第2話 同居生活開始!?

あれから一週間たち、俺、上梨有馬かみなしありま浅葉玲あさばれい先輩はアパートの前まで来ていた。そう、このアパートこそが俺と先輩が同居生活をするために借りた部屋がある。


アパート自体はとても大きく、セキュリティもしっかりとしていた。


部屋の前まで到着すると、先輩は鍵を取り出しドアを開いた。


最初はあまり乗り気ではなかったが部屋を見てみるとどうにか同居生活できるのではないのかと思った。


なぜなら、想像通りにリビングにキッチンと部屋はそれなりに大きく、さらにほかにも二つの部屋もあり自分たちのプライベートルームとして使えそうな部屋があったためだ。


(おおーー、すごいいい部屋だな~)


柄にもなく部屋を見て俺は興奮していた。・・・すると先輩はそんな俺を見てクスッと笑った。


「ど、どうしたんですか?先輩?」


「いや、有馬くんそんなにこの部屋気に入ったのかな~って」


「ま、まあ、そうですね。部屋自体も大きくてプライベートルームもできそうですし」


「プライベートルーム??部屋って二人とも同じ部屋じゃないの?」


「・・・えっ!!だ、ダメですよ!?先輩!?年頃の男女が同じ部屋なんて!?」


先輩の口からとんでもないことが飛び出てとても戸惑ってしまった。


すると先輩は腹を抱えて笑った。


「あははははっ!!、冗談だよ、有馬くん。そうだよね、年頃の男女が同じ部屋はダメだよね!」


(か、からかわれた!!前言撤回ぜんげんてっかい!!どうにかならない!!)


「ごめんね、そんな怒らないでよ。有馬くん!」


そんな先輩に呆れつつも少し緊張していたのかほぐれた気がした。


「はーー、冗談言ってないで荷物、片づけましょう。」


「もーー、つれないな~、・・・あっ!待ってよ、有馬くん!」


それからは黙々と荷物を片付けていった。家具類はもう運んであったのと途中から俺の母も来てくれたのでそんなに時間はかからなかった。


(ホントにここで暮らすんだなー)


少しずつ実感が湧き、そんなことを思っていると、母が俺と先輩のもとに紅茶を持ってきてくれた。


「ふ~~、ちょっとだけ疲れたね~」


「ちょっとどころじゃないですよ、先輩。俺はかなり疲れました。」


「えー、体力なさすぎだよ~、有馬くん。もっと運動しなくちゃ!!」


「そうよ、有馬。あなた中学以来体育以外で運動してないでしょ?部活も入ってないし。」


(ここまで言われるとぐうの音も出ない。)


「何なら、休日とかにテニスしに行く?市民体育館とかで!」


「ありがたい誘いですけど、先輩はテニスの試合だってあるんですよね?俺、先輩の邪魔はしたくないので、自分のことに集中してください。」


「そんな、邪魔ではないと思うけどな~、それに私も息抜きになるし!」


「大丈夫ですよ。俺は俺なりに運動してますんで。」


「・・・もしかして、逃げようとしてる?」


ギクッ!?図星を突かれ咄嗟に肩が少しだけ跳ねてしまった。先輩はそれを見逃してはくれなかった。


「あ!やっぱり!!も~、運動はしっかりとやらないと!・・・逃げようとした罰として休日は私とテニスをすること!」


先輩は俺に有無を言わさなかった。そんな俺たちを見て母さんはクスクスと笑っていた。


それからはそんなたわいもない話をし、18時を過ぎたところで母さんを見送り、二人だけの空間が出来上がっていた。しかし、母さんを見送ったあとの空気は今までとは違う気がした。


「ふ~~~。」


先輩は疲れたのかソファーに腰を下ろして一息ついていた。


(さすがに先輩でも少し疲れたのかな。)


「ねぇ、ちょっと話があるんだけどいいかな?有馬くん。」


「あ、はい。大丈夫ですよ。」


俺は先輩にソファーに座るように促されたのでソファーに腰を下ろした。


「なんですか?改まって。」


「あのね、お願いがあるんだけど・・・・・これからは私とはかかわらないでほしいの。」


少しの沈黙から出てきた言葉は先輩が発することのないまでに暗い声をしていた。


「・・・え?どうしたんですか?先輩?・・・それにかかわるなって言われても一緒に生活する上では無理だと思いますけど」


「・・・はぁーー、遠回しに言っても無駄なようだね。それとも理解力が乏しいのかな?・・・結論から言うと出て行ってほしいの。」










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