〜6色に層が分かれていたんです。笑


 このういろうの正体は、kue lapis(kuih lapisとも)と言います。読み方はクエ・ラピスとか、クイ・ラピスあたりが妥当でしょうか。


 ここから先は、wikipedia等の内容を日本語にして軽くまとめてます。笑

 kue lapisはインドネシア語らしくて、kueはお菓子、lapisは層という意味のようです。「層状のお菓子」ってことかな。可愛いですよね。

 原材料は米粉とココナッツミルクと着色料。これを混ぜ合わせて蒸したら完成です。色が混じらないように、層は後から付け足していきます。緑色はパンダンリーフで着色しているようですが(前話『緑色のジャム』参照)、他の色を何で付けているのかは分かりません。食紅とかかな?

 元々インドネシアの伝統的なお菓子で、いわゆるハレの日、つまりお祝い事などによく出されていたものなんですって。今では、近隣のマレーシアやシンガポール、ブルネイなんかでもよく食べられている人気のお菓子だそうです。

 食感は、プルプルもっちり甘〜い、って感じです。個人的には、すあま、タピオカ、ゼラチンにも似ているなぁなんて思っています。ココナッツがドッカーンと主張することはあまりないです。色の主張は激しいですが。笑


 形は丸かったり、直方体だったり、三角形だったりします。色は虹色のもあるし、ピンク×白とか、緑×赤とか、組み合わせはたくさんあるようです。ローカルのお菓子屋さんに行くと、とんでもなく鮮やかなkue lapisが店頭に所狭しと並べられていて、目を奪われます。

 単色のは今の所、見たことはないですね。2色以上は使って、バウムクーヘンやミルクレープのように層を重ねているのが多分定番です。ここだけの話、昔はバウムクーヘンやミルクレープの層を1枚ずつ剥がして遊んで食べるのが好きだったんですが、kue lapisはもちもちしているので、うまく剥がせません。笑



 このkue lapis、シンガポール観光の2日目の夜に出会った記憶があります。この日の夕食は朝食に引き続き、ビュッフェだったんですよ確か。で、スイーツコーナーに行ったら、一際目を引く虹色の物体と目が合ってしまった、というわけ。

 一緒に行った人達はなぜか気味悪がってお皿に取らなかったのですが、ローカルフードだったら食べたいじゃん! kuih lapis(現地ではこう表記されてました)なんて一発で読めない言語は絶対ローカルフードじゃん! って思って、私は躊躇せずお皿に取ったんですよね。それも、虹色と水色×黄緑色の2つを。わざわざ食欲減退の色をチョイスする自分よ……。笑

 ただ躊躇なく取ったは良いものの、味の保証はなかったので(説明一切書いてなくて分からなかった)、安心できるライチゼリーもお口直し用に取っておきました。笑


 パクリと食べてみれば、何だ普通に美味しいじゃないですか!

 ういろうとすあまの食感と味が、ちょっとエキゾチックになっただけなんです。軽くココナッツの風味がする以外はマジで和菓子。虹色の食べ物って大体「美味しくはない」か「まずい」の2択だけど、これは「美味しい」。しかも溶けたりしないから、少し時間を使って写真撮影ができる。笑

 だけど一緒に行った日本人から見れば、kue lapisを頬張る私は「食欲減退色の食べ物を目の前でニコニコしながら食べる頭おかしい奴」だったようです。「美味しいから食べてみなって!」と勧めても一向に手を伸ばさない。無理強いは良くないので諦めましたが、この美味しさを共感できなくて寂しかったです。笑

 その後私はライチゼリーも完食し、kue lapisをさらに2つくらい食べました。シンガポールスリングとの相性も良いですよ。笑



 kue lapis、日本人の口にも合う美味しくてインスタ映えバッチリのお菓子ですが、生菓子なんですよね。お土産にはできないので、気になる方はコロナが落ち着いたらぜひ現地で食べてみてください! 私もまた食べたい!笑

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