第5話 最初で最後のわがままよ
――俺たちは依頼通り姫を奪取することに成功した。
途中で怪しい集団にもあったが、これで依頼完了だ。
……
GM:ムーンライトマイル号は峡谷を飛翔していきます。両脇が岩壁というのもあって、体感速度はいつも以上ですね。
ツヴァイ:我らの飛空艇は早いんですね。
ルシェド:そりゃ早いでしょ、盗みやってる船だからね。
GM/ルード:「見慣れない船がいたようだけどよ」
ラグ:「リーダーが撃たれかけたわ。完全に敵ね、あれは」
GM/ルード:謎の飛行船は早々に追跡をあきらめたようです。「そうだったのか……ま、仮にやりあっても負けないけどな! 修理代には勝てねーけど」
ツヴァイ:海賊船とかも中型とか小型が多かったっていいますもんね。
ラグ:「ビジネスは足回りが勝負よ、戦争をしにきたわけじゃないもの」
ルシェド:「やー早いっすね~」
ツヴァイ:「これが我らの船、ムーンライトマイル号だ!」と胸を張ります。
GM:さて、お姫様は悠々と飛ぶ船の中を駆けまわっています。「すごい、夢みたい」と楽しそうです。そして、はた、と足を止めて……。
ラグ:うんうん。
GM:自分が持っていたリュックを降ろしまして……。
ツヴァイ:ほうほう。
GM:「よいっしょ」と中からルーンフォークを取り出しました。
ツヴァイ&ラグ:ん?
ルシェド:ここでルーンフォークを!?
GM:ルーンフォークを取り出しました。「作戦成功よ! テンデ!」と姫様が声をかけると小柄な道化姿のルーンフォークが、これまた小さな片手持ちのラッパをプカプカ吹いて答えます。
一同:ぽかーん
GM/テンデ:テンデと呼ばれた道化……ピエロのルーンフォークは「姫様、まずはご挨拶をなされませんと」と、姫をたしなめます。言葉の合間にラッパの音を挟みながら。
ツヴァイ:ここは先に名乗るのが礼儀だな「ようこそ、ムーンライトマイル号へ、ようこそ、我が領土へ。私はキング、この義賊団のリーダーだ」
GM/ミエル:「スフバール聖鉄鎖王国第二王女、ミエル・アルケエーヴァよ。ファンタスティックなご招待ありがとう、義賊団の皆様」と、お姫様は、ラッパの音に合わせて上品なお辞儀を披露します。
ルシェド:本物のお姫様だー。
GM/ミエル:しかし、格式ばった自己紹介もそこそこに、ミエル姫は再びはしゃぎはじめます。「私はついにシヴァールの船へやってこれたわ! 自由を手に入れたの!」小さな子供みたいに。
ツヴァイ:まあ、小さな子供なんですけどね実際……じゃ、そこに近寄って「囚われの姫様、ご機嫌はいかがですかな?」と。
GM/ミエル:「最高よ! 貴方がペガサスの騎手ね! とても、カッコよかったわ……」と、キラキラした目でツヴァイを見あげます。
ツヴァイ:「ふっ、知っている」
一同:(笑)
ツヴァイ:「私はこの船の王、王は身だしなみも王でなければならぬ」
GM/ミエル:「……王様なの? シヴァールは王子なのよね、ちょっとだけ残念だわ」
ツヴァイ:「俺に何かあればそこの王子が跡を継ぐことだろう。では、王子シヴァ―ルくん。丁重に船の案内をしてあげなさい」と振ってみる。
ラグ:あ、見せ場を作って満足したから投げる気だ。
GM/ミエル:ミエル姫はルシェドに駆け寄るよ「ああ、シヴァール! 私の王子!」
ルシェド:「お、あ、おお? シヴァール!?」返事がおぼつかない(笑)
GM/ミエル:「シヴァール、シヴァールの青い瞳、銀の髪……」と言いつつルシェドの髪を触りますが、「銀の髪じゃないわ」と露骨に残念がりますね。
ツヴァイ:「物語の描写のままだと何かと目立ってしまうので」って言ってごまかそう。
GM/ミエル:では、彼女は元気を取り戻し「ミステリアス! 私だけに会うために、他の誰にもわからない姿をしているのね! ああ、シヴァール。謎多き貴公子、私の運命の人」って言いながら。さっき以上に昂ぶっています。
ラグ:もはや”荒ぶってる”でしょ、これ。
――軽いジョークでルシェドを王子ということにしてみたが、彼女の本気は度を越している。そんなに、誰かに「王子」の幻影を重ねたいのだろうか?
でもシヴァ―ルを好きな女性たちは、そういう物語を男に求めてるのかもしれない。色々な意味で重い話だ。byツヴァイ
GM/ミエル:「そうそう。私の誘拐に成功したところで、早速行って欲しいところがあるの」彼女は真剣な眼差しになって言います。「これから、剣の町の大劇場に向かってくれないかしら?」
ルシェド:大劇場?
ラグ:大きい看板のある建物よね、私が調査で訪ねた場所。
GM/ミエル:「その通りよ! なぜなら……」
ツヴァイ:「なぜなら?」聞き返すよ、理由はわかってるけど(笑)。
GM/ミエル:「シヴァ―ルの最終演目があるのよ!」
ルシェド:ですよねー。
GM:フンスフンスと息を荒げるミエルの横で、テンデ君のラッパが「プピィ……」と申し訳無さそうな音色を奏でています。
ルシェド:「演劇なんて……。今、この国やばいですよ、誘拐したのは俺たちだけど」
GM/ミエル:「公演はあるわ。誰もが期待して、誰もが予約してる。私もね! あ、皆の分もあるわよ」って言って五枚のチケットを出します。
ツヴァイ:おっ、VIP席かな。
ルシェド:なに呑気してんですか。きっともう国中血眼ですよ。
ラグ:誘拐犯がお姫様を連れ歩いて観劇、図太いってレベルじゃない(笑)。
GM/ミエル:では三人の反応を見たミエル姫は、少しすねた様子になってこう言います「平気よ、誰も私の顔なんて知らないから」
ツヴァイ:国としてはミエル姫を隠してるんだったな。
GM:……実際のところ、彼女の素顔は本当に知られていません。適切に変装なり扮装をすれば、簡単にはバレないものとします。
ラグ:「でも劇、やるの? このままじゃ成人式だって取りやめじゃない?」
GM:それに関してはミエル姫は”問題ない”の一点張りです。「心配いらないわ。町はいつも通り、成人式だってやるに決まってるわ」と自信満々に言い放ちますよ。
ツヴァイ:ふーん、我らの預かり知らぬ事情がありそうだな。
ルシェド:じゃあリーダーの意見を聞こう「キング、どうしますこれ?」
ツヴァイ:「俺もちょうどシヴァールってのを見たいと思ってたんだよ」と返す。
ルシェド:「え、行くんすか!?」
ツヴァイ:色々気になることはあるけどね、敵対的な飛行船のこととかね。でも誘拐、遊覧飛行、ハイ終わり! じゃあちょっと無粋でしょ(笑)。
GM:そんなんじゃありませんよ! どんなシナリオよ(笑)。
ツヴァイ:というわけで、ミエル姫のわがままにもう少し付き合ってあげます。「OK、月への旅路は長いものだ。舞台を楽しむ時間は十分にある」……あ、でも一言ミエル姫に声をかけていい?義賊団のリーダーとして。
GM:どうぞどうぞ。
ツヴァイ:「姫君。自由を謳歌する前に言いたいことがある」
GM/ミエル:「なあに?」
ツヴァイ:「ムーンライトマイルは我が領土、ここでは我が国の法に従っていただく。我々は自由を謳うが、同時に自身の選択に責任を課している、”国家”を名乗っているのもそれゆえだ」
GM:ミエル姫は神妙な面持ちで聞いていますが、どこか楽しそうです。
ツヴァイ:「貴女も自分の行動に責任を持つことだ。……ようこそミエル姫、第三帝国ジャッジメントキングダムは正式に貴女を歓迎する」
GM/ミエル:「改めてご招待ありがとう!」と言ってから、テンデのラッパに合わせて上品にお辞儀します。
ツヴァイ:「では、あとは王子よろしく!」
ルシェド:「え」
GM/ミエル:「王子、よろしくね!」と笑顔を浮かべてルシェドの手をとります。
ルシェド:「ええ? あ? よろしく??」戸惑いながら手を受けます。
GM/ミエル:「なんてロマンチック! 最高だわ! シヴァール!」とか言いながら鼻血を吹きだしてますね。
ツヴァイ:ロマンがハナから出てますよ。
ルシェド:ロマンチックが止められてないですよ。
ラグ:これが国民に見せられない理由?
ツヴァイ:んなわけなかろう。
GM:そのままルシェドの手を取りながらくるくるくる~って回ってます。
ルシェド:「おお回る回る」
ツヴァイ:我が領土が(鼻)血に染まっていく……。
ラグ:しれっと外に出ますね。面倒くさくなりそうだから。
――私たちは姫を攫うことに成功した……無論、狂言誘拐で姫の協力があったからこそだけど。この後はみんなで劇を見て、今回の仕事は終わり、スマートよね。
でも、少しスマートすぎる。シャワーは波乱の予感を洗い流してくれない。byラグ
GM:ほどなくして、伝令管からルード君の声が流れます。「隠れ場所の森に着陸するぜ、少し揺れるから気をつけてくれよな」
ツヴァイ:「だそうだプリンス君。しっかりとお姫様を支えて差し上げたまえよ」
ルシェド:キングに「マジで俺が王子で行くんすか?」て聞き返します。
ツヴァイ:「姫がごっこ遊びに飽きるまでの辛抱さ」と返すよ。
GM/ミエル:「じゃあ……王子! まずはこの国を案内して頂戴!」と。姫の仰せですよ?
ルシェド:「お、おう」船内を案内します。すごいたどたどしい足つきで。
管制室や動力室、休憩室などの設備を案内しながら、二人の会話シーンが続いた。ミエル姫の好きな場所を一つ決めようということになり、ルシェドが良く作業してる飼育室が彼女の一番のお気に入りになった。
――もっとたくさん飼いましょう! byミエル
――船を牧場にしないでくれ! byルシェド
GM:そうだ、ミエル姫はみなさんをどう呼んだらいいですか?具体的にはコードネームか、普段使っている名前か。
ルシェド:「そうそう、俺はビショップってんだ。よろしくなミエル姫」……あっ、先走って名乗っちゃった。
ツヴァイ:ハハハ、じゃあ自動的にコードネーム呼びに決定だな。
ルシェド:ぎ、義賊ですから!
ラグ:私にも共有してね、名乗っちゃう前にね(笑)
ルシェド:くそぉプレミった!
ラグ:ここらでシーンに復帰しちゃおう。髪を乾かしながらラグが帰ってきます、シャワーを浴びてました。「そろそろ落ち着いた?」
GM/テンデ:「いかにも、ご機嫌ようございます」と入り口あたりに居たので、ラグさんに挨拶します。
ラグ:「これはお姫さまごきげんよう」
GM/テンデ:「私はお姫様ではありません! プップー!」
ラグ:「ふざけてみせただけよ。テンデと言ったかしら、あなたも大変そうね」
GM:遅ればせながら、テンデは自分が城に使える道化師であるということと、姫の世話係であることをみなさんに説明します。
ツヴァイ:「代筆をしたのは君だな?」って知っていたかのように言います。今、ピンときたんだけど。
GM/ピエロ:「その通りでございます! 流石! ププププーッ!」
ルシェド:あー、ラグ姉さんが気にしてた筆跡の件はそういうことだったんですね。
ラグ:どの文面をどっちが書いたの?
GM:依頼文はテンデ君。で、他の記述はミエル姫。
ツヴァイ:ロマンチックな方は本人、そりゃそうだな。
ラグ:じゃあ改めて。私のことはナイトと呼んでもらうように告げるわね。
ツヴァイ:うむ、キングである。
GM/ミエル:「キング、ナイト、ビショップ……ああっ、ファンタスティック! 世を忍ぶ仮の名前なのね!」かみ締めるように、みなさんの名前を繰り返し呼びます。ちょっぴり羨ましいみたいですね。
ツヴァイ:フフフ。
GM:さて、少しリラックスできる場所に移動しましょうか。船内の食堂兼バーです。戦闘の疲れをいやすため、軽い食事と飲み物をみんなで囲んでいます。
一同:とりあえず乾杯~!
GM:ここでミエル姫からみなさんに情報を提供します。
GMがマップに航路を書き加え、その終端に拠点を表す印を付ける。
これが東の崖まで誰にも見つからずに航行できるルートと、飛行船の隠し場所であることをプレイヤーに公開した。
ルシェド:「キング、これ」
ツヴァイ:「お前も気づいたか。使えるな、姫だけが知っている道……」
GM/ミエル「もちろんよ。だってこれ、いざという時に王族が脱出するため使う道ですもの」
ルシェド:うわっ国家機密がポンって出て来たよ。怖いお姫さんだなあ。
GM:(笑)国家機密は100以上あるから気にしないで。
ルシェド:七不思議なんて目じゃないな。
ラグ:お茶を置いて「報酬の話も聞かせてもらっていい?」あと、姫様について少し気になったことがあるので思案顔をしてます。
GM:姫は頷いて、胸元から細い鎖を引き出します。鎖の下端には鞘に入った小さな剣がついていて、柄には王家の紋章が刻印してあります。
一同:?
GM/ミエル:「宝物庫から出してきたの、この刻印があれば王国内はフリーパスよ」
ラグ:あ、いいね、荒事を避けられるのは好き。
GM/ミエル:「名前は迷宮剣っていうんだって、迷宮を作り出すことができるのよ! すごいでしょ!! ね!」
ツヴァイ:剣の迷宮の魔剣じゃないか!!
ルシェド:驚いて、むせます。
GM/ミエル:「使ったことはないけどね。価値のあるものには違いないから、これをあげるわ」で魔剣を指先でクルクル回してます。
ラグ:「……」険しい顔してます。
GM/ミエル:「そして、もちろん劇場には連れて行ってもらうわ! あなたたちなら簡単でしょう?」
ルシェド:依頼はまだ続く、か。
ラグ:そういうことね。
予想外の報酬にPCたちはざわめき、GMはほくそ笑む。そんな中、ロールプレイ魂に火がついたプレイヤーが動きを見せる。何かを考えていたラグのPLである。
ラグ:ちょっと、GMいいですか?
GM:はいはい。
ラグ:陰でこそこそっとですね、テンデに声を掛けたい。
GM/テンデ:おっけ。「なんでしょうか、ナイト様?」
ラグ:「公王陛下は狂言誘拐について、どこまで知ってるの?」
GM/テンデ:「リジヤ陛下ですか? 実は陛下は何も知らないのでございます」
ラグ:「普通に考えれば、私たち重罪人として扱われるわけだけど、そこは考えてくれてるの?」っていう話をしますね。多分何も考えてないリーダーに代わって。
GM/テンデ:「大丈夫でございます! プップー! 姫の願いを叶えていただければ、絶対に悪いようにはいたしません。襲撃からお助けいただいたことは真実ですし、そのことはミエル様から陛下にご説明いたします」
ルシェド:確かに我々、命の恩人でもある。
GM/テンデ:「いやあ、あれは……本当に驚きました!」って言います。ピエロらしい笑顔のままですが、真剣な感じで。
ルシェド:やっぱあの船、見間違いじゃなかったんだなー。うん、ナイス俺!
ラグ:OK、ゲーム上の名誉的な心配は解決したわ。でもラグの気がかりは別なところにあるんですよね。ということで……「ところでミエル姫?」
GM/ミエル:「ナイトだったわね、何かしら?」
ラグ:「事件解決のあと、あなたのお姉さんは、この件をどうお考えになる?」と公王陛下の心情を察してみます。
GM/ミエル:「お姉様は優秀な為政者ですもの、平気よ」
ラグ:「それは国に対しての態度でしょう。あなたはどうなの? お姉さんに怒られるんじゃないの?」
GM/ミエル:「お姉様は私には怒れないわ」
ラグ:「ふうん?」と不思議そうな顔をしますね。
GM/ミエル:「わたしは隣国の血をひいてるの、異母姉妹なのよ私とお姉さまはね。で、今、移民問題があってね……それは知ってるでしょ?」
ラグ:暗殺の件ね。知ってると返します。
GM/ミエル:「隣国と我がスフバールの同盟関係は良くないのよ。だから、隣国との関係を悪化させたくないお姉さまは私には強く怒れない、怒れるわけがないわ」と、ティーカップの底をスプーンで小突きながら面倒くさそうに話します。
ラグ:では飲み物を置いて、荒々しく立ち上がりますね。
ツヴァイ:ラグの機嫌を察して、飛び火を避けるために黙っておきます。
ルシェド:賛成。
ラグ:「本気で言ってるの?」
GM/ミエル:「う、うん」
ラグ:「相手の立場の難しさにつけこんでるわね。考えを改めたほうが良いわ」
GM/ミエル:「あのね。お姉様はお外で沢山動けるけど、私は隠れ家から動けないのよ。私は自由が欲しいの、難しい立場なら、私だってそう……」
ラグ:「話をすり替えないで。貴女の考え方そのものが卑劣だと言っているのよ」と、頭を振りながら伝えます。
GM:ミエル姫は何も言えない様子です。
ラグ:「キング、言葉を借りるわね。これは責任の話よ、本当に自由を得たいなら、自分の味方になってくれる人を利用するのではなくて、大切にしなさい」……そのまま姫から離れますね。「この船に乗っていたいなら、良く考えた方がいいわ」
GM:ミエル姫は肩を落としています。怖かったのでGMもシュンとしてます。
ラグ:食堂を出掛けに、キングとビショップの方を見て「あとはよろしく」って顔をしておきます。
ツヴァイ:キングはそういう話苦手なのでペガサスに乗ってキングステップを踏んでますね(笑)。
GM:キング、ホント自由ですね。
――思わず声を荒げてしまった。ミエル姫と公王陛下が王族という難しい立場なのはわかるけども。だけど、家族でしょう? 私がただの冒険者だったなら「ああそうですか」で済ませたかもしれない。だけど、義賊の看板を掲げ、ナイトを名乗る以上は、私は道理という名の剣を振るうことを選ぶ。……私、もしかして、おせっかい? byラグ
――怒ったラグはやっぱり怖い byツヴァイ
ルシェド:ラグ姉さんが去った後、見かねて姫の方に向かいます。「自由っていうのは、好き勝手を許すって意味じゃないぞ」
GM/ミエル:「……あなたたちずっと自由に暮らしてきたんでしょう? それはわがままと、どう違うっていうの?」すっかり彼女はしょげています。
ルシェド:「意外とそうでもなかったりするんだぞ」ここ、シーンもらっていいのかな?
ツヴァイ&ラグ:どうぞどうぞ。
ルシェド:あざっす!「自由……自由ってのは、”何が”自由なのかってのを、俺もまだ探してるんだ」
GM/ミエル:「自由だから、こうして義賊をやってるんじゃないの?」って返そうかな。ルシェド君の自由観を聞いてみたい。
ルシェド:「ある人に憧れて義賊を始めたんだ。その人に、自らの決断に理由を求めることを忘れるなって言われた。それが本当の自由だって」
GM/ミエル:「……難しいこと言ってるけど、分かってるの?」
ルシェド:「俺も正直、まだわかんねぇ」
GM/ミエル:「ビショップは義賊だけど、旅人さんなのね」ミエルは首をかしげ悩んでいます。「なんだか、大変そう」
ルシェド:……やべぇ、どう返そう。
ツヴァイ:がんばれ、としか言えない(笑)。
GM/ミエル:じゃあ、こちらから問うね。「私のやっていることは悪い事になるのかしら。夢中になって、大変なことをしたんじゃ……!」
ルシェド:「良いこととは思わない、けど、必ずしも悪い事だとも思えない……自由って難しいな」
一同:(沈黙)
ルシェド:「外にいくか!この森だって、来たことないんだろ?」
ツヴァイ:おっ、連れ出したぞ。
ルシェド:おっ、じゃないですよ! なんかやってくださいよ!
GM/ミエル:では、喜んでついていきますね。「こうやって自由になって我儘にふるまうのは初めてなの。これはきっと私の……最初で最後の我儘よ」
ルシェド:「聞かせてくれよ。お城での事とか色々」
再度、PCとNPC、一対一の交流シーンだが、今回はミエル姫のほうが場面をリードした。話題の焦点は、先ほどラグに指摘されたリジヤ公王との関係だ。
異母姉妹であることから話題は髪の色の違いとミエル姫のつけている髪飾りに移った。シヴァールのシンボルでもある月をあしらった髪飾りは、ルシェドに強い印象を残し、一方でミエル姫の心を少し解きほぐすことに成功した。
GM:そういえば他の二人はどうしてます?
ツヴァイ:「ビショップも成長してるようだな」と見守っています、二人を。船の舳先(へさき)に立って腕組みしながら。
ラグ:どっから見てんねん。
ツヴァイ:「義賊にしては、お人よしが過ぎるがな」と船内に戻ろう。風邪ひきそうだし。
ラグ:じゃあソファーにどっかりと座って、キングを待つわね。入ってきたらPC同士で会話します。
GM:はーい。
ツヴァイ:ただいまー。
ラグ:では……「このままだと依頼に無いことを受けちゃうわけだけど。キング、どうするの? 降りるのもルール違反ではないはずよ?」っていう話をします。立場上、ラグさんはこういうこと聞いちゃう。
ツヴァイ:じゃあ、合図をルード君に送ります。指パッチンで「出航」の合図を。
GM/ルード:「お姫様の願いを受けるってことだな?」一応、PTの意思は統一してね。
ツヴァイ:PT的には当然、受けるつもりですから。
ラグ:私も本気で止める気はないかな。
ツヴァイ:「我らは国家だからな。他国の姫から観劇に招かれて、ただ断っては外交問題になりかねんだろう?」と、笑みを浮かべます。
ラグ:そういう感じなのね。「……私は商人で良かったわ」とか言いながらいそいそと準備をしますね。
ルシェド:このあたりで俺もミエル姫を連れて戻ります。
GM:おかえりなさーい。
ルシェド:「その前に義賊でしょうよ」って、カバンの中を確認します。
ラグとミエル姫に始まり、ルシェドとミエル姫、ツヴァイとラグの濃い目のRPが続いた。ひとまずジャッジメントキングダムの一行は、「剣の町の大劇場でシヴァールの最終公演を観る」というミエル姫のさらなる依頼……もとい、お願いを叶えることになった。
平時なら他愛ないクエストなのだが、なにせ誘拐犯とその被害者ご一行様である。ミエル姫は「問題ない」と主張していたが、プレイヤーは慎重を期してミエル姫に変装してもらうことにした。となると、世話役はもちろん同性のラグがつとめるのだが……。
GM:ど、どんな様子になりますかね……?
ツヴァイ:コマの動きから怒られたGMのおびえが伝わる(笑)。
ラグ:怒ったんじゃありません、叱ったんです!
ルシェド:(どのみち怖いんだよなあ)
GM/ミエル:ここはGMから動きましょう「さっきはごめんなさい」と。
ツヴァイ:えらい。
ラグ:「謝る相手は私じゃないでしょ」……冷たいかなあ、できるだけ優しい口調で。
GM/ミエル:「私、お姉さまとは仲が良いの、それは本当よ? でも、それは何でも許されるということじゃないのよね、そうなんでしょう?」
ツヴァイ:本当に叱られた子供みたい。
GM:だって怖いもん。
ラグ:じゃあ、ミエル姫の髪型を目立たないように整えつつ。笑顔でうなずきますね。
GM/ミエル:(ほっ)「お城に帰ったら、お姉さまにお返しをしたいと思うの。それは我儘のつぐないになるかしら?」
ラグ:あ、いい方向に行きそう……じゃあ、「公王陛下の好きなもの、何か知ってる?」
GM/ミエル:「お姉様は政治が好きよ」
ラグ:「あら本当に?」
GM:これは本当にそうです。リジヤ公王は国家の運営に関わる全般を本心で愛しています、もちろん義務感もありますが。ミエル姫との日常会話は政情や交易などのお堅い話ばかりですが、本人なりに面白い話題を真剣に選んでいます。
ルシェド:ミエル姫とは反対って感じだな。
GM/ミエル:「即位してからは、いつも頭でっかちに政治の話ばかりしてるわ」
ラグ:「じゃあ、幼いころはどうだった?」
GM/ミエル:「本を、読み聞かせてくれたわ……たくさん、小さい私には、難しい本ばかりだったけど」
ラグ:じゃあこういう提案で。「お姉様もあなたも本が好きなのね、今度はお姉様に本を読み聞かせてあげたら」これで、上手く締められそう。
GM:ではミエル姫は光明が差した! と言わんばかりの顔を鏡に映しています。
ラグ:「大切な人との時間をどう過ごすか。あなたにはそれを考える自由がある」そろそろ変装は終わるかな。
GM/ミエル:「自由がある……!? 私にも?」
ラグ:「考えを改めなさい、そう言ったでしょ? 自分の楽しみを自分で探さないでどうするの?」
ツヴァイ:良い仲直りシーン。
GM:正直ほっとしました。PCとNPCにしこりがある状態でシナリオを進めるのは大変なので。ラグさんありがと~!
ラグ:いえいえ、どういたしまして。
――ナイトお姉様って呼んでいいかしら byミエル姫
――今度、あなたのお姉様にあったなら二人のお姉様になるわけね byラグ
GM:お待たせしました。ミエル姫の変装……と、仲直りイベントを完了しました。
ツヴァイ:見てましたけどね。
ルシェド:普通にいい話でビックリした。
ラグ:とりあえず、旅の少年風に男装させてみました。
GM:髪を目立たないようにまとめて、その上からルシェド君の買ってたフード付きポンチョを被せたよ。下は適当なズボン。
ツヴァイ:「本当にうちのシヴァ―ルはよく気がつくやつだ」
ルシェド:「まだやるんですね、それ……」
GM:ミエル姫は初めてのズボン姿に嬉しさを隠せないようですね。窓の近くにいたテンデも、プップカプー! とファンファーレを鳴らしています。
ラグ:この人はどこにいたの(笑)。
GM:その辺でラッパ吹いてた。
一同:(笑)
ツヴァイ:その服はうちの団の備品だからな。破損したら弁償してもらおう、公費で。
GM/ミエル:「私、ガメルで支払ったことが無いのだけれど、どれくらいの価値かしら。一着1000ガメルぐらい?」って真顔で返すよ。
ルシェド:金銭感覚が違いすぎる!
ラグ:いざとなったら公王陛下に請求しましょ。
GM:水増ししますか?
ラグ:しないわよ。
GM:では、ここでミエル姫からもう二つお願いです。といっても、一つは今回の依頼の詳細的なものですが。
ツヴァイ:ほいほい、乗りかかった船です。聞きましょう。
GM:まず、ミエル姫は劇の開始までに外の世界を散策したいそうです。彼女のやりたいことリストを公開します。
<ミエル姫のやりたいことリスト>
①自分で自由に宿を取ってみたい。
②劇の主演俳優さんにファンレターを送りたい。
③「私を月に連れてって」の作家からサインをもらいたい。
ラグ:こ、これは……どうなんだろう?安全面で。
ツヴァイ:ほほー、ただの子守りじゃなさそうだな。
GM:そのためにあなた方がいるんじゃないですか(にっこり)。
ルシェド:悪い顔だなあ。で、もう一つっていうのは?
GM/ミエル:みなさんの困惑をよそに、「ねえねえ、私もコードネーム欲しいわ!」と、男装したミエル姫が聞いてきます。
ツヴァイ:ふむ、街中で姫様姫様と連呼するわけにはいかないしな。いいでしょ。
ラグ:じゃあ、やっぱりクイーンで決まりじゃない?
GM/ミエル:では、ミエル姫の反応はというと……「クイーンなんて。そんなのいつもの私と同じじゃない? どうせなら一番偉くないコマがいいわ!」
ツヴァイ:じゃあ、ポーンだけど。
ルシェド:それは重要人物にはどうかなぁ。
ラグ:ラグは、”なるほど”って顔で「いいじゃないの、ポーンとクイーンは表裏一体よ」と、ミエル姫の意見を支持します。
GM/テンデ:「プップップー! では私めは何が良いでしょう?」とテンデも聞いてきます。
ルシェド:「二人セットでポーンズでいいんじゃないか、ポーンは複数いるもんだし」
GM:それ、採用です。ミエル姫はテンデを抱っこして「ポーンズ」って言いながらくるくるとまわってます。
GM:では時間を進めて皆さん剣の街へ移動しますね、マップ上の右上、ミエル姫から聞いた飛空挺の隠れ場所まで航行します。
一同:はーい。
GM:一旦、ここで飛空艇と別れます。去り際に「緊急連絡用の白炎玉を忘れるなよ」とルードが声を掛けます。
ツヴァイ:手を振って答えます。じゃ、行きますかみなさん。
ラグ&ルシェド:おー!
――剣の街は、旅人向けなのか宿屋が多く立っていた。
ミエル姫に聞くと、偉い人が泊まりに来る高級宿があるらしい。いわゆる歓楽街ってヤツだ。
さらったお姫様を元の国で遊ばせるなんて、冗談じゃないぜ。
犯人は現場に戻るとは言うけれども……。 byルシェド
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