第21話 結局、英語しか勝たんのだ……
先に謝っておきます。
すみません、今回はまたアイドルの話します。ちょっと長いです。笑
いやね、どうしても書き残しておきたいなって思ったことが出来ちゃったんですよ。だから書いちゃいます。そして、もし優しい心をお持ちであれば、ぜひお読み下さい(人様の良心に訴えるスタイル)。
タイトルの通り、今回は英語の話です。アイドル論×言語学、っていうちょっと妙な構成になっています。笑
最近、私はK-POPに目覚めました。でもね、急に好きになったわけじゃないです。
伏線は昔からあって、例えばBLACKPINKの『Kill This Love』をリピートで聴いちゃうとか、Nizi Projectを本気で見ちゃうとか(『アイドルとは何か(その3)』参照)ってことはままあったんです。
でもね、韓国語って読みが難しいし、日本語と似ているようで結構違うし、メイクが綺麗すぎてメンバーの識別がつかないし(超小声)、やっぱ自分はキスマイへの愛が深いし(超大声)。ってなわけで、韓国アイドルが気になっても、ちょっとググるくらいしかしたことがなかったんです。
ただ、そんなスリープ状態の私を覚醒させたのが…………
きっかけは『Dynamite』のマジでダイナマイトなヒットでした。
私、元々洋楽も好きでビルボードをチェックするんです。BTSがビルボードで1位を取った時は「へぇ、1位がアジアのグループかぁ」なんて思うだけだったのですが、あまりに何度も何度も『Dynamite』が流れるので、とうとうサビだけ覚えてしまったんです。
BTSの所属事務所、Big Hit Entertainmentの策略に見事に嵌まりました。策略とは、歌詞が全編英語だったこと。
今までは「韓国語難しいもん!」でK-POPを敬遠していたのに、
それからの私は、自分で言うのもアレですが、まぁ凄かったです。
爆速でメンバーの顔と名前を一致させ、歌詞を覚え、振り付けを覚えました。
とは言え、私が完璧に覚えたのは『Dynamite』と、同じく全編英語の『Butter』だけ。韓国語入りのは『IDOL』と『ON』がうろ覚え状態なので、
今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いのBTSですが、彼らもデビューからの8年間、結構苦労した人々のようです。ただ、2017年頃からアメリカでも徐々に注目されるようになり、2020年にBTS初の全編英語曲『Dynamite』を出したら
そんな中で私も見事にBTSの虜になり、日夜動画を漁ることになったのです。
やっぱりね、英語は強い。笑
世界共通語で歌われたら、そりゃファンは激増するよなって改めて思いました。世界進出を本気で狙いに行った事務所の策略、リリースのタイミング(コロナのお家時間の影響で、MVの再生回数が伸びた、とも言えそう)等々、あっぱれです。
しかし、単に「アジア人のアイドルに全編英語で歌わせてみました」だけなら、ここまで人気は出なかったと思うんです。BTSにはちゃんと、ヒットできる理由があったのだと確信しています。
それは、彼らの発音の良さ。いわゆる「ネイティブっぽい」口の使い方をしているのです。
特に
ここで一旦、私の大好きな、日本のKis-My-Ft2に目を向けてみましょう。
彼らも、英語を多く使った曲をいくつも発表しています。
でも……でもハッキリ言ってしまえば、発音はBTSに劣ります。やっぱり、アルファベットの中に1音ずつ発したような「カタカナ」が聞こえるんです。
……あぁ、大ファンなのに辛辣な意見書いてごめんねキスマイ。許してくれ。あなた達の英語も大好きよ。てか普通に全部大好きよ(情緒不安定)。
えー、本題に戻りましょう。笑
なぜ、BTSはキスマイより英語の発音が綺麗なのか? ここから言語学に入っていきますね。
これには多分、連音化が大きく関わっています。
我々日本人の多くは、英語のリスニングを苦手とします。だって何言ってるか分かんないし速すぎるもんね。
この「何言ってるか分かんないし速すぎる」のは、連音化、つまり発音の省略のせいです。
例えば英語で「Check It Out!」というのは、我々には「チェケラッ!」と聞こえます。スピードを緩めてもそう聞こえて、慣れなきゃ「チェケラ」がcheckとit とoutの3つの単語からできているなんて分からない。だから「chekera? は?」となるわけです。一方、日本語(標準語)って表記が難しい割には結構親切な言語で、1音1音ハッキリ発音するんですよね。ほぼ省略をしません。
BTSメンバーの母国語である韓国語は、語順は主語→目的語→動詞、で日本語と同じなんですが、「パッチム」という概念が日本語とは大きく異なります。
ハングル文字は、基本的には1つの音に1つの文字で対応しているんですが、いくつかの子音はパッチムと組み合わさり、2つの音を示すようになります。例えば「キムチ」は「キ+ム+チ」の3文字ではなく、「キム(パッチム)+チ」の2文字で表されます。発音も「キ・ム・チ」よりは「キム・チ」の方が近い感じ。
また、数字を表す時にも、例えば日本語で11という時は「じゅう+いち」で「じゅういち」と読むのに対し、韓国語の11は「じゅう(=シプ)+いち(=イル)」で「シビル」となるんです。普通、「シプイル」って読みたくなりません?笑
このように、英語と韓国語では連音化が非常によく起きます。日本語にも連音と似た概念で
そして、この連音化こそが「ネイティブっぽさ」を出しているわけです。『Dynamite』の歌詞に「Life is sweet as honey」って一節があるんですが、RM氏は「ライフ/イズ/スイート/アズ/ハニー」じゃなくて、「ライフィッ/スゥィータズッ/ハニー」って連音化を自然に起こして歌ってるんです。この「ネイティブっぽさ」が、アメリカで受け入れられたのではないでしょうか。
つまり、発音の様式が英語と韓国語で似ているから、韓国の方は、日本人より綺麗に英語の発音ができるんだと思います。要するに、慣れの有無です。
となると、
発音様式が似ている→発音がネイティブっぽくなる→色んな国の方に心地良く聞き取ってもらえる→「発音綺麗カッコいい顔もイケメン」ってなる→Worldwide Idolへ
という流れが、BTSで起きたと言えるんですね。
あぁ、もし日本語も連音化がよく起こる言語だったら、もっとグローバルなアイドルグループができていたかもしれない……。キスマイは今頃、もっともっと世界で輝くスーパーアイドルに……。
まぁでも、日本を笑顔にしてくれるだけでも、キスマイ様の存在は十二分にありがたいのです(結局キスマイの崇拝で終わる)。笑
結論、結局英語しか勝たんのだ。
英語で歌い、英語を理解し、英語を使いこなすアイドルでないと、世界進出はできんのだ。
なかなか厳しい世界ですが、英語を使いこなすRMと発音がバカ綺麗なジョングク、そして必死に英語を覚えようと努める他のメンバーが支えるBTSは、今後さらなる飛躍を遂げるでしょう。今度こそ、グラミー賞期待しているからファイティン。
てなわけで、今更ですが、私はBTSも陰ながら応援しようと決めました。英語の曲なら頑張って覚えるよ。韓国語はゆっくり勉強しようかな(過去にパッチムで挫折した)。
あぁ、もし日本語も連音化がよく起こる言語だったら、私ももうちょい綺麗な英語が話せていたかもしれない……。笑
※『Dynamite』の最初を歌ってる人がジョングク、その次に歌ってる水色の髪の人がRMですので、もし気になる方がいればYouTubeで見てみて下さい(回し者じゃないですよ!笑)
※一応記しておくと、政治的背景等は抜きにして、私は純粋に彼らのパフォーマンススキルを高評価しています!
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