第17話 親友

 ブレサルは洞窟の半ばにいた。

 みんなに置いていかれただけなのかな。


 ブレサル、みんなが心配してるよ。


「え?」


 そもそも、こんなところに一人でいたら危ないだろ?

 どんなモンスターがいるかわからないんだよ?


「でも、こんなに優しい奴もいるぞ」


 ブレサルが隣にいるモンスターをポンポンと叩く。

 そいつは、赤いモフモフの毛で……。

 あー、たしか名前は……。


「ブレサルー!」


「大丈夫かー!」


 保護者のお出ましだな。

 説明は彼らに任せよう。


 佐藤とシャロールが、ブレサルを見つける。

 そして、その隣の……。


「ファイウル!」


「お前、死んだんじゃ……!」


 そう、彼なのだ。


「あ、二人とも久しぶりー!」

「この子は二人の知り合いー?」


 感動の再会……にしては軽い返事。

 そして、困惑する夫婦。


「知り合いというか……」


「息子だよ」


「そっか〜」


 わかっているのか怪しい返事。

 普通、驚かないか?

 結婚してるんだよ?


「さっきここを歩いてたら、出会ったんだ」

「すごく気持ちいいんだよ、父さん」


 ブレサルがなでなでする。

 それを見て、シャロールも近づいて触れる。


「懐かしいなぁ、この感じー」


「そうだな」


 家族三人でモフモフし始めた。

 とても和やかな雰囲気。

 しかし、お話しが進まない。


「ブレサルー!」


 おっ、救世主だ。


「どこに……って、なにしてるのじゃ!?」


 そりゃあ、驚くだろう。

 ファイウルが生き返ってること……よりも、みんながモフモフしてることに。


「モフモフしてる〜」


 ほら、シャロールの顔がゆるゆるだ。

 一話前の緊張感を思い出せ。


「それは見ればわかるのじゃ」

「そうじゃなくて……」


 魔王の視線は、明らかにファイウルに向いている。


「こいつは、ファイウルだ」

「魔王幹部なんだけど、知らない?」


「私、会ったことないのじゃ」


「そうか」


 まあ、あのお城から出てないらしいからな。

 本当に知らないのかもしれない。


「彼は、私達の親友なの」


「ふむふむ」


 たしかに親友だね。


「それにしても、どうして生き返ってるんだ?」


 そうそう。

 気になるよね〜。


「おや、そなたはファイウルだな」


 魔王のお姉さんが戻ってきた。


「知ってるのじゃ?」


「かの者は、地獄に落ちた罪人よ」


 なるほど。

 地獄に行ったのか。

 だけど、門が開いて蘇ったと。


「あ、いつものお姉さんだ!」

「今日も遊んでくれるのー!?」


 ファイウルが嬉しそうにしている。

 知り合いなのかな。


「どうやら地獄の業火もかの者には、効かぬみたいでな」

「手を焼いたわ」


 あー、そういうことね。

 まあ、ファイウルってマグマに入っても平気みたいだったし。


「……って、こんなことしてる場合じゃない!」


 佐藤がやっと気づく。


「ジェクオルどうすんの!?」


 モフモフしてる場合じゃないよ。


「ふむ」


「佐藤のスキルは?」


「あ、そうか」


 忘れてたんかい!

 でも、スキル使えばなんとかなるでしょ。


「ジェクオルの場所がわからない!」


 これでわかるはずだね。


「あー、なるほど……」


 頷く佐藤。


「どこにいるの、佐藤?」


「最初に奴と出会った洞窟だ」


 何度か行ったあそこね。


「それじゃあ、早く行こう!」


「もちろん!」


「余は、ここで見張りをしているぞ」

「気をつけて行ってこい」


 これ以上、地獄の罪人が出てくると困るからね。


「わかったのじゃ!」


「僕はどうするの?」


「そうだな、ファイウルは……」


 一応罪人でしょ?

 戻ったほうが……。


「一緒に行こうよ!」


 ええ!?


「それじゃあ、洞窟までテレポートしない!」


 ブレサルの一言で、新たな仲間が加わった……?

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