第14話 学期末はオークション!

 今回は、普通に私が経験したことを話そうと思います。前回みたいに長々と考察書かないので、安心してください。笑

 他にネタないかと思ったのですが、今書けそうなのがまた先生ネタなんです。どうしても書きたい先生がいて。だから、書かせてください!



 これは小学校高学年の時の担任の先生のお話です。

 タイトルを見て、「? はい?」となった方もいるでしょう。そのお気持ちはよーく分かります。笑

 でもね、本当にオークションしたんですよ。


 この先生、結構ベテランの域に入っていて、管理職も務めていました。

 ギャグと下ネタと野球が大好きなおっさんで笑、人によって好みは完全に分かれていた印象があります。でも私は好きでした。

 ギャグと下ネタと野球が好きだったわけじゃないです。教え方が好き、というか自分に合っていたんです。


 その名も“ポイント制度”。

 彼に宿題らしい宿題を出された記憶はないんです。その代わり、自分で1冊自習ノートを用意します。そこに色んな教科の勉強内容を書いて(ドリル解くとか、間違い直しとか)、提出するんです。そうすると、ポイントがもらえます。ポイントは各自のポイントカードに記録されます。

 ポイントを稼ぐ方法は、自習ノート以外にもありました。それは授業中です。

 挙手して発言するとか、音読するとかすればポイントがもらえました。でも常にポイント争奪戦になるのもアレなので、先生が「今日はポイントあげちゃうぞ〜!」みたいな時だけ有効だったと思います。


 私は塾通いを始めていたので、自分のペースとバランスで進めていける自習ノート制度はありがたかったのです。また、私は当時から本の虫で、家ではよく音読をしていました。音読すると、知らない漢字が出てきたら紙の辞書で引いて調べて学んで、ってことができて、受験勉強にも役立っていたのです。

 ですから、自習ノートの作成も音読も得意だった私はどうなったかと言うと……


 ポイント大量獲得者になりました。笑


 で、学期末になるとポイントは清算され、新学期に繰り越すことはできないようになっていました。不公平ですもんね。

 皆さんお気づきかと思いますが、ポイントの清算方法、それがオークションだったというわけです。1学期をかけて稼いだポイントで、品物を「買い取る」のです。

 無論、品物は中古品なんかじゃありません。先生が仕入れた新品の文房具と交換することができたのです。ノートとか鉛筆とかマーカーペンがあったと思います。小学生にとって、綺麗な文房具をタダでいただけるなんて嬉しいものです。笑 ですから、オークションは白熱しました。


「は〜い、じゃあ次はこのペン! どうする? 誰買うんだ?」

「俺!「私!「僕!「あたし!」」」」

「何ポイントで買う?」

「3ポイ「5ポ「10ポイン「20ポイント!」」」」

「よ〜し、じゃあ20ポイントで落札な」


 とまぁ、こんな要領で進むのです。

 おかげで私のクラスだけ、終業式の日は大騒ぎ。笑


 これだけ聞くと「ポイント稼げなかった人不利だね」ってなりそうですが、物によってはポイントの下限あるいは上限を定めていたような(記憶が曖昧)。


 そしてさっき申し上げた通り、私めっちゃポイント稼ぎまくってたんです。

 だから大富豪みたいなテンションでオークションを眺め、本当に欲しいと思った時にポイント積み上げて、ひしめいていた男子陣から華麗にかっさらうっていう、割と貪欲なことしてました。非常に気持ちが良い。笑


 こんなことする人間ですから、当然私には悪評が立つようになります。


「水無月はポイントもらいすぎなんだ」

「あいつはずるいんだ」


 はい、色々言われましたね〜。ポイントはズルしてないんですけど、本当にすごい稼いでいたから笑、文句言われるのも仕方ないとは思ってました。

 まぁね、悪いとは思ってるんですよ。


 音読の授業でポイントが適用される時、「音読して、つっかえたら次の人に交代」ってルールがあって。その音読できた分量だかによってポイント付与率が決まっていたんです。

 でも私、毎日のように音読していたから、もう鍛え上げられちゃっていて。

 何と最初から最後までつっかえずに読んじゃった日がありました。その日のポイントをがっぽり獲得。もう男子からボロクソ言われたの覚えてます。笑


 それ以降、私が指名された時には特別ルールの適用が定められました。

 最初から音読できる範囲を設定されて、そこまで来たら強制終了の措置を取られるようになったのです。笑 これによって取得ポイントは幾分か減りましたが、学期末のオークションで欲しいの買えたので文句はないです。楽しかったな。


 まぁ今思えば、この制度には教育の観点から賛否両論出そうですよね。

 緊張しいな子や、引っ込み思案な子には向いていないと。

 また失読症や吃音症の子にはあまりに酷な制度だと。

 今私は発達障害について学んでいるので、彼らの現状を知る度に、「あの制度は良かったんだろうか」って思うんです。だって有病率的に、クラスに数人は発達障害がいる計算になるのですから。

 当時の私はもちろん発達障害のことなんて知らなくて。社会的にも浸透していなかったから、下手したら先生すら知らなかった可能性があります。


 私は先生のおかげで学校がより楽しくなったから、先生には感謝しています。先生だって、相当頭を使ってあのポイント制度を考えたはずです。でもそれは、適宜アップデートする必要がある。


 みんなにとって学校が、勉強が楽しくなる工夫をすること。その時に、子ども達の特性を今まで以上に考慮すること。

 それが、これからの教育現場に求められることなんだろうなぁって、思います。

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