第26話 ドルヲタが求めているもの(その2)

 先に告知をしておきます。

 これを含めてあと2回、このシリーズ続けます。笑


 前回はジャニーズ内の他グループ間(地域間)比較をしました。今回は同一グループ内の比較をしてみます。つまり、いわゆる「古参ヲタ」と「新規ヲタ」のニーズの違いを見ていきたいな〜というわけです!

 題材は私の愛してやまないKis-My-Ft2とさせていただきます。この趣味全開エッセイを読んでくださる方には、本当に感謝しかないです……(読者いるかな笑)!

 一応、☆で囲った所は読み飛ばしても良いです。*以降は見て下さい!笑



 Kis-My-Ft2、通称・キスマイは今から10年前の2011年8月10日にデビューした、ジャニーズ事務所所属のグループです。『アイドルとは何か(その1)』でお話しているのですが、彼らにはデビューからの10年間に加え、グループを結成してからデビューまでの6年間という時間がありますので、当然ファン層も古参と新規に分かれるのです。


 これは個人的見解ですが、キスマイの場合は


 ①2005年〜2011年までにファンになった人々→最古参

 ②2011年〜2013年までにファンになった人々→古参

 ③2013年〜2016年までにファンになった人々→中堅

 ④2016年〜2020年までにファンになった人々→新規

 ⑤2020年以降にファンになった人々→超新規


 と、5つにファン層を細分化できそうです。


 ①はデビュー前のJr.時代からのファンなので最古参。②は前列3名と後列4名の格差がまだ大きかった頃なので古参。③は後列4名に焦点を当てた『舞祭組ぶさいく』が結成された頃で、1つのターニングポイントなので中堅。④は初めて7名全員にソロが割り当てられたアルバム『I SCREAM』のリリース時期で、ここもターニングポイントなので新規。⑤はコロナ禍のお家時間でファンになった人々なので超新規。

 無論、この分類によって特定の人々を差別するつもりは微塵もないです。私も②に該当しますので、最古参ではありませんし。分類は便宜上、こうしているだけですからね。


 で、んだ、ってことをお話してみたくて。古参の①②、中堅の③、新規の④⑤、っていう3つの大きなニーズがキスマイ にはあるわけです。便宜上、ここでは①②をAグループ、③をBグループ、④⑤をCグループとでもしておきましょう。




☆☆☆ここからは、ヲタ色全開の為読み飛ばしても良いです笑☆☆☆


 古参のAグループがキスマイに求めているのは、道のりの長かったデビューに食らいつくまでの雑草魂や、ハングリー精神、そしてチャラさの残るオラオラ感です。Aグループは結成からデビューまでの6年間でメンバーが数々の辛酸をなめた経験や、デビューしても衣装や歌割りの格差が前列3名と後列4名で大きかった不遇の時代を実際に見聞きしています。その中でもファンを喜ばせようと、「俺達が世界を引っ張っていくんだ」というような曲調(『FIRE BEAT』等)、必死にローラースケートを滑らせたパフォーマンス(『Kis-My-Calling』等)、全員が「キラキラのイケメン」像を目指していた時代の曲(『Hair』等)を古参は愛しています。また、キザな姿を残したまま、7名でしっとりと歌う曲(『祈り』等)も好きなのがこのグループ。


 中堅のBグループがキスマイに求めているのは、ある程度軌道に乗ってきたグループのシングル曲や、そのカップリング曲です。あとは『舞祭組』の面々のある種解き放たれた姿。舞祭組ができたことで、後列4名のファンも増えた感覚があります。この時期は特にカップリングに恵まれていましたし、『舞祭組』もバラエティーでの活躍が目立ち始めていました。全員で「キラキラのイケメン」像を目指すのはやめ、個々の色を出そうとし始めたのもこの頃です。まぁこれに関しては、SMAPの解散も影響しています。妙な話ですが、あの伝説アイドルSMAPが解散したことで、キスマイは個々の色を出すことが許されるようになった、とも言えるのです(これは複雑な話になるので、割愛します笑)。カップリング曲『感じるままに輝いて』『負けないで』などの、人間のありのままを描く曲が特に人気を集めています。


 新規のCグループがキスマイに求めているのは、7名それぞれの個性と中毒性の高い曲。この時期は7名各自に初めてソロが与えられ、衣装や歌割りの格差がほぼ完全になくなってきた時期。コロナ禍における、過去のライブ映像のYouTube配信もあり、一段とファンが増えた時期です。ソロが与えられたことで7名(特に舞祭組の面々)の個性や得意なことがはっきりとしました。またメンバー全員が30代になり、グループとしての円熟味を増した時期でもあります。この層には、2019年に出されたアルバム『FREE HUGS』の収録曲『A.D.D.I.C.T.』が特に大人気。キスマイ史上最も治安の悪い曲として有名で笑、今までの「格差が酷いんでしょ」「ローラースケートしか履かないんでしょ」「舞祭組って正直魅力ないんでしょ」という意見を一変させた、固定観念破壊力抜群の楽曲です。


 ざっとこんな感じで、ファンになった時期によって、キスマイに求められるものは随分と変わっています。Jr.時代を含めれば16年もの歳月が過ぎているから当たり前なんですけどね。

 で、この多種多様なファン達が何だかんだで共存してきたわけなのですが……


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




***ここからは読んでいただけると嬉しいです笑***


 最近、悲しいことに、古参と新規のファン間でちょっとしたいさかいが起きてしまいました。


 その発端は、今年8月10日に発売されたデビュー10周年記念ベストアルバム『BEST of Kis-My-Ft2』の収録内容にあります。

 今までにリリースしたシングル34曲に加え、一部の収録曲はファン投票で決めることに。複数の投票部門があり、部門ごとに結果が順次公表されていたのですが……

 その中の【ファン投票 BEST of 15 Tracks】部門の結果がランキング形式で発表されたことで、波紋が広がっているのです。

 一応古参に入る私も投票したのですが、やっぱり「せっかくの10周年なのだから、古い曲が半分くらい入れば良いな」と思って、デビュー前〜2013年頃までの曲を多めに入れたんです。

 でも、結果を見るとびっくり。


 2019年公開曲:3曲ランクイン(1、2、4位)

 2016年公開曲:4曲ランクイン(3、6、9、13位)

 2015年公開曲:2曲ランクイン(7、8位)

 2014年公開曲:1曲ランクイン(15位)

 2013年公開曲:3曲ランクイン(10、12、14位)

 2012年公開曲:2曲ランクイン(5、11位)


 ……待って待って、2019???

 何と全15曲のうち、上位半分のほとんどを2015〜2019年の公開曲が占めていたのです。しかもトップ2は2019年の曲。つまり、ファン層で言えば③の中堅〜④⑤の新規による投票が多くを占めたと考えられます。

 私や他の古参ファンの方々の予想では、少なくともトップ5をデビュー前後〜2013年までの時期と、それ以降の時期で折半する見解だったので、これには驚きました。

 しかも、堂々の1位はあの、キスマイ史上最大に治安の悪い『A.D.D.I.C.T.』だったのです。超新規ファンの方々がこぞって票を入れたに違いないのです。笑


 この結果をめぐり、古参の一部は「こんなはずではなかった」と、新規に対して不満をぶつけたのです。……まぁ、気持ちは分からなくもない。


 古参の思惑と結果が乖離かいりした背景には、古参と新規が捉えるランキングの意味合いの差異が影響したと考えられます。

 古参にとってこのランキングは、「10年間(あるいは結成からの16年間)の軌跡を見るための、記念碑的なもの」でした。新規の方にも、このベストアルバムを通じてデビュー前後の彼らの曲をもっと届けたいと思っていた。だから古い曲をトップにしたかった。

 だけど新規にとってこのランキングは、「とにかく今最も来ている曲の集合体」でした。YouTubeで配信されていた過去のライブもほとんど2016年と2019年のものだったので仕方ないっちゃ仕方ないのですが、結果として2019年の超新しい曲がトップに躍り出たわけです。


 まぁこれも、④⑤の新規ファンが全体ランキングの結果を左右するほどに増えたんだ! と捉えれば好ましいことなのですが、軌跡を味わいたい古参の願いは報われず……。

 同じグループでも、ファン歴によってニーズが異なる、というのを端的に表した事例だと思います。


 私は結果もひっくるめて、「2021年時点のファンが選んだもの」を残せるならそれで良いと思っています。まぁ、過去の音源は持ってるし。個人的には、諸事情でCDを買わずにいた2016〜2019年の収録曲が入った方がむしろありがたかった。笑

 キスマイ本人には、ファンの多様なニーズは話半分に聞いて、自分のやりたいことを突き詰めて欲しいです。結局、ありのままを応援して楽しみたい、それがファンの総意だと思うので。



 この古参と新規のニーズの違いは、どのアイドルやタレントでも言えると思います。読者の方にも、「あ、私の好きな○○のファンもそんな感じだな」なんて、改めて気づいていただけたら嬉しいです。笑



 古参と新規の価値観が多少異なるのは当たり前。だって、アイドル本人も成長しているのだから。彼らの魅力は時と共に変わるし、多様な魅力のそれぞれに呼応したファンがいるんだもの。そうやって、ファンは増えていくのです。

 だからこそ、ファン同士、衝突や批判はしないで欲しい。互いが感じた魅力を共有し、受容し合える関係でありたいと、私は切に願っています……。


※その後の別のランキングでは、古参が喜ぶラインナップが散見されたので、古参過激派 vs. 新規の争いは一応決着したのだろう、と考えています。笑

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