第6話 男なんてやっぱり嫌い

私、浅葉玲あさばれいは同居生活をすることになった上梨有馬かみなしありまを追い出し、悠々と一人の時間を過ごしていた。


「・・・・ふぅ、案外すんなりと追い出せたわね。もう少し手こずると思っていたわ。」


キッチンに行き、紅茶を入れ、ソファーに腰を掛けた。


「・・・やっぱり男と暮らすなんてあり得ないわ。・・・お母さん、なんで男なんかと一緒に暮らせなんて言ったんだろう。」


さっきはアイツに気にならないとか言ったけれどやっぱり私の中でも思うところはあった。


「・・・まぁ、アイツも帰ったし時間の問題だと思うけど・・・あとはお母さんからの連絡を待つだけね。」


一時間・・・二時間・・・てどらせど一向いっこうに私のスマホは鳴る気配がしなかった。


「おかしいわね。もうお母さんから連絡が来てもいいと思うけど・・・」


「っ・・!!まさか、アイツ!!」


私は一つの答えを思い付いた。それはアイツがまだ自分の親に話していない可能性だった。


「あれだけおどしたのにまだ話してないのかしら!?それともはったりだって思われたのかしら。」


そう思うと居ても立ってもいられず、私は夜遅いのにも関わらずアパートを飛び出していた。


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「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


息を切らしながら上梨家かみなしけへと向かっていた。上梨家までは自転車では近い距離だがやはり走るとそれなりの距離があるところにあった。周りはとても暗く人っ子一人いない。


「・・・ふぅ」


少し疲れを感じてきたので、徒歩で移動することにし、路地を曲がると人とぶつかってしまいしりもちをついてしまった。


「・・・きゃあっ!」


「っ・・・!?イッテ―な!・・・いきなり飛び出してくんなよ!!」


不運にもぶつかってしまったのはいかにもガラの悪そうな男だった。


「す、すみません!?・・・だ、大丈夫ですか?」


「・・・あ?」


男と目が合ったと思ったら男はすぐに目をそらし、女だと分かった瞬間に私の体を舐めまわすように見てきた。


「あーー、ダイジョブダイジョブ!」


男は口角を”にっ”と釣り上げると陽気に話しかけてきた。


「それよりさー、君こんな時間に一人なの?」


「え、えぇ。これから家に帰るところなの。」


「へぇー、そうなんだー。・・・ねぇ、少しでいいからさ俺と遊ばない?」


「い、いえ。用事があるので。それでは。」


私は男をスルーし、男の脇を通ろうとした。しかし、男は私の前に立ちふさがり私をこれ以上行かせないように道をふさいできた。


「ねぇ、少しでいいんだって。それにさ、ぶつかったのも何かの縁だってー!遊ぼうぜ~!」


「失礼します。」


私は男の言葉に一切耳を向けず前が通れないならばときびすを返し、遠回りしていこうとした。


「チッ!!」


・・・しかし、男は私の手首を掴み強引に壁に押し付けてきた。


「痛っ!!なにするのよ!離して!!」


「俺が誘ってるんだから少しは付き合えよ!!」


「嫌よ!・・・あんたみたいな男といると反吐へどが出るわ。」


「っ!調子に乗るなよ!?女風情おんなふぜいが!!」


男はしびれを切らし、私の服をたくし上げた。


「!?」


「ひゅぅ~~、服越ふくごしからも分かってたがいい体してんな、おまえ」


「な、なにするのよ!?」


私は逃れようともがいたが男の力は思った以上に強く逃れられそうになかった。


「だれkっ!?」


「おっと、叫ぶなよ、楽しもうぜ?」


男は私が叫べないように口を塞いできた。


(怖い、逃げたい、どうしたら、た、助けてお母さんっ!!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい」


なかばあきらめかけ、叶いもしない願いをしていると違うとこから男の低い声が聞こえた。


「あん?」


「・・・!?」


・・・・そちらに目を向けるとそこにいたのは、1,2時間前に追い出したはずの上梨有馬かみなしありまが男を睨み付けながら立っていた。











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