第20話 女子校の生態(その2)

 今回も、女子校についてちょっとお話したいなと思います!


 よくよく考えてみると、女子校って本当に奇妙な環境だなと思うんです。

 思春期の女だけを集めた学校。この地球には男の方が多いのに、女100%の学校。


 こんな奇特な環境に長らく身を置いていると、やはり世間の常識からはズレていく気がしています。笑

 具体的にいくつか挙げると、


 ・ 割とどこでも着替えがち

 ・ 普通にスカートめくって避暑しがち

 ・ 胸元無防備になりがち

 ・ 恋バナ<<<<<<<<<<ヲタトーク


 って感じですかね。特に最初の3つは服装に関してですが、服装は本当にだらしなくなります(人によるけど)。だって女子しかいないんだもん。男性教師もいますけど、もはや彼らを異性として見てないですからね。笑


 着替えに関しては、部活後は学校で定められた最終下校時刻ギリギリになりがちなので、教室ではなく廊下に面したロッカーで着替えるとかありました。見回りで男性教師が来てもお構いなし。我々は時間に間に合うことに必死なので(何度か破ると部活動に影響が出たような記憶)。もはや教師の方が赤面して逃げていくなんてこともありました。


 避暑に関しては、不可抗力です。だって校則が厳しいんだもの。規定のスカート丈だと、座った時に太もも全体に貼りつくから、とんでもなく気持ち悪いんです。スカートをめくってパタパタすると、風通しが絶妙に良くなるんですよ……。笑

 胸元も割と無防備になります。多分、あの頃の制服の着方で共学に行っていたら大変なことになっていたかも。ちょっとね、着るのが多少面倒な制服だったのでね。授業間の休み時間に余裕がない時なんかは自分流の略式の制服にしてたんですが笑、何度も先生に注意されました。でも直さない。だって着るの面倒なんだもん。


 最後に関しては、私がドルヲタになった最大の理由ですね。共学だったら、多分現実の恋愛に目覚めていたと思うんです(成就するかどうかは別として)。でも学校の異性は相当年上だし、そもそも既婚者だし、ドラマとかラノベみたいな「幼馴染が超イケメンでいつの間にか両想い! しかも家は隣同士で、毎朝私の部屋に来て起こしてくれる♡」的な展開もなく(そりゃそーだ)。まぁ、うん、だから……私は……テレビの中のイケメンに心をブチ抜かれたまま現在に至るわけです。逆に恋バナしている方が早熟に見られるというか、「我々はアイドルないしはアニメやラノベ、ゲームにハマっているべき存在だ」的な信念があったように、個人的には思います。



 こうやって女子校流スタンダードに慣れていくと、いざ共学に行った時にカルチャーショックを受けることになります。私はもろに受けました。

 まず、超当たり前のことなんですが……


「男がおる!!!」


 大学入学式の日、キャンパスに着いた私の第一声であります。

 当たり前やん。自分で選んだやん。笑

 でもやっぱり、驚いたんです。予備校も女子が多かったので、入学式で男子の多さに圧倒されるっていう。「あ、同世代の男子って世の中にこんなにいるの?」って純粋に思いました。

 ただ、男子と話すことに抵抗はありませんでした。小学校の頃、男子とはちょっかいを出したり出されたりの応酬だったので。私は小学生の感覚のまま、突っ走ることになるのです。笑 ですが幸いにして、私の友人作りのスキルは平均的だったようで、男女関係なく割とすぐに友人ができました。

 しかし、ここで私の悪い癖が発動します。


 ——ちょっと仲良くなると、自分の趣味を拡散しちゃう癖です。笑


 必修のクラスが同じ人々と友人になり、お昼ご飯を一緒に食べるようになった頃、ひょんなことから趣味の話になったのです。そこには私以外に男子2名、女子1名がいたのですが……。


「私の趣味? それはキスマイだよ。私の青春はキスマイに捧げたから」(詳しくは本エッセイの『アイドルとは何か(その1)』参照)


 普通に話したつもりだったのですが、男子Aは顔色を変えて聞いてきました。


「青春を捧げるって……もしかして、今も好きなの?」

「(食い気味に)めっちゃ好き」


 好きなものは好きでいいじゃない。何が良くないのかしら。

 そう思っていると、Aはさらに顔色を悪くして言いました。


「やぎ、お前そのままだと一生彼氏できないぞ。女子校だったんだろ? せっかくのキャンパスライフが無駄になるよ」

「なっ?! じゃ、じゃあどうすればいいのよ」

「……キスマイを、卒業するんだ」

「ええええええええええええええええええええええええええええ」


 軽く叫びましたよ。無理だもん。笑

 Aが私の恋愛事情までなぜか心配してくれたのはありがたかったのですが、キスマイから卒業なんて、天地がひっくり返ってもあり得ないことだったのです。

 だってそれまで、デビューからほぼ全てのCDとDVDを購入し、ドラマとバラエティと映画とCMをチェックし、コンサートに行き、それらが叶わない受験期間には自分のカレンダーに堂々と「キスマイは逃げないから大丈夫。そんな1年経たずに消えるグループじゃないから。受験の間にコンサート2発くらいやってCD2枚くらい出すだけだから(原文ママ)」と書いていた、筋金入りのヲタクですよ?笑


 でも共学に入り、知りました。

 あぁ、女子校のままのノリでいたら、リアルに充実した生活を失うのね、と。そして共学出身の一部の人からは、「ドルヲタだよ」と言っただけで死んだ魚みたいな目をされるのね、と。Aはその後も友人を続けてくれているけれど。笑


 その後もA達の必死の説得に根負けする形で、ドルヲタの熱量を下げました。具体的には、ドラマとバラエティと映画とCMのチェックだけにしました。だって、CD買ったらコンサート行きたくなっちゃうから。笑 そうしてしばらく過ごしたのですが、コロナでお家時間が増えて、また本格的なヲタに逆戻りしたわけです。

 もし共学で6年間過ごしていたら、他人が頭を抱えるようなヲタクにはならなかっただろうなって本気で思います。笑



 ここまで女子校生活の弊害(笑)を書いてきたのですが、もちろんメリットもありましたよ。

 それは、何もかも女子だけでやるから、良い意味で人を頼らなくなるということです。体育祭や文化祭の実行も、大掃除の音頭も全て女子。荷物運びも全部女子。部活の合宿では、体育館と宿舎の間の山道的な所をCDデッキとウォーターサーバーとか一気に担いで移動してましたからね。


 ですから、大学のサークルで荷物を率先して率先して持とうとした時(1番下っ端の頃)、男性の同期や先輩から「いいからいいから。俺持つよ」なんて言われた日には、なんて優しい世界なんだよ! って思いました。自分が先輩になっても、後輩より先に荷物を運ぼうとすると、男子の後輩に「やぎさん、俺持ちますよ」なんて言われて、本当に優しい世界! って思いました。笑

 でもその反面、心の片隅では(こんなに甘えて良いのだろうか)という思いがなかなか消えませんでした。自分は甘えすぎではないか? 女だからという理由だけで荷物運びが免除だなんて、自分は性差別に加担していないか? などなど……。

 結構悩み込んじゃうタチなのですが、あるサイトで「男子の申し出は固辞するより、笑顔で感謝する方がポイント高い」的なことが書いてあったのを見てから、深く悩むのはやめました。素直に感謝すれば良いんだって思って。恋愛ニュースサイトも、時には役立つものです(こういうのに頼るしかない)。

 ただ、重労働でも普通にやろうとする私を見た先輩からの好感度は高めだったので笑、やっぱり自分で全部やる習慣が女子校で身についたのは良かった気がします。



 ざっくりですが、そして私の超個人的意見も含まれていますが笑、女子校の生態ってこんな感じです。今回は、前半が生態、後半はそれによる将来的な影響についてでしたね。

 もし現在女子校に通っていて、これから共学に行かれる方、あるいは共学に通っていて、女子校の友人ができるかもしれない方は、これを読んで少しでも免疫(?)になれば良いと思います!笑


 それから、もし「女子校のここが知りたい」ってのがあれば、もっと書いてみたいと思います(当事者側だと人の気になるポイントが分かりづらい)。コメント欄にてリクエスト、もしあればお待ちしております〜

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