付き合うことが面倒だと思っている俺と男嫌いの先輩の同居生活

夜月 秋朝

第1話 俺と先輩

俺、上梨有馬かみなしありまは付き合うことが面倒だと思っている普通の男子高校生だ。


なぜ付き合うことが面倒なのか、それはいろんな理由が挙げられる。俺は、一度だけ異性と付き合ったことがある。その時に感じたものは幸せよりも自分の時間が減ることや異性といると気を張ってしまう、などと感じることが多かった。


そんな俺がまさか学校の先輩と同居生活を送ることになるとは・・・・・


______________________________________


・・・事の発端はいきなりだった。


「ただいまー。・・・あれ?母さん??」


俺が学校から帰ると妙に家の中が静かだった。いつもは帰ると玄関まで出てきてくれるのに今日は何回もただいまといっても出てきてくれる気配がない。


(・・・??、母さん居ないのかな?)


そんなことを思いながらリビングに向かうと電気がついていた。


(なんだ、いるんじゃん、母さん。どうしたんだろう?)


「ただいまー、母さんどうしtっ!!!」


リビングに入るとテーブルに母さんと対面して座っている少女がいた。お客さんがいて驚いたが、この少女は俺と同じ学校の先輩の浅葉玲あさばれいだったことにさらに驚いた。


浅葉先輩は学校では知らない人はいないといわれるほど認知度が高く、加えて男子からも女子からも人気が高い生徒だった。


なぜなら彼女は明るい性格と男女分け隔てなく接する性格、ソフトテニスで全国に出場するくらいスポーツ万能であり、さらには黒髪ボブで整った容姿にスポーツ万能なのでスタイル抜群であることから学校では有名であり、人気も高いのだ。


まさに高嶺の花と呼ぶにふさわしい少女だ。なので男子から告白されることも多い。しかし、彼女は男子からの告白をことごとく断っている。


なので裏では、≪高嶺以上の高嶺の花≫や≪絶対に崩せない城≫なんて呼ばれることもしばしば・・・


「あら。おかえり、有馬。こちら、これから有馬と一緒にをしてもらうれいちゃんよ。」


「・・・・へ?」


帰ってからいきなり言われたことが衝撃過ぎて理解できなかった。


(・・・母さん、今、な、なんて言った?浅葉先輩とい、一緒に暮らせとか言わなかったか??)


「か、母さん。もう一度言ってもらっていい?」


俺はおずおずと訪ねてみる。すると・・・・・


「だから。これから有馬とすることになるれいちゃんよ。」


「よろしくね!有馬くん!」


「あ、こちらこそよろしくお願いします。浅葉先輩・・・・って!!待って!待って!先輩!!なんでそんなにすんなり受け入れられてるんですか!?」


「なんでってそれは前々から知ってたからだよ。」


「そうなんですか!?ちなみに、いつくらいから知ってたんですか?」


「んーと、大体、一か月くらい前からかな?」


「そ、そんな前から!?で、でも、いいんですか!?こんな俺と一緒に暮らすなんて!?」


「有馬くん、”こんな俺”じゃないよ。そんなこと言っちゃダメだよ。人にはそれぞれいいところがあるんだから。」


「あ、すみません。・・・じゃなくて!?先輩はいいんですか!?」


どうも先輩との会話は先輩のペースに乗せられている気がしてならない。


「んーー、私は別に大丈夫かな。」


(えーーー!?マジですか!?)


「有馬くんは嫌かな?」


先輩は俺の少しの沈黙を否定的にとらえたらしい。先輩はそんな俺に上目遣いで聞いてきた。


「い、いえ全然い、いいですよ」


普通なら高嶺の花の先輩と一緒に暮らせる!!ヤッホーーーイ!!と、こうなった経緯もどうでもよく喜んでしまうだろう。


しかし、俺の内心はいたって別のことを考えていた・・・。


(先輩との共同生活・・・付き合うことより面倒なんじゃないか?)


俺は元々異性と付き合うことが面倒だと思っているタイプの人間なので共同生活はうれしさよりも断然面倒くさいという思いが勝ってしまう。


しかし、男のさがなのか上目遣いで聞かれたら断れなかった。


(ど、どうしよう・・・これから・・・)














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