第49話 上野駅柱番号の謎

総裁「上野駅取材、行ってきました! 撮ってきた写真これです!」

忍 「どれどれ……。ええっ、何この写真! 総裁と静でベンチでお弁当食べてるとこ、二人でホームに倒れこんでるとこ、上野駅のモニュメントを顔ハメみたいにして二人で遊んでるとこ……」

恋海「何ふざけてるのよ……この期に及んで」

総裁「だって、私たち、年頃の女子高生だもん」

忍 「その前に鉄研部員なんだから! 時間ないのに!」

総裁「って、ちゃんと撮るものは撮ってきてあるわよ。冗談よ冗談」

忍 「もー!! 『みさいる』しようかと思っちゃった」

総裁「あれ痛いからヤメテ」

恋海「あら、案外ちゃんと撮ってきてるじゃない」

忍 「そう見えるんだけど……どうにもわかんないのよね。特にこのホームの柱に打ってある番号、これなんだろう」

総裁「通し番号かな」

恋海「でも番号がポーンと飛んでるところもけっこうあるわ」

静 「……その規則性を割り出せないかな」

ユリ「実は、Google地図で見てたんだけど、ストリートビューで上野駅のホーム、見られますよ」

香子「てことは家にいるままで上野駅のあちこちを見られるの!?」

ユリ「そう!」

香子「すごーい。世の中進んでるんですねー! 取材行かなくてもいいかも!」

忍 「うーん、でも柱番号の規則性がこれでもイマイチわかんないなあ」

恋海「謎ね。でもこれ解決しといた方がいい気がする。予感だけど」


**


恋海「柱番号の謎、チラシの裏で落書きしていじってたら解けたっぽい」

総裁「恋海さんなんか先生に叱られてると思ったら、それ授業中にやってたのか」

恋海「授業つまんないんだもの」

総裁「そうかも知んないけど」

忍 「わかるなあ……学校って勉強をよくもまあこんなつまんなく出来るなあと思っちゃう」

恋海「忍ちゃん、進路は?」

忍 「一応この高校に来ちゃったとは言え、進学目指すんで予備校の動画授業受けてる」

総裁「意外と抜かりないなあ」

恋海「そうかしら。忍ってそういうとこすごく確信犯的にやるわよね。そう見てた」

忍 「エビコー総裁みたいにもっと悪知恵働かせたいけど出来ない……」

総裁「しなくていいしなくていい」

忍 「でもエビコーさん、悪知恵働くからあんな成功してるんだと思う」

総裁「彼女、それでも彼女自身が成功してると思ってないのにね」

恋海「本当? キリが無いわねえ」

総裁「ごう、なんでしょうね。彼女の「乙女のたしなみ・テツ道」って。でも業の段階からみんなの夢になって、それで私も憧れて、彼女にそそのかされてこうしてこの高校の鉄研の総裁になった」

恋海「そうよね」

総裁「上野駅の完成は4月が〆切。そこまでがんばらないと」

忍 「ライバル、だもんね」

総裁「そんなの無理、と思ってたけど、みんなで力合わせてやるんだもの。もしかするとエビコーさんたちをだしぬくことができるんじゃないかと」

 総裁は笑う。

忍 「あれ? 髪留めが今日は」

総裁「気づいた? 今日は北海道新幹線カラーの紫と緑と白」

恋海「マメねー」

総裁「でもまだつけたことのない色がある」

忍 「どんな色?」

総裁「言わない。だって、すごく怖いから」

忍 「そっかー」

恋海「これからも、それをずっとつけなくていいように済めばいいわね」

総裁「うん!」

恋海「で、上野駅の柱番号の謎、解明のために作った図面がこれ」

香子「うわ、すっごーい」

恋海「思いのほか13番14番が長くて紙足しちゃった」

忍 「でもデジタルではできないもんね」

静 「……力作です!」

恋海「この14・15番ホームの尾久側に職員さん用の業務地下通路の入り口がある。そこの柱が143番、御徒町側に1列行くと140番、139番と番号がある、そしてもう一列行くと137番、136番」

ユリ「てことはこのホームの柱2本のペアは連番なんだ」

恋海「そういうこと。で、13番ホームはどうなってるかというと、業務用地下道のとこが141番」

忍 「寝台列車の入線と機関車撮るためにいくホーム端のプレハブの先か」

恋海「そう。柱の位置は14番ホームさっきの143番、13番ホームは141番。でも地下道のとこに見えにくいけど柱がある。番号読めないけど、それが142番だとしたら」

香子「きれいに並びますね!」

恋海「13番ホームの御徒町側へ次の柱は138番、134番となって続いている」

忍 「135番じゃ無くて?」

恋海「そう。134番。でも13番線と14番線のレールとレールの間に柱が立ってるの。それが構桁13-28の表示があって、見えにくいけどおそらく135番なの」

静 「……ということは14番ホームの次は133番、132番、レールとレールの間に131番、13番ホームに130番」

恋海「残念。13番ホームの次の柱は129番」

総裁「1つズレちゃった?」

忍 「あ、でも14番ホームの15番線と16番線の間にも柱がある!」

恋海「そう。それは133番。14番ホームに132・131番、レールのとこに130番、13番ホ-ムは129番」

ユリ「規則性ちゃんとあるね! 柱が御徒町側に増えていくけど、全部通し番号になってる!」

静 「……となると次は15番側に128番,14番ホームに127番126番、レールのとこに125番だから13番ホームは124番」

恋海「正解!!」

静 「……やった」

総裁「その番号があってるなら、ホーム上の階段とか自販機とかの位置が全部きれいに再現できそう!!」

忍 「さすが恋海」

恋海「こういう問い、好きだからついついがんばっちゃうの」

総裁「これで上野駅、完成に少し近づいた!」

忍 「でもまだまだ先は長い……」

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