第27話 ドルヲタが求めているもの(その3)

 このエッセイも、随分と趣味に全振りするようになりました。懲りずに読んでくださる方には感謝しかありません。笑


 今回のテーマは、ダンス!

 海外にも目を向けたいと思います。話したいことは以下の2つです。


 ①ドルヲタはダンスをどれくらい求めているのか

 ②ダンス動画について


 ②については、キスマイ、SnowMan、BTSなんかを引き合いに出しつつ語っていこうかなと思っています。引き合いに出すグループが毎回ほぼ同じで申し訳ないのですが、私がある程度の裏付けと共に責任持って話せるグループがこれしかないんです。やっぱりね、失礼のないように話さないと。笑

 ダンスそのものの魅力も語りたいのですが、それはまた後日。



 まず初めに結論言いますね。

 ネットでも割とよく見る意見なんですが、日本のドルヲタって、アイドルの【ビジュアル】を重視しがちな一方で、海外のドルヲタって、アイドルの【スキル】を重視しがち、らしいんです。つまり、アイドルに欠かせない要素であるダンスの優先順位は、国や地域によって異なるのだということです。


 まぁ、考えてみれば当たり前なんですよね。

 だって、海外進出するくらいの実力を持つには、(事務所の力もだけど)やはり顔だけじゃ無理じゃないですか。あとこれは批判覚悟で言いますが、顔は変えようと思えば変えられる。笑 メイク1つ、髪型1つでも印象ってガラッと変えられますから。キスマイは襟足切ってさっぱりしたし、BTSは過度なアイラインやめてすっきりしました。笑

 だからここで重要なのは、編集とか加工に限界があるもの。すなわち、ダンススキルなのです。この嘘つけない実力で、どこまで這い上がれるか。どれだけ人の目を、心を奪うか。そこに尽きると思うのです。



 ……と言いつつも、ダンスの比重はグループによって様々です。

 例えば、キスマイは振り付けに特化した公式動画をほぼ出していません。だから我々ファンはMVや音楽番組の限られた情報から、つぎはぎして振りを覚えていくのです。まぁそもそもローラースケートの曲もあるので、完コピするのは無理なんですよね。私キスマイ大好きだけど、自前のローラースケートまではさすがに用意してないので。笑

 そうすると、彼らの曲がテレビでオンエアされる時、個々の振り付けや全体の構成というよりは、どうしても個々の表情、メンバー同士の絡み、ローラースケートの動きにカメラは寄りがちです。

 このことから、キスマイは精鋭揃いのダンスグループというよりは、従来のアイドル像に従う、割と保守的なグループと言えます。ダンス大会で優勝経験のある千賀さんとか、アクロバット得意な二階堂さんはいるけれど、それは個性であって、全体のイメージではない。まぁそれはそれで、ファンとしては全然良いんですけどね。


 一方、キスマイと同じジャニーズのSnowMan(とかいくつかのグループ)、そして韓国のBTSは、新曲が出る度に公式YouTubeでChoreographyコレオグラフィー(振り付け動画)を公開しています。

 このChoreographyというのは、スタジオ的な所でレッスン着姿のメンバーがフルで踊っている所を定点カメラで撮影した、ただのダンス動画です。ファンとしては、MVでカッコつけてる所以外のシーンを見られるわけです。特に激しいダンスナンバーではメンバー全員が息を切らしてへたり込むなどしていて、を見ることができるのがポイント高いんです。

 このようにChoreographyを公開しているグループのテレビオンエアを見ると、やっぱり顔よりも足さばきや手のシンクロなど、ダンスへのカメラフォーカスが多いんですよね。

 個人的には、Choreographyを出すグループ=ダンスに自信めっちゃあります! ってグループだと思っています。最近はダンス全体にストーリー性があったり、小道具を使ってさながらステージのように魅せたり、アイドル側も創意工夫を凝らしています。


 そういう意味では、従来の“アイドル”という概念はもう、幾分古いのかもしれません。マイク片手に手足を軽く動かし、カメラが近づけばスマイルやウィンクでファンを悩殺、だけじゃダメなんですね。今のアイドルはインカムマイクで両手を空け、ゴリゴリのダンススキルで悩殺、が多い気がします。



 さて、アイドルがChoreographyを出すのには、もう1つ大きなメリットがあります。

 それは、振り付けを覚えたファンがSNSで拡散してくれること。今じゃTikTokとかインスタのリールとか、動画投稿に適したSNSはたくさんあります。そこで「何この振り付けかっこいい」「この曲サビだけで終わっちゃった。続きが気になる」なんて人々が、結局公式YouTubeにたどり着くというわけ。笑

 さらに言えば、このコロナ禍で、お家時間をダンスに使う人も増えたわけですからね。Choreographyは格好の題材なんです。事務所側にしちゃ再生回数爆上がりだし、まさにウィンウィン。


 そうすると、Choreographyを出すアイドルのヲタ達は、ビジュアルだけでなく、振り付けのアレンジがどう施されているか? アドリブはあるか? といった、新たな視点をテレビのオンエアで求めるようになるのです。だからカメラも、全体的に引き気味。


「え、でもそれだと肝心のビジュアルそんなに拝めなくない?」


 そう思った人もいるかもしれません。でもね、BTSはこの問題もあっさりクリアしています。


 BTSの場合、ドアップのショットはVLIVEという配信アプリの他、メンバーや事務所の公式インスタグラムにこれでもかってくらいに投下されるので(ここがなんですよ! 投下量エグいんですよ!)、音楽番組ではダンスに重点を置いても良いのです。むしろ顔よりダンスを見て欲しいのです。



 まぁここまでつらつらと書いてきましたが、やはり海外進出狙うなら、ダンススキルをゴリゴリに磨いてChoreography出さないと戦っていけないのかなぁなんて思いました。確かにアメリカとかじゃダンスバトルなんて日常ですもんね。そりゃ海外のヲタクはスキルに目が行きますよね。

 でも、日本じゃストリートダンスやヒップホップはまだポピュラーとは言い難いというか。それと、一部の過激ヲタは「あのメンバーブスなくせに」とか平気で言っちゃうくらい、まだビジュアル先行だし。キスマイは後列4人がブサイクと呼ばれ続けていましたし(生で見たら普通にバチバチのイケメンでした。本当です)、最近では過激派同士でSnowManのことをブスノ、King & Princeを菌プリと呼ぶ嫌がらせが横行しましたし。キスマイはブサイクと揶揄されるのを逆手にとって成功した、ジャニーズ内でも割と異端児タイプですが、やはり日本はビジュアル重視なんだなぁって呑気に考えています。笑


 読んでくださった方には、何となく「へぇ」とか「ふーん」とか思ってもらえれば嬉しいです。自己満でごめんなさい。笑

 ヲタが求めるものによって、アイドル側も供給するコンテンツが変わるし、ヲタの属性も変わってくるんだなってつくづく思います。



 ……え、キスマイにChoreographyを出して欲しいか?


 うーん、なくてもいいかな。

 全員30代で撮影用に何度も踊るの疲れるだろうし、彼らがテレビの向こうで楽しく踊っているのを見られるだけで、私は幸せですから。笑

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