第15話 黄金色の相棒

 今回は、久々に食べ物について書きたいなと思います!

 そもそも、本作のタイトルは『水無月シェフの気まぐれ』ですからね。サラダは色んなネタを書きますよ、という比喩表現ではありますが、全く食べ物に触れないのも何か違う気がするので笑、今回はグルメな気分で行こうと思います。


 さて、皆さんには“旅のお供”ってありますでしょうか?

 コロナ禍で旅とか悠長に言ってられないのですが、過去の旅を思い返していただければ良いかなと思います。


 まぁ旅でなくても、「外出時にこの食べ物は携帯しておきたい」的なものはあるかな、と気になりまして。例えば飴とかグミとかね。


 私はですね、新幹線に乗る時に必ず持ち込んでおきたい食べ物があります。

 それは……芋ようかん!!! そう、この芋ようかんこそが今回の主役、『黄金色の相棒』です。


 言っときますが手作りではありません。私にはそんな高等技術はございませんので笑、きちんと味の保証されたお店の芋ようかんを購入します。そのお店の名前は舟和ふなわ。ご存知の方はいらっしゃるでしょうか。

 駅ナカにお店を出しているので、余裕を持って駅に行き、そのまま舟和へと直行。まぁ大体ちゃんと品はあるんですけどね。心が「早く早く!」って急かすんです。笑


 始発の新幹線でもない限り、私は家で朝ごはんを食べてから出かけます。朝ごはんは大抵、おにぎり1つか2つくらい。米なので腹持ちは良いのですが、新幹線もまぁまぁ長旅なので、途中でお口が寂しくなるのです。

 普通、というか多くの人はこんな時、駅弁を買うでしょう。あるいはコンビニでサンドイッチとかおやつ、はたまた車内販売を用いるかもしれません。

 でも私は芋ようかん一択。絶対に、何が何でも芋ようかん。いつもは人の流れに乗っかって妥協することも結構ある私ですが、これに関してはもう、別人のように駄々こねます。まず買わないとグチグチうるさい奴になります。笑


 舟和の芋ようかんを初めて食べたのがいつだったかは、覚えていません。

 でも食べた時の衝撃は覚えています。

 甘くて、ほくほくして、ふわっと消えていくような感覚。


 最初、「ようかん」っていうから、小豆と芋がミックスされた味なのかと思っていたんです。

 でも実際の材料は至ってシンプル。箱の表示を見れば、「砂糖・食塩・甘薯かんしょ(さつま芋のこと)」。少なっ! じゃん! すっごい直球勝負!

 外見だって、とんでもなくシンプル。真っ黄色の直方体が5本ほど、白い箱の中にぴっちりと収まっているのです。


 さつま芋×砂糖。

 このペアは、我々をお菓子の沼にズブズブと引き込みますよね。スイートポテトも茶巾絞りも、私の胃袋を掴んで離しません。

 この禁断の組み合わせが5本もあれば、誰かとシェアをした方がカロリー的には安心。それに一応「ようかん」なので、ずっしりしているんです。可愛らしいのに存在感は抜群。

 しかし、しかしです。


 5本なんてで消えますよ。いや本当に。


 口に入れた瞬間、まずダイレクトに「芋ですこんにちは! 私はさつま芋なのよ!」って主張がやってきます。あのほくほくとした感覚が、ようかんの形に成形されてもしっかりと残っているんです。その後、さつま芋と砂糖の甘みがじわぁぁぁと包み込んでくれます。ただ、決して甘すぎないのです。もし、とっても甘くてずっしりとした直方体が5本、収まっているのを見たら、胃もたれしてしまう人もいるかもしれません。

 でも、決してさつま芋の良さを殺さない甘さというか。多分ここでは、少量の食塩がとても良い働きをしてくれているのだと思います(家庭科の知識は皆無)。


 この味わいと余韻が5本分。なんて贅沢なのでしょう。

 さすがに芋の製品ですので、途中で水分は必要になりますが(喉につまらないよう、お召し上がりの際はご注意を)、どこで水分取ったか忘れるくらいに食べることに没頭している自分がいます。笑 そして気づけば完食。お腹も良い塩梅あんばいに膨れて、大満足です。


 この芋ようかん、実は舟和公式のアレンジレシピが紹介されています。なんと「焼芋ようかん」がおすすめなんですって。オーブントースターで焼くも良し、バターやマーガリンをひいてフライパンで焼くも良し。うわぁぁ、書いてるだけでお腹鳴りそう。

 ちなみに私は冷やして食べるのが好きです。何か冷やすと「スイーツ!」って感じがするじゃないですか。……共感していただける方いないかしら。笑

 新幹線の中ではさすがにアレンジできないのですが、いっそのこと2箱買えば話は別。新幹線ではプレーンを純粋に楽しみ、降りた後にアレンジバージョンを楽しむことも可能です。

 ようかん自体は若年層のウケがあまり良くないかもしれません。ですが、芋ようかんなら老若男女みんなが好きな、素朴な味だと思います。保存状態さえ気をつければ、お土産にも最適かと。


 私のこだわりは、この芋ようかんを食べるタイミングにあります。

 それは、絶景が見える時!!!

 特に車窓の富士山を眺めながら、黄金色の相棒を口に運ぶあの時間だけは、絶対に絶対に誰にも邪魔されたくありません。笑 晴れた日であれば、窓から差し込む太陽の光で、本当に芋ようかんがキラキラと輝いて見えるんですよ。食べるのがもったいないくらいに綺麗なのですが……うん、食べます。笑 私は花より団子の人なので。


 というわけで、舟和の芋ようかん、おすすめです。是非食べていただきたいなと思います(回し者ではありません笑)!


 余談ですが、私フィナンシェも好きなんです。フィナンシェって『金の延べ棒』って意味なんですよね。芋ようかんは黄金色、フィナンシェは金の延べ棒……。もしかして私、金欲の塊……?!


 いやいやまさか!…………ねぇ?笑

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