第28話 緑色のジャム

 今回は、食べ物の話をしたいと思います!

 テーマは『緑色のジャム』。緑色の食べ物は多いですが、緑色のジャム、と聞くとあまり美味しくなさそうですよね。笑

 でも、すっごく美味しい緑色のジャムをシンガポールで発見したんですよ。


 そのジャムの名前は、カヤジャム。材料は至ってシンプルで、砂糖と卵とココナッツミルクから作られます。なので、基本的には白っぽい黄色みたいな、バターのような色をしているんです。ただパンダンリーフという葉っぱが大量に入ると、緑色のカヤジャムになります。パンダンリーフはシンガポールでめちゃめちゃ好まれるハーブだそうで、着色や香り付けの目的で使われるみたいです。

 このカヤジャム、多分製造元によって微妙に配合が違うと思うので何とも言えないのですが、そこまでココナッツ感が強いわけではないし、パンダンリーフが入っていたとしても青臭さというか、葉っぱ感も全然ないです。

 私が現地で食べたのは、砂糖と卵の甘さがまず前面に出てきて、終盤と余韻にココナッツとハーブの風味がくる感じ。パクチー的な強烈さは全然ないので、爽やかに東南アジアの雰囲気を感じられるかもしれません。


 ただね、甘いんですよ。笑

 砂糖=甘い

 砂糖+卵=お菓子作りの王道ペア。甘い

 ココナッツミルク=甘い

 パンダンリーフ=甘い(東洋のバニラの異名を持つらしい)

 つまり……

 甘い+甘い+甘い+甘い=甘い×4=超絶甘い

 という計算式が成立するんですね。


 まぁクリームどっさりパンケーキとか、シロップたっぷりタピオカとか、メレンゲもっさりマカロンほどの甘さではないのですが、それなりに甘いです。これだけで食べ続けると、私は甘さにられます(甘すぎるのは苦手)。大の甘党さんとか、ココナッツ大好きさんには超おすすめです。


 ちょっぴりカヤジャムをディスりましたが笑、アレンジ次第で甘さは調節できます。私がカヤジャム大好きなのも、とあるレシピのおかげです。

 カヤジャムは、朝食で食べられることが多いみたいです。中でもトーストに塗ったりトーストで挟んだりする、カヤトーストが定番。私はこのカヤトーストの沼にハマりました。


 シンガポールで泊まったホテルの朝食ビュッフェに、このカヤトーストがあったんですよ。英語でkaya toastとだけ書いてあって、原料何も書いてなくてすっごい不安だったんですが笑、きっと現地の食べ物なんだろうと思ってお皿に取ったんです。

 一口食べれば、じんわり溶け出るバターと共に、少しざらつきのある舌触りのカヤジャムがふわぁっと広がって。ってか何より、バターの塩味とカヤジャムの甘味が絶妙すぎたんですよ。ハーモニーを奏でるというよりマリアージュだよみたいな(語彙力)。ココナッツの入った食べ物をこんなに美味しいと思ったの、初めてだったんです。

 2日目の朝に初めてこのカヤトーストを食べてから、帰国当日の朝まで連日食べ続けるくらいにドハマリしました。笑


 ちなみにホテルで食べたのは、基本的な黄色っぽい方ではなく、パンダンリーフが大量に入った緑色のジャムの方。トーストからはみ出た緑色に物怖じせず食べたあの時の私の勇気、自分でも凄かったなって思います。あの緑色を何となくで忌避きひしていたら、カヤジャム、ひいてはカヤトーストの美味しさに出会えなかったのだから。


 カヤジャムの美味しさに感動し、(またシンガポールに来られたら絶対絶対食べる!)と心に決めて帰国した私、盛大にずっこけました。


 な、何だと?


 成城石井にあるじゃないか…………


 え、待てよ?


 カルディにもあるじゃないか…………


 おい、待て待て。


 クラシルのレシピにも載ってるじゃないか…………


 そんなに日本でも流通していたの?!

 遥々日本から5,000キロも旅して辿り着いて(飛行機だけど)、未知のものを発見した! と信じてあんなに感動したのに……。笑

 でもそれだけ、日本とシンガポールの物の行き来が盛んってことですもんね。それはそれで嬉しいんですよ。笑


 日本のお店で普通に見つけてしまったことにショックを隠しきれなかった私ですが、あの東南アジア独特の気候で食べるカヤトーストと、日本で食べるカヤトーストはまた別物だと信じています。全く同じものを食べられるなんて思ったら、嬉しいけどちょっぴり悔しいじゃないですか……。笑

 またシンガポールに行けたら、カヤトースト食べまくるつもりです。まぁ日本にも売っていますし、カヤジャムとトーストとバターさえあればカヤトーストは作れますから、良ければ皆様もぜひ。



 最後にちょっとだけ小話を。

 旅行先の朝食では私は必ず、ローカルフードを食べます。沖縄だったらチャンプルーとにんじんしりしりは絶対食べる、というような具合です。

 ただシンガポール行った時は、迷いました。笑


 外務省の報告によれば、シンガポールの人種の割合は中華系が76%、マレー系が15%、インド系が7.5%だそうです(2019年時点)。宗教も仏教、イスラム教、ヒンドゥー教と様々で、彼らのライフスタイルに合わせてチャイナタウン、アラブストリート、リトルインディアといった地域が点在しています。

 となると、ですよ。


 朝食のバリエーションすっごい多いんですよ!笑


 普通のトーストやウインナー、スクランブルエッグなどの隣にカヤトーストがあって、その隣に焼売やゴマ団子などの点心があって、お粥があって、その隣にナシゴレン、ビーフン、カレー、ナンがあって、その隣に納豆、うどん、白米、味噌汁があったんです。はっきり言ってカオスです。笑 最後ガッツリ日本人の胃袋掴みに来たラインナップだし、何故わんこそばの器にうどん入ってんだし。笑

 一見ただの中華料理や東南アジア料理、インド料理が並んでいるだけのように見えるんですが、やっぱりさりげなくココナッツやパンダンリーフなどが使われていたりするので、どの料理もシンガポール独特なんです。そこが興味深くて、色々食べまくったので、私は連日朝から満腹でしたね。


 割と話逸れた気もしますね。笑

 というか、このお話していたらたくさんの料理がずらりと並べられたビュッフェを思い出してしまって、シンガポールに行きたくなってしまいました。笑


 あぁ、心だけじゃなくて体も海外に飛んで行きたいわ〜。

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