対決!エビコー鉄研vs流山鉄研 ビッグサイト出展篇
第45話 対決篇、ようやく発動!
流山鉄研のみんなはいつものようにDiscordのチャットルームを見ながら、それぞれの家の自分の部屋で鉄道模型をやったり鉄道雑誌を読んだりしていた。
「コロナのせいでなかなか鉄研活動らしいことができないですね」
香子が嘆く。
「リモート大回り、楽しかったけどもっと鉄研らしいことがしたいなあ」
恋海も続く。
「そこでなんだけど」
流山総裁が口を開いた。
「どうやらJAM国際鉄道模型コンベンションが2022年は開催されるらしいの」
「え、それっていつも『鉄研でいず!』だと高校生鉄道模型コンベンションとかいう名前にしてぼかしてた夏のビッグサイトでの模型展示よね。2019年以降、コロナとオリンピックで2年おやすみになっちゃってたけど」
恋海がいう。
「そう。でも今回はJAMコンベンション。そして、ガチで『半実録小説』としてその参戦記をここでやるみたいなの」
「この過疎で塩環境のカクヨムで?」
「そう。しかも、これはエビコー鉄研との競作、全面対決になる」
「えええっ、でも私達、エビコーさんとおなじ依代の著者さん1人しか使えないんですよ。すっかりワケわかんなくなるような」
「そこはタイムシェアを使うことにしました。今は1月12日。JAM搬入便の出発予定まで200日ちょいある。そこで前100日と後ろ100日にターンをわけて、今日から100日後の4月22日までを私たちのターン、そこから100日後の7月31日までをエビコーさんのターンとして、著者さんを使って模型を競作するの」
「わたしたち、非実在女子高校生だもんね。キラッ☆」
忍がそういう。
「だめじゃん……話に無理がありすぎる」
「でもやるしかないわ。そもそもこの『鉄研でいずApplove』、何が対決なのかわからないって意見寄せられてるもの」
「あ、あのYouTubeですね」
みんな合点している。
「取り上げてもらえてよかったよねあれ」
「でもほんと、対決って言いながら何で対決するか、わかりにくいよね」
「だから今回! わたしたちは模型作りでエビコーさんとガチ対決します!」
「ガチ? なのにルールがわかりにくくてひどいっ」
「そうよねえ」
「まあ、そこはわたしたちの模型とエビコーさんたちの模型でJAM会場で人気投票して決着にしようかと」
「でもそれ決定じゃないよね」
「JAM会場でそんなことしていいの?」
「それはおいおい決まると思う!」
流山総裁はなぜか自慢気だ。
「だめだ……グダグダだ。ぜんぜんだめだ!」
「勝負になるのかなあ」
「でも! これでわたしたち、鉄道模型作りができる!」
「じっさいは依代の著者さん使って、だけどね」
「著者さんが激務で死んじゃうようー」
「まあ、著者さんにはわたしたち、すでにいろいろメーワク被ってるし」
「もー。だめだよー、ブラック鉄研は」
「エビコーさんじゃないんだから」
「ともあれ、100日間の模型作りがこれで始まる。みんな一層奮励努力でエビコーさんをあっといわせる鉄道模型を目指しましょう!」
「しかたないなー。もー」
「でもなんでわたしたちが先攻なの?」
「それはエビコーさんにアドバンテージで」
「ええっ、普通わたしたちにハンデとかもらえるんじゃないの?」
「なんでー!!」
「エビコーさんたちは先にできてた鉄研だから仕方ないのよ」
「でもなんでわたしたちが不利に!」
「たしかにそうだけど、でも新しくできた鉄研がそういう状況で前に出来てる鉄研より良いもの作ったら、カタルシスあると思わない?」
「いや、そういう問題でなくて!」
「そうですよ!」
「でももう決めちゃったんだもの。エビコー鉄研総裁と」
「そんな……」
でもそのとき、忍が口を開いた。
「でもこれイヤだと言っても、代わりになにもないんだし。少しでも鉄研らしくやれることっていったら、こんなことぐらいじゃない? そもそも模型作りだけでも楽しいんだし。まったくの模型初心者もいるんだから、その分考えるとエビコーさんたちにアドバンテージあるのも、そうかな、って思う」
「エビコーさんたち、みんな模型も鉄道も強いもんね」
「だからわたしたちがその分頑張って、最後に彼女たちをギャフンと言わせたら、楽しくない?」
「うーん」
「そうね……だらだらこうしてDiscordに集まってるだけよりはいいかも」
恋海がそういう。
「鉄道模型、拙者は触るのが初めてであります! 興味津々です!」
香子が鼻をふくらませる。
「うまくいくかなー。私もあんま模型知らないからなー」
ユリは不安げだ。
「……でもやる以上はしっかりしたのつくりたい」
静はそう語気を強める。
「でしょ。まあいろいろ無理はあるけど、それいったらどうにもなんないのがこの『鉄研でいず!』だと思うし」
忍がそうまとめる。
「そうそう。というわけで、100日間の鉄道模型づくりの冒険、始めたいと思います
!」
流山総裁が宣言する。
「いいのかなあ……こんなグダグダで」
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