第6話 私をあだ名で呼ぶ先生達(その2)
さて、今回はバレエの先生の話に引き続き、「あだ名で呼ぶ先生」の2回目です。
今回は部活(ダンス部)の顧問。顧問と私は、ソリが合いませんでした。笑
顧問とは、ブラック校則のお話で、私のスカート丈を注意したあの先生です。あの時は結果的に他の先生から私を守ってくれた(?)感じになりましたが、彼女は何かにつけて私に目をつけていたと思います。
発端は、漢字検定でした。なぜ? って思いますよね。
漢検を受ける前までは、私は顧問の先生が苦手ではなかったんです。なぜなら、私の実力をちゃんと見てくれていると思っていたから。一応運動部にいたのですが、大会に出るメンバーを決めるための初めてのオーディション(冬大会用)で、私は補欠に入れたのです。メンバーの9割は先輩で、正規メンバーと補欠に入れた同期は私含めて3人だけ。結局出場機会はなかったのですが、嬉しかったです。
でも漢検が歯車を狂わせます。
漢検を学校で受検できる日時と、部活が重なったんです。元々「検定と部活が被ったら部活優先」とは言われてましたが(おかしいだろ)、別に大会前でも文化祭前でもなかったので、私は漢検を優先して部活を欠席しました。もちろん無断じゃないですよ。
でもその翌月に再び開かれたオーディション(夏大会用)で、私はなんと3つもランクを下げられたのです。3つも!!! 個人順位としては15個くらい下がったことになります。大会出場なんて絶望的な位置。そしてその後2年近く、各大会前にオーディションが開かれたのですが、どんなに顧問の指導通りに踊っても、上のチームに上がることができなかったのです。さすがに同期も「メーちゃん全然下手になってないのに、なんで1番下のチームなんだろう」と訝しみ、顧問に直撃してくれたことがありました。でも理由は「水無月が下手だから」の一点張り。マジかよ。私泣いて帰宅しましたね。
これって決まりを破った私が悪いんでしょうか? でも「部活を休んだ人間は大会出られない」なんて、どこにも書いてなかったんですよ。しかも2年近くも
この仕打ちってどういう神経(以下略)。
しかし、ここで事件が起こるのです。
中学3年の夏、最後の大会が迫っていました。オーディションは全員参加ですが、「どうせ落ちるよね」って思ってたんで、半分やさぐれて参加。でも久々に、私は候補者になったんです。ただ他のメンバーは一発でチーム入りしているのに、私含め4名は保留扱い。後日、そのうち2名を選抜するオーディションが開かれることになりました。
そしてなぜか笑、私はその2名に入りました。最後の大会にして初めてのメンバー入りです。一気に3ランクアップ。何がしたかったんでしょうね。笑 でも嬉しかったです。
大会見学者に配布されるパンフレットは前々から印刷されるので、そこには元々顧問が想定していたメンバーの名前が印字されています。パンフレットと実際のメンバーの名前が違うことも、普通にあります。きっと私ではなく、もう1人の候補生徒の名前を載せていたんだろうな。修正されないままなんだろうな。って思っていました。
そして大会当日、パンフレットを見ました。そこにあったのは……
何と私の名前。
おい! 最初から私出す気満々だったのにわざわざ最後まで残してオーディションしたの?! 部員何十名もの前で?! 焦らしプレイ?!
顧問なりの謝罪なのか何なのか……。ツンデレにも限度ってものがあると、その時私は確信したのです。笑
その後高校生になり、個人が選抜されて大会に出る機会はなくなりました。オーディションとはおさらばしたわけですが、一貫校なので顧問とはおさらばできませんでした。笑
そんなに気に食わないなら部活辞めたら? ってなりそうですが、ここで辞めたら顧問に負けた気がするじゃないですか。それに同期とは仲良かったので、引退まで続ける気でいました。
高校生になると、団体で大会出場したり、文化祭で発表する方がメインになります。そこでセンターやソロの踊り手を決めるのは自分達。衣装も手作りだから、顧問の干渉度合いは低くなったと思います。
今まで顧問は、みんなに対して名字の呼び捨てでした。
でもある時を境に変わります。
きっかけは、大会の常勝校の顧問が部員の呼び方を変えていたことでした。何でも、「今の子達は呼び捨てじゃ響かない。彼らのあだ名で呼んで距離を縮めた方が、指導もうまくいく」とか何とか。確かに、常勝校の先生と生徒は仲良さそうに見えました。
そして我らの顧問も動き出したわけです。
「みんなのあだ名を教えてちょうだい」と。
まだ顧問のことをよく知らない後輩達は、嬉々としてあだ名を伝えました。ですが先輩や私達はある程度顧問の人となりも知っているので(私のオーディション事件も知ってる笑)、気味悪がってましたね。しかし顧問は、生徒間の話を聞いて情報収集していたのか、突然私のことまであだ名で呼び始めるわけです。「メーちゃん」と。笑
でも変わったのは呼び方だけで、私に対してのどこかよそよそしさというか、「私あなた気に食わないのよね」的な雰囲気は滲み出ていました。そんなこと言われても。
しかし、こんな態度もある日を境に変わったのです。
「メーちゃん(仏頂面)」→「メーちゃん(上機嫌)」へと。笑
これは、数名いるうちの顧問が変わり、新顧問が私のクラスで倫理を教えることになったのが影響したようです。
今までバトってきた古参の顧問は私の学年を受け持ったことがなく、私の部活以外での様子を知りませんでした。しかし新顧問の登場により、私の学習態度を知ったのです。
新顧問の教え方や倫理自体が好きで、私は常にクラス1位の成績を取っていました(1年間、常に1位だったと新顧問はこっそり教えてくれました)。それがあの顧問の耳に入ったわけです。私の成績が良いと知った瞬間、手の平を返したように上機嫌になりました。笑
そして、最後の事件が起こります。
それは、学校案内のパンフレットが完成し、事務所前に置かれた日のことでした。
「メーちゃん、これ見て!」
部活の同期が顔色変えて教室に飛び込んできました。
彼女が開いたパンフのページを覗き込むと。
「マジか」
部活紹介のページに、文化祭の時センターで踊っていた私がどーーーーーんと載っていたのです。ページの半分埋めるくらい、どーーーーーんと。
私に掲載許可の話は来ていませんでした。多分、顧問です。写真選んだのは顧問に違いありません。オーディション事件のラストと酷似してますよね。
人を認めるのに、ずいぶん遠回りする人もいるんだな、と思いました。
何だかなぁと思いつつも、まぁ認めてくれたのかな、と思うことにしました。水に流したわけじゃないけどね。笑 悔しい時にはギャフンと言わせられる人間になりたいものです。
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