第37話


「ウンディーネちゃん」

「なにー?」


 きょとんと俺を見上げるウンディーネちゃん。

 俺はその頭に、軽く手を乗せた。


「やっぱりウンディーネちゃんはいったん戻るべきだ」

「えー!」

「でも、絶対にまた迎えに来る。半年───いや、三か月以内に」

「うー……ほんと?」

「ああ」


 確証はない。でも、絶対にやり遂げて見せる。


「何かいい案でもあるのかい?」

「要は水質がどうにかなりゃいいんだろ?だったら魔道具でどうにかなるはずだ」

「魔道具か……でも、地下水源全部となると規模がすごいことになると思うけど」

「ああ。だから、リーダーも協力してくれ」

「……」

「レミアムにも声をかける。あいつは魔道具に精通してるしな」

「……仕方ない。乗り掛かった舟だしね」

「助かる」

「でも、その代わり僕の夢にも付き合ってもらうよ?」

「奇跡の杖だったか?……わかったよ。改めてよろしくな、リーダー」


 手を差し出す。

 リーダーは一泊置いて、俺の手を握った。


「もうリーダーじゃないだろう?」

「……そうだったな、ベル」

「よろしく、セロ」


 こうして、俺達の新たな冒険が始まった。

 本当にどうしようもない、空気すら読めないような連中だ。

 でも、ヒーローにしみったれた空気は似合わない。

 後悔や反省なんて、死んでからでいい。

 それはいつでも騒がしくて、眩しくて───誰かの憧れなのだから。

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