第3話 ブラック校則は冤罪を生む
ちょっと真面目な話しますね。最近、「ブラック校則を廃止しよう!」なんてニュース、よく見ますよね。
ツーブロック禁止とか、黒染めの強要とか、体育着の下に肌着NGとか。今日はそんな、理不尽な校則についてのお話です。
今でこそ自由や個性の尊重を掲げる学校は増えていますが、未だに校則が厳しかったり、禁止事項がたくさんあったりする学校も存在しています。受験で自分が納得できる学校を選べる人もいるけれど、そうでない人もいる。だからこそ、ブラック校則は話題になりやすいのではないでしょうか。
私は、この校則に結構悩まされた人間です。
私の場合は、この校則による“冤罪”が多かったのです。
例えば目。
目? って思うかもしれませんが、メイク禁止なら、目だって監視対象になります。
抜き打ち検査で先生に呼び止められ、「アイプチしてませんか?」と聞かれたことは何度かあります。当時メイクのことなど無知でしたから、逆に「アイプチって何ですか」状態だったんですけれど笑、疑いが晴れるまでの時間はすごくモヤモヤしていました。
そして髪。
髪は、髪色と髪質、髪型の規定がある学校多いですよね。
髪型は守っていましたが、髪色と髪質はどうしようもありません。
太陽に当たると人より数トーン明るく、癖っ毛の私はここでも苦労しました。
長期休暇明けの生活指導で、「髪染めてませんか?」「パーマかけてませんか?」と複数回聞かれました。先生間で申し送りしてくれたっていいのに。
元々色素が少し薄く、毛先がくるっとしてしまうので、“地毛証明書”書きましたよ。なんで自ら違反したわけじゃないのに疑われなきゃいけないの。
まぁ今でこそ、地毛でも「この色いいね! 美容院でなんてお願いしたの?」なんて聞かれて、「いや、地毛なの」と答えると「うっそ、そうなの?! いいなぁ!」なんて言われて少々舞い上がる私ですが、あの時はちょっと憤慨してました。
髪に関しては、就活でも悩まされますよね。
ある日行きつけの美容院に行ったら、美容師さんにこう言われました。
「やぎちゃん(仮名)、髪茶色いから、就活の時には黒染めした方がいいかもね」
「え、地毛でもダメですか?」
「うーん、ギリギリアウトかも。もし就活になったら、黒染めしてあげるよ」
「あ、ありがとうございます……」
就活でも黒染め?!
いや、今まで染めてきたなら分かりますよ。でも地毛なんだよ? 意味不明じゃない?
美容師さんの前では「お願いするかも」的な雰囲気出しましたが、私は地毛のままで挑むつもりです。ありのままでいいじゃない。これでダメなんて言うなら、こっちから願い下げよ。
そして、スカート丈。
スカートは膝下5cm! とかいう学校あるじゃないですか。私別に、ミニスカにしたかったわけじゃないんです。いや、ミニスカに興味はあったけど、陽キャでもないし先生の目前で違反行為犯すなんて、愚かなことはしないです。
でも夏季休暇明けのある朝、昇降口を通過しようとすると。
「ちょっと水無月さん(仮名)、待ちなさい」
そう呼び止めたのは、生活指導主任でした。この日は、抜き打ちの全校校則チェックの日だったのです。
私は(また目とか髪のこと?)とちょっとうんざりしながら、渋々立ち止まりました。
「水無月さん、スカート。短いわよ。折ってない? ちょっと見せて」
同性の教師なので躊躇いなく見せましたが、今回はスカート……。一度も折ってないのに。
でも、私にも心当たりはありました。
その夏、私は身長が15cm近く伸びたのです。そりゃまぁ、膝上5cmくらいスカートも短くなります。でも新しい背丈に見合ったスカートはまだ、新調できていなかったのです。
ただ、この生活指導主任は私の部活の顧問でもあり、私の性格を知っていました。校則違反をするような生徒ではないという、信頼を得ていたのです。
私が「今度新調します」と言うと解放されました。ブラックリストに名前は載りましたけどね。後日、新調して長くなったスカートを見せたと思います。
ここまで見てきましたが、本当に面倒ですね……。笑
大体ね、「ミニスカや派手な髪は犯罪被害を増加させる」なんて言うけれど、どんな学生にも犯罪被害のリスクはあります。加害者の性癖なんて千差万別。学校のお偉いさんの予想通りの人もいるし、清楚で地味な生徒を対象にする人もいる。自分で自分の身を守るしか、術はないのです。最後は自分なのです。
ちょっと話を変えましょうか。
最近、「スカートとスラックスの選択自由」っていう制服の学校が増えましたよね。性や機能の観点から、スラックスも選べるのは良いことかな、と思います。
でも私は1つ、モヤっとするんです。
真に自由にするならば、子どもの意思で選択できるようにしなければならないと。
私は、次の状況を危惧しています。
子どもが「スカートがいい」って言っても、親が「スラックスにしなさい」というケースです。逆も然り。
私の家庭は、非常に厳格な家庭です。
予備校に制服で行くことを、私は許されていませんでした。
なぜなら、「予備校講師が男性だから」。男が寄ってくる、ということです。
予備校と自宅、そして学校の距離はほど近く、一旦帰宅しても予備校には十分間に合う距離でした。なので、帰宅して、スキニーやワイドパンツに着替えてから行くように言われていたのです。めんどくさがりな私は、そのままスカートで予備校に行きたかったのに。
私の経験上、スキニーでも男は寄ってきます。スカートだけど言い寄られない時だってあります。
私の例は特殊な部分もあるかもしれませんが、このように、第三者の意思によって選択肢を消されてしまうことを非常に危惧しています。生徒が性の悩みを抱えていても、制服の選択によってそれが露呈し、「あの子はスラックス(スカート)なんだ」的な変な視線を浴びたくないと、そういう気持ちでせっかくの子どもの意思を曲げてしまう親がいるんじゃないかと思うのです。
校則は、生徒のためにあります。教員や保護者のために存在するものではありません。
昨今の制服自由化は、生徒の意思尊重を反映した結果であり、そこに教員や保護者、あるいは他の生徒の意思が介在する余地はないと思います。
様々なブラック校則が変化の時代を迎えていますが、生徒自身が納得できる選択をできるようであって欲しいと、老婆心ながら強く思うのです。
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